皆さんがドッグフードを買うときには、何に気をつけますか? 値段? 栄養価? それとも家の近くで買えるかどうか?
でも本当のところ、ドッグフードで一番気を付けるべきなのは(人間の食べ物でもそうですが)原材料です。ちょっとでもそういうことに気を付けている人であれば、むろん気にかけているとは思いますが、ドッグフードの裏書きの原材料表示って、まるで呪文のようですよね。
「チキン
- チキン
人間だけでなく、犬の食餌においても重要な動物性タンパク質源となるのが「鶏肉」だ。牛肉や豚肉に比べ脂肪分が少なく、中でもとくに胸肉は脂肪分が少なく、タンパク質含有量が約22%と高いのが特徴だ。ただしリンを多く含むため、肉の量に伴って骨やミネラルサプリなどを加えてカルシウムとのバランスを取ることを心がけるべきである。
詳細はこちら
- とうもろこし
ありとあらゆる場所で、さまざまな形で目にする食材である「とうもろこし」(コーン)は、イネ科の植物である。単体のほか、デンプンを分離させて使う「コーンスターチ」、タンパク質を分離した「コーングルテン」など、フードにおける使われ方もさまざまだ。
詳細はこちら
- プロピオン酸
化粧品などでも多く使われているプロピオン酸は、脂肪酸の一種。工業的に作られたプロピオン酸は、パンや洋菓子などの防かび保存料として認可されている食品添加物だ。
詳細はこちら
- ラクトバシルス
整腸効果のある善玉菌の代表「ラクトバシルス」は、整腸と免疫機能の促進、腸壁の保護、病原菌の抑制などさまざまな活躍をみせてくれる。自然な状態では腸内常在菌だが、乳酸菌飲料として食品への応用が著しい。アシドフィルス、ラクティス、プランタルム、カゼイなどの種類がある。
詳細はこちら
- BHA
ドッグフードにおいては、BHTと共に好ましくない添加物の代表として扱われているのが、このBHA。工業的な合成で作られた脂溶性酸化防止剤である。EUにおいては、乳幼児・子供用食品で使用することは禁止されている。
詳細はこちら
- クエン酸カリウム
クエン酸カリウムとは、その名のとおりクエン酸と水酸化カリウムの化合物だ。クエン酸はフードのpHを下げるので、菌の繁殖を抑える効果が期待できる。ミカンなど柑橘系の果物にも含まれる物質なので、安全なものだ。
詳細はこちら
- メチオニン
メチオニンは、タンパク質を構成するアミノ酸の一種で、魚や鶏、馬などの肉に多く含まれる。犬の体内で合成できないので、必ず食餌として取り込まなくてはならない。肝疾患を抱えている犬にDL-メチオニンを必要以上に与えないように注意が必要だ。
詳細はこちら
愛犬の健康のためにせっかく気をつけようと思っても、原材料表示の大半は意味が分からず、最初にチキンって書いてあるからこれでいいや、となりがちです。その後ろに、危険なもの/摂取しないほうが望ましいものが入っていても、それには気付きません。
自分自身がそうだったので、「これらが全部どんなものか分かる辞典がほしい」と思って作り始めたのが、この原材料辞典です。最初は軽い気持ちで、原材料の種類なんてせいぜい500か600くらいだろうと思って作り始めたのですが、その読みはあまりにも甘すぎました。公開時点でその数は3700種を超えており、新しいフードが出るたびに、新しい原材料も追加されています。
まことしやかに出回っている都市伝説のような情報は可能な限り排除し、科学的根拠を元に記述することを心がけており、必要と判断した場所には、論文や参考資料へのリンクも記載してあります。これらの情報が、皆さんの愛犬のフードを決めるときの参考資料になってくれることを願ってやみません。
原材料の一つ一つに説明を加えるというこの莫大な作業は、dog actuallyなどでお馴染み、ドイツ共和国連邦の獣医師であるアルシャー京子氏が手がけています。ご自分の愛犬Bodaiの“自然な食事”について保健学と獣医学の視点から掘り下げて、日夜調査と実践と考察を重ねている成果をここで公開してくれているのですが、文字どおり”日々”増え続ける原材料の種類に、氏の原稿が追いつくのはいつのことでしょうか……。