Webと書籍とを問わず、世の中にこれだけ犬種図鑑があふれているこの現状に、あえて新しい犬種図鑑を作ってみました。私自身が、実際に新しい犬を迎えようと思って、いろいろな本やWebを調べたときに感じた疑問や不満を解消できるような犬種図鑑にしているつもりです。
1)犬には皆個性があるので、さもみんな同じ性格(性質)であるかのように書かない
2)それぞれの犬種で困ったこともたくさんあるのだから、さもみんながいい子であるかのように画一的に書かない
3)どこからか勝手に持ってきたような写真は使わない。全部撮り下ろし
4)できるだけその犬本来の特性が前面に出る写真を撮る。上っ面の可愛さは必要ない
5)インターネットの文献を適当につないだような紹介ではなく、それぞれの犬種のファンシャー(愛好家)に生の話を聞いて書く
以上5点が、この犬種図鑑で気をつけていることです。
とりわけ3)〜5)はとても大変で、例えば「これが健全で正しいダックスフントの姿です」と犬種代表として撮影してもよい犬(と飼い主さん)を探し、日程を調整して撮影をし、お話を聞き、それらの内容と文献を照らし合わせつつ仕上げなくてはなりません。また、皆が皆ショーチャンピオンなわけではないですし、実用系/ショー系の血統によって外貌の違う犬種も多いので、そこは臨機応変にしています。
犬は犬でしかありません。言葉が通じる相手ではありませんし、機械的に作っている工業製品でもありません。実際に迎えてみたら、図鑑に書いてあることと“全然違う”ことも当たり前に起こりますし、困ったこともいっぱいあるでしょう。しかしそれにも増して、多くの楽しいことを我々に与えてくれます。
そのための手助けが少しでも出来るように、また、いまあなたの家にいる犬についてもっと深く知ってもらって、犬との生活をより良いものにしていけるように、そう願っています。
(dogplus.me編集部)
この犬種図鑑の原稿はすべて、犬の原稿を書き続けて15年、JKCの犬種図鑑にも関わっていた白石花絵氏によるものです。また、犬の“ナマの姿”を捉えるというミッションは、写真家 小林伸幸氏が挑戦してくれています。犬種図鑑で使われているすべての写真は、氏の撮影によるものです。