図鑑
アイリッシュ・セッター
ゴージャスな赤毛は、日々の努力の結晶。
明るいおふざけ屋さんは、運動がたっぷり必要
英名
Irish Setter
原産国名
Irish Red Setter
FCIグルーピング
7G ポインター・セッター
FCI-No.
120
サイズ
原産国
特徴
歴史
ケネルクラブなどの和訳では「セター」と書かれていることも多いが、語源は、獲物の鳥の位置を突き止めた後に「セット」、つまり前肢を低くし、しゃがみこむ姿勢をする者という単語。なので、日本人の一般的な発音を重視し、本図鑑では「セッター」の表記とする。
アイリッシュ・セッターは、狩猟用のワーキング・ドッグ(働く犬)としてアイルランドで作出された。元々は、捕獲網や鷹と共に使われていたようだ。その後、鉄砲が開発されてからは猟銃を使う狩猟の猟犬(つまりガンドッグ)として働くようになる。鳥猟のほか、ウサギやシカなどを追うようにトレーニングすることも可能な猟犬。
アイリッシュ・セッターの原型は、同じくアイルランド原産のレッド・アンド・ホワイト・セッターだとされる。アイリッシュ・セッターより少し体高が低めで、アイリッシュよりがっちりめで筋骨たくましい体格の犬だ。この、白地に赤いぶちのあるセッターをベースに18世紀の頃に選択交配が行われ、赤い単色のアイリッシュ・セッターが生み出された。
しかし19世紀後半にはアイリッシュ・セッターの方の頭数が増え、元祖だったレッド・アンド・ホワイト・セッターは激減し、一時は絶滅したと考えられたほどだった。でも1920年代にレッド・アンド・ホワイト・セッターを復活させる努力がなされ、いまもファンシャーの努力により無事に現存している。
かたや登場以来世界中で人気者となったアイリッシュ・セッターは、イギリスやアメリカ、日本では、ショー・ドッグおよび家庭犬として人気を定着させた。一方原産国アイルランドでは、実猟犬として使える犬として大事にされている。
同じ犬種でありながら、ショー系か実猟系かで、性質も猟欲も運動量も、見た目の毛の長さなどにも差がある。人間が望む使い道によって、すっかり分化した犬種といえるだろう。
日本で見られるアイリッシュ・セッターは、ほとんどショー系の家系。日本で実猟犬として使われるセッターは、
イングリッシュ・セッター がポピュラーである。でもごく一部には、アイリッシュ・セッターもガンドッグとして働いているというし、実際にシカ猟で活躍する犬もいた。実猟系の犬は、性格が激しく、きついことが多い。それは猟犬として働く上で重要な才能である。でも家庭犬として飼育するときは「飼いづらい」と言われる理由となりやすい。
それに比べて、代々ショードッグ家系として美しさやコンパニオンとしての性質を重視されて繁殖管理されたラインは、毛が長く美しく、また性格もマイルドで陽気な平和主義者が多い。ただし、そうはいっても元々は野山を駆け回る強靱な持久力を持つ犬なので、運動量は莫大。毛並みの麗しいぬいぐるみと勘違いして手を出してはいけない。
その美しさと天性の朗らかさで、ファンシャーの心をつかんで離さないアイリッシュ・セッターには、日本にも定着したファンがいる。毎年3月には、アイルランドにキリスト教ももたらした聖パトリックの命日3月17日にちなんだアイルランド最大のお祭り
「セント・パトリックス・ディ」 を祝うパレードが東京の表参道(渋谷区)などであるのだが、そのとき、アイルランド自慢の犬であるアイリッシュ・セッターが一緒に行進する姿を見ることができる。
外見
森や野をこよなく愛するガンドッグだが、マホガニー色の燃えるような被毛のゴージャス感、頭部をスッと持ち上げて颯爽と歩く姿が麗しく、美しさを競うショーリンクの中を走っていることも多い犬。
体高は、オス67cm前後、メス62cm前後。お隣イギリス生まれのイングリッシュ・セッターの体高がオス65〜68cm、メス61〜65cmなので、体高はスタンダードで比較するとそう差はない。
でもアイリッシュ・セッターは「レーシー」(脚が長くてほっそりタイプ)なので、一見するとイングリッシュ・セッターより背が高く見える。わずかにアーチしたほどよい長さの首のおかげで、小顔なモデル体型に見え、背が高く見えるのかもしれない。原型であるレッド・アンド・ホワイト・セッターやイングリッシュ・セッターに比べてひょろっと細長いレーシーな外貌にするために、一時
ボルゾイ を掛け合わせたという説があるが真偽のほどはよくわからない。
アイリッシュ・セッターは、顔が長くてマズルも長くほっそりで、背が高くてスッとしていて細いイメージがあるが、パーツを個別に見たら実は意外なほどがっしりしている。決して華奢な犬ではない。
ボディは、胸が深く、フロント(ボディを正面から見た前の部分)の幅はいくぶん狭いが、あばら骨がよく張っており、肺が収まる十分なスペースが確保されている。だから心肺能力が高く、持久力があり、1日中野山を走ることができるのだ。
耳は適度な大きさで、付き位置が低い。また耳の上部の飾り毛は長くてシルキー(絹糸状)。食事や水を飲むときにボウルの中に耳の毛が入ってしまうので、スヌード(人間のヘアバンドを変形させたような形の犬用耳カバー)をつけて、耳の毛を保護した方がいい。アウトドアで遊ぶとき、耳の毛が切れないようにスヌードをしている犬もいる。
しっぽはやや低く付き、根元は強く、先端に向かって先細る。背と水平か、あるいは背よりも下に保持し、長い飾り毛がフラッグ(旗)のように垂れ下がっている。フラッグ・テイル(旗状尾)といわれ、この豊かな毛のしっぽを陽気に振っている姿も、セッターの愛すべき特徴だ。
被毛は、頭部、四肢の前面、耳の先端が短毛で、きめ細かい。そのほかの部分は適度な長さで、平らな長毛。できるだけカールやウェーブしないのがよい。かなりの量の被毛が腹部にある。喉から胸まで伸びるフェザリング(羽毛状の飾り毛)も見事。すべての飾り毛はまっすぐで平らである。
毛は放っておくと、ボサボサ、モサモサになってくる。頭のてっぺんのもや〜と伸びてきた毛は、ファンシャーから愛を込めて「アホ毛」などと呼ばれるが、放置しているとなびくほどに伸びるらしい。アフガン・ハウンドのようにまでは伸びないけれど、中途半端なモサモサまで伸びるそうだ。
足先のパウの間の毛もどんどん伸びてきて、いつのまにかカエデのような大きな足先になる。またボディの毛も、アイリッシュ・セッターはシングル・コートと言われるけれど、放置していると全体的にモサモサになってくる。個体差もあるが、毛量のある子はアンダーコートをトリミング・ナイフですく作業をする。
よって、月に1回は定期的なトリミングが必要。自分で出来ることをなるべく自宅で努力するとしても、2か月程度でトリミングに行ったほうがよい。ちなみにトリミング代は、シャンプーカットで1万円を超えるのが一般的。
大型犬だけにトリミング代も高額だが、日々のメンテナンスも大変だ。ブラッシングは散歩のあとに毎日必ず行うこと。1日さぼると、すぐにからむ。とくに脇の下、内股、耳の下がよくからむ。またオス犬の場合は、ペニスのまわりも清潔に保つよう留意する。毛にオシッコがついてそこにホコリやゴミを吸着して汚れやすく、毛が切れやすいし、毛が焼けたように白っぽく色が抜けたりする。
しかし自然を愛するガンドッグなので、毛が汚れるのを嫌がってアウトドアで遊ばせない……というわけにもいかない。野山の中でたっぷり運動をさせてあげることが不可欠で、それをしないと家庭内でのイタズラや破壊行動などの問題行動を起こしやすくなる。だけど正直、外で遊ばせた後はこれまた毛の手入れが大変となる。この苦労を苦労と思わない人が、アイリッシュ・セッターのオーナーの条件だ。
森や原っぱで遊んだあとは、とくに体の下の部分(腹部や足の飾り毛)に枯れ枝や種などがからまっているので、最低1時間くらいかけて、毛を切らないようにトリートメント剤をスプレーして、サラサラにしてから丁寧にほぐしていく。無理矢理引っ張ったりすると毛が切れるし、犬も痛がるので、根気よく行うこと。予防策として、キャンプやハイキングに行くときは、犬に長袖の洋服を着せていく人もいる。
ともあれ、アイリッシュ・セッターの美しさは勝手にキープされるわけではない。あの見事な赤毛を保つために、みんな陰ながら努力している。反対に、毛の手入れを喜びと思えない人は遠慮すべし。外耳炎もなりやすいので、最低週1回の耳掃除も忘れずに。
ここまでアイリッシュ・セッターのメンテナンスの大変さを述べたが、朗報が一つある。一般にシングル・コートとされるので、ダブル・コートの犬に比べて、乾くのが意外と早い。滑毛種の
ジャーマン・ショートヘアード・ポインター と一緒にアイリッシュ・セッターを飼っているファンシャーによると、ポインターの毛はごく短いけれど、ダブル・コートなのでドライヤーをかけても首の周りなどがいつまでもジメジメしているのに対し、長毛で飾り毛の多いはずのアイリッシュ・セッターのほうがサラッと早く乾くという。天気のいい日は、ドライヤーをしていなくても、外に出すとすぐ乾くらしい。
ちなみに、アイリッシュ・セッターと一見似たような被毛に見える長毛種の
ゴールデン・レトリーバー はダブル・コート。アイリッシュ・セッターのほうがだんぜん乾くのが早い。アイリッシュ・セッターは見かけの被毛のゴージャス感の割に、シャンプー後のドライヤーの労力と時間が少なくてすむのは助かる。
毛色はリッチ・チェスナット(濃い栗色)。マホガニー(赤褐色)と言われることもある。ブラックのトレース(背中を通る黒い筋)は見られない。胸、喉、指先のホワイト、または前頭部の小さなスター(ホワイト)、鼻や顔部の狭い筋やブレーズ(鼻筋の白斑)は失格とはならない。
ちなみにシニア犬になると、目の周りやマズル、アゴの毛などが白髪になってくる。若いときは赤一色の犬だが、老いてくると赤いボディに白い顔の犬のようにも見えて別の犬種かなと思ってしまうほど。シニア犬は目も優しい表情になるせいか、白いお顔が某遊園地のクマのぬいぐるみのような愛らしさを醸し出し、とても可愛い。
毛色
なりやすい病気
遺伝性
若年性白内障
遺伝性てんかん症
股関節形成不全
進行性網膜萎縮
カラーミュータント脱毛症
先天性
その他
胃捻転
肥大性骨ジストロフィー
巨大食道
肢端舐性皮膚炎
アトピー性皮膚炎
魅力的なところ
赤く輝くゴージャスな姿。「最も華やかな犬種」とも言われる。
単純・明るい・素直・脳天気・平和主義。そういう性格が可愛い。
落ち込まない・悩まない・ひねくれない・根に持たない・立ち直りが早い。
トレーニング性能は高い。ちゃらけているようでちゃんとできる。
頑固ではなく素直という点ではトレーニングが入りやすい。
細かいことは気にしないので環境適応能力あり。ペットホテルなどに預けても平気。
分離不安になりやすいわけでもない。マイペースで留守番できる。
子ども好き。とても友好的。ただし調子に乗りやすいので体当たりには注意。
タフで走るのが好きで、野山が大好き。自然を愛する飼い主にぴったり。
朗らか家系ならば、他犬にも友好的にできる犬が多い。
シャンプー後の乾燥が早い。
大変なところ
元来ガンドッグ。運動量は甚大。体育会系の飼い主限定。
森や野原に行く時間がたっぷりある人向き。
退屈や運動不足が重なるとイタズラや破壊行動に走る。
毎日のブラッシングや高額なトリミング代など、毛のメンテナンスは覚悟が必要。
毛の手入れは大変なのにアウトドア遊びが大好き。よけい毛の手入れが過酷。
散歩中になんにでも興味を示すのでコントロールしずらい。
よその犬にフレンドリーすぎてぶしつけに近寄りすぎて、相手を怒らせることも。
気が散りやすい、気まぐれという点では教えるのに忍耐力が必要。
子犬期はじっとできない。多動障害かと心配になるほど。
マイペースで、好奇心が強いので、事故や迷子に注意。
要求吠えをする個体がいる。
他人にもフレンドリーなので、番犬には不向き。
実猟系の性質を残すタイプは、気性が荒く、攻撃性がある犬もいる。
華やかな犬だが、心はガンドッグ。体と心の刺激が必要
明るく、艶のある、燃えるような赤毛。ショーの世界のスター選手の1種といえる美しさが際だつ犬。しかも明るく、気立てがよく、子どもにも優しい平和主義の犬(実猟犬家系は除く)なので、性格面においては、きかん坊の小型愛玩犬よりもコンパニオンとして飼いやすいと言える。
最大の飼い主の条件は2つ。1つめは、野山を走るガンドッグの運動量を満足させてあげられること。2つめは、長毛の赤毛を美しく保つ努力ができること。
森や原っぱを駆け回り、鳥を探すのが仕事の犬なので、当然、人間が歩く散歩程度では運動不足、欲求不満になる。パピー期を過ぎたら自転車引き運動や、ドッグランや野山で自由運動を与える。シニア(老犬)時代になるまでは元気炸裂な体力が続くと覚悟し、毎週のように彼らの心と本能を刺激する山や森へ出かけてあげる生活だと、彼らはすごくハッピーだ。昼間戸外でアクティブにはじけた分、夜は家の中でベッドに丸まって静かに過ごしてくれる。たっぷり運動して疲れた犬は、とてもいい子だ。
また好奇心の強い犬なので、頭を使うゲームや猟欲を満たすような遊びを取り入れるとベター。筋肉だけでなく、頭の刺激も与えよう。そうすれば、家庭内でのイタズラや破壊行動も減るはず。運動不足とヒマを持てあましたアイリッシュ・セッターは、問題が増える。もしも愛犬の問題行動に手を焼いているのなら、まずは運動量が足りているか、そして知的好奇心を満たす脳への刺激は足りているかを見直してみよう。
例えばアイリッシュ・セッターは、空を飛ぶ鳥や飛行機を目で追うのが好きな犬がいる。DNAの中の猟欲が騒いでいるのかもしれない。その場合は、その猟欲をうまくほかの遊びやゲームに転化してあげるとうまくいく。自分で判断がつかないのなら、猟犬種のトレーニングの得意なトレーナーに相談してみると解決策が早く見つかるはずだ。
繰り返し言うが、アイリッシュ・セッターはガンドッグである。都会暮らしも似合う美しい犬だが、きっと彼らは都会暮らしを望んでいない。野山で走ることが、心と体の健康を保つ秘訣。いくらショータイプやペット(家庭犬)タイプといえども、ガンドッグであることを忘れてはならない。「フィールド・タイプじゃないから散歩はそんなに行かなくていい」「毛が汚れるから、アスファルトの道路以外は歩かせたくない」などのような、人間の都合でしか犬を見られない人は、アイリッシュ・セッターを飼うべきではない。溺愛された過保護な生活は、犬の心身の健全性を損なう。
美しい姿は、鍛えられた筋肉と、犬の心の幸せによって作られる。セッターは、ガンドッグとして鍛えて育ててこそ、その美しさを保ち、一緒に暮らす悦びに磨きがかかるということを忘れないようにする。
艶やかな赤毛を切れ毛にせずに美しく保つためには涙ぐましい努力が必要
アイリッシュ・セッターの美しさは、勝手にキープされるわけではない。あの見事な赤毛を保つために、みんな陰ながら努力している。散歩から帰ったら毎日ブラッシング。からみやすい脇の下や耳のまわりの柔らかい毛、葉っぱや小枝をからませてくる腹部や足の飾り毛を丁寧にほぐし、またオシッコがつきそうな場所は清潔に拭き取る。フラッグのようなしっぽの毛もきれいに整えてこそ、アイリッシュの美しさが完成する。これが毎日だ。そして週に一度は耳掃除。月に一度はトリミング。手間もお金もかかる。
アイリッシュは森の散策やキャンプが大好きだけど、森を歩けば、当然毛も汚れる。犬の喜びをとるか、飼い主の手間の軽減をとるか。大変なのはよく分かるが、犬の喜びを優先してこそアイリッシュ・セッターのファンシャーと言える。それができないのなら、この犬種を迎えるべきではない。アウトドア遊びのお伴にできるアクティブでハイパーな犬が好きだが、毛の手入れは苦手という人ならば、
ラブラドール・レトリーバー やイングリッシュ・ポインターといったショートヘアかスムースヘアの犬がオススメだ。
脳天気な平和主義者。子犬のような天真爛漫さは可愛いが、手もかかる
実猟系を除き、基本的にアイリッシュ・セッターは、ガンドッグの中でも平和な犬種。家人はもちろん、よその人にも犬にもフレンドリーな犬であり、攻撃性の高い激しい子はあまり見ない。本来は単純で脳天気で明るく朗らかな、落ち込まない、叱られても3秒で忘れるような大らかな犬だ。
ときに臆病で繊細な個体も見受けられるが、それは後天的なもの(生まれてからの環境。育て方)だとされる。社会化不足のパピー期を過ごしたとか、虐待された経験などがなければ、通常のアイリッシュは本当に明るく、いつでもごきげんな、おふざけ屋さん。いつまでも子犬のようなお茶目さが残り、可愛い。ただし子犬のようなお茶目さや脳天気さは、すごく可愛い半面、目が離せなくて手がかかるとも言える。そこを理解して選んでほしい。こうした天然な朗らかさは、
フラット・コーテッド・レトリーバー と似ている。
ドッグランでも割と安心。だけど先方の都合も考えて
他人にもフレンドリーすぎるので番犬としては不適格だが、優しいし寛容なので子どもの相手にはよい。子どもの良き兄弟になってくれるだろう。ただ、脳天気で細かいことは気にしないタイプなので、悪気なく小さな子どもにうっかり体当たりする可能性はあり。大型犬なので子どもは転んでしまうから、親の監視は必要。
基本的に実猟系を除き、よその犬とも仲良くできることが多い。それは飼いやすいポイントでもあるが、反対に誰にでも警戒心なく脳天気に近寄ってしまい、空気を読まず、相手の犬に怒られたり、もしかすると咬まれてしまうこともあるかもしれない。とりわけドッグランなどでは、いろいろな性格の犬、いろいろな生い立ちの犬がいるし、トレーニングを頑張っている最中の犬もいるのだから、自分の犬の攻撃性がゼロでも、相手の犬が仲良しになりたいと思っているかどうかは分からないと認識すべき。相手から見れば、実はとても迷惑だったりする。
よその犬や相手の飼い主にしてみれば「近づかないで!」と心の中で叫んでいることもあるので、ぶしつけに相手の犬のリード内に近寄らせないようにする。どの飼い主だって、自分の愛犬がよその犬を咬むのは避けたいと思っている。相手の状況を想像し、知らない犬に不用意に愛犬を近づけないことは、相手のためにも、自分の犬を守るためにも大事なマナーである。
またフレンドリーすぎる上に好奇心が強く、気が散りやすいので、よその人や子供にふらっと近寄ったり、よそのお宅や花壇をのぞき込んだり、鳥や蝶々を追いかけたり、飼い主に反抗するつもりはないのだが、あっちにふらふら、こっちにふらふらしやすいのでコントロールしづらいことも。もちろんトレーニングをすることは大事だが、よそ様に迷惑をかけない範囲なら、ある程度は「この犬は探求心の強いこういう犬だから」と、飼い主も寛容な心を持つことが大事。
トレーニングは繰り返し根気よく。迷子や交通事故、誤飲にも注意
ものすごく物覚えの早い犬でもないが、ガンドッグなので飼い主の言うことを基本的になんでも素直に聞くタイプなので、トレーニング性能は悪くない。けれどもマイペースで気ままなところがあるので、トレーニングは繰り返し教えてあげる必要があり、また忘れてしまわないように定期的に復習をしてあげたほうがいい。
また、無鉄砲で好奇心が強い性格なので、悪気はないのだが、たとえば鳥を発見して夢中になると、呼んでも帰ってこなかったり、道に急に飛び出したりなど、突発的な行動をとることがある。結果、迷子になったり、道路に飛び出して交通事故に遭ってしまうなどの悲しい事件も起きている。呼び戻しのトレーニングは、何度も繰り返し行い、精度を高めていくことが大事だが、万が一のときのために、マイクロチップや迷子札をいつも装着しておくことも欠かせない。
好奇心旺盛でイタズラ好きなので、誤飲をすることも多い。ペットボトルのキャップや石ころなどを遊んで囓っているうちに飲み込んでしまうような事故が起きやすい。異物がウンチからでてくればいいが、胃袋にとどまったり、腸閉塞を起こす可能性があると開腹手術になることもある。飲み込むサイズのオモチャは与えない、部屋はなるべく整理整頓してイタズラされるような物は置かないようにする。
このページ情報は,2014/11/08時点のものです。
本犬種図鑑の疾病リストは、AKC Canine Health Foundation、Canine Cancer.com、Embrace Insurance “Pet Medical Conditions”などを筆頭に、複数の海外情報を参考にして作られています。情報元が海外であるため、日本の個体にだけ強く出ている疾患などは本リストに入っていない可能性があります。ご了承ください。
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