図鑑
バセンジー
家畜化された犬の中で最も風変わり犬種の一つ。
予測不能の野生児は手強くて味がある
英名
Basenji
原産国名
Basenji
FCIグルーピング
5G 原始的な犬・スピッツ
FCI-No.
43
サイズ
原産国
特徴
歴史
日本語では「バセンジ」と表記されることも多いが、本サイトは「バセンジー」に統一して表記する。「バセンジー」は、ピグミー族(アフリカの先住民族)の言葉で「小さな茂み」という意味だ。
バセンジーは、中央アフリカ(コンゴ周辺)原産の犬。アフリカ原産の純血種は少なく、調べるとアフリカにもエジプシャン・ヘアレス・ドッグなど絶滅した土地犬のような犬や、アザワク(マリ原産)などが、いることはいる。しかし国際舞台で公認され、日本に上陸していて出会うことがあるとしたら、このバセンジーと
ローデシアン・リッジバック くらいではないだろうか。ただローデシアン・リッジバックは、17世紀に渡ったヨーロッパの入植者たちがアフリカの土地の犬にセント・ハウンドの仲間やマスティフ、
グレート・デーン などを交配して作ったので、顔つきもそれなりに見慣れた洋犬風であるが、バセンジーは古代エジプト王朝時代の絵画にも残っているほど、大昔からあの風貌で存在しているプリミティブ(原始的)な犬なのである。ほかの犬種とは違う、家畜化された犬の中でも最も風変わりな、個性あふれる犬種といっていい。
何千年も前から多目的な猟犬として利用するために家畜化されたバセンジーは、セント・ハウンド(ニオイを追跡して獲物を見つける猟犬)と、サイト・ハウンド(視覚で獲物を見つける猟犬)の、両方の才能を持ち合わせている。サイズは
柴犬 ほどだが、あのとんがった立ち耳や、表情が読み取りにくい顔つきなどは、
ファラオ・ハウンド やイビザン・ハウンド(共にプリミティブな未改良犬種のチームだが、体格や運動性能、作業目的からしてサイト・ハウンドとも共通点がある)とも通じるものがある。
またバセンジーは、非常に優れた嗅覚の持ち主だと評判なので、
ビーグル (セント・ハウンド)のようにニオイで捜索する仕事も得意だったに違いない。さらに、ポインターやレトリーバーのように回収作業をこなすこともあり、テリアのように集落のネズミ捕りの仕事もしていた。ある意味、万能な「なんでも屋」だったようだ。文献によると「アフリカの部族民に“妻より価値の高い”かけがえのない宝物として大切にされた」とまである。そんな風に言われるほど、珍重されていたパートナーだったバセンジー。ものすごく深い魅力があるに違いない。
ただ家畜化されたとはいえ、アフリカの土着の部族が行なったものなので、それは近代的な家畜化の道とは異なる。人間の住む集落にいることは許されたが、毎日のごはんや暖かいベッドが保障された生活ではない。なかば半野生のような状態で、人のそばに住み、狩りの手伝いをし、獲物の解体時におこぼれをもらうような生活だったのではないか。
ともあれ歴史はかなり古く、ピラミッドと同じくらい古い犬種で、古代エジプト文明が崩壊すると、エジプトからスーダン、そして中央アフリカのコンゴにまで広がっていった。そして19世紀、ヨーロッパ人はコンゴでついにこの犬に出会った。
バセンジーがイギリスへ連れてこられたのは1895年。このときの2頭がイギリスのドッグショーで「アフリカン・ブッシュ・ドッグ」として出陳されたが、すぐにジステンパーにかかって死んでしまう。その後も何頭もバセンジーは海を渡るが、またもやすぐ死亡。広大なアフリカの大地から、近代文明盛んなイギリスになじむのに成功するのは1930年代になってからだった。
その後イギリスで計画繁殖され、英ケネルクラブに1937年に「バセンジー」として登録、出陳された。当時のショー会場では、この奇妙なアフリカの犬を見ようと大変な人気者となったそうだ。たしかにバセンジーの姿は、元来のヨーロッパの犬ともアジアの犬とも一線を画すエキゾチックな風貌なので、話題になるのも頷ける。
1939年、イギリスでの単犬種クラブ「バセンジー・クラブ・オブ・グレート・ブリテン」が結成。1945年にはアメリカで「バセンジー・クラブ・オブ・アメリカ」ができ、ショードッグや家庭犬としての地位を確立していく。
そして2001年、イギリスの最も権威あるドッグショー「クラフト展」で、このアフリカの珍奇な犬は、おおかたの予測を裏切り、ついにBIS(ベスト・イン・ショー。ショーの中のトップ1)に選ばれ、名実共に頂点に君臨した。
おそらくこのことをきっかけに、バセンジーの名声はアメリカや日本にも広がったのだろう。バセンジー愛好家に聞くと、現在(2013年1月時点)で日本に飼育されているバセンジーはほとんど10歳以下ということなので、日本に輸入され始めたのは、クラフト展入賞後だと考えられる。アメリカ経由の血統が日本では主流だ。
すなわち日本ではまだ、10歳以上の老犬になったバセンジーと暮らした人がいないに等しい。日本におけるバセンジーの寿命がどれくらいなのか、どんな老後生活となるかは、今から経験が積み上げられていくことだろう。
外見
ハイ・オン・レッグ(短胴長肢)なボディで、軽快なシュッとした外貌。力強く、長めの首は優美にカーブしており、頭部を堂々と掲げている。また、ごく短い滑毛なので、全身の美しい筋肉質がよく分かる。
理想体高は、オスで43cm、メスで40cm。理想体重はオス11kg、メス9.5kg。日本でよく見かけるのはおおむね10〜13kgくらい。肥満になりやすいタイプではないが、いかにバセンジーであっても飼い方が悪ければデブに育ってしまうことはたまにある。でも普通は、みなシュッとした野性味ある精悍なフォルムをしている。
先端の尖った直立耳。ダークアーモンド色の斜めについた三角形っぽい目。表情は読み取りにくく、ほかの犬種に比べると、いったい何を考えているのかちょっと分かりにくい顔をしている。そして愛すべき特徴は、耳を立てているときに額に刻まれる皺。バセンジー・ファンシャーはその「困り顔」が大好き。しかも何かに気をとられるときなどに、シワシワの顔をちょっとかしげる「困り顔」の可愛さといったらない。
しっぽも特徴的。尾の付き位置は高く、ぎゅっと固く巻いている。1重巻きの犬もいれば、2重巻きの犬もいる。しかもバセンジーは普通の犬のように、しっぽを使った感情表現をほとんどしないという。嬉しくてもしっぽを振らない。たまに付け根がピクピクする程度。テンションが下がるとだらんと垂らすことはあるが、不安を感じたときなどにしっぽを股の間に挟むといった行動もしないという。普通の犬と比べて、コミュニケーション術が異なっている。そのため、ほかの犬あるいは人間から誤解されやすい。ちなみに耳は絶えず動き、さまざまな角度に変わる。バセンジーにとっては耳が大事なコミュニケーションツールらしい。
被毛は、ごくごく短い滑毛で、艶々していて美しい。アフリカ原産だけに暑さにはわりと強く、寒さには弱い。日本の冬場の散歩は犬服が必要なこともある。
短い毛はけっこう抜ける。とくに夏前にはひどく抜けるという。抜ける時期は、毎日ラバーブラシでブラッシングをして、リビングに毛がちらばるのを防ぐ。そのほかの時期はほとんどブラッシングしなくてもいいとのこと。ただ皮膚の血行促進や健康チェック、ボディタッチすることによる飼い主との関係づくりなどのために、たまにはブラッシングをしてあげよう。
バセンジーは体臭が少ない。だからそう頻繁に洗う必要もない。ドッグランなどを駆け回ったりして汚れたときに洗えばいい。しかし、バセンジーは基本どの犬も水が大の苦手とのこと。お風呂も海も川遊びも「けっこうです」と頑なに拒否するタイプ。お風呂場に連れて行くのは苦労する可能性高し。ただ短い毛なので、シャンプーは簡単で、乾燥も簡単なので手入れはしやすい。
被毛の色は、ブラック&ホワイト、レッド&ホワイト、ブラック&タン&ホワイト(頭や背中が黒。麻呂眉や頬が茶色。胸や四肢の先が白のような配色)、ホワイト&ブリンドル(レッドの地色に黒い縞)など。足先、胸、尾の先端は必ず白が入ること。ただし前肢全体が白でつながっている必要はなく、またブレーズ(鼻筋の白いライン)、カラー(白い襟巻き)はあってもなくてもよい。
毛色
魅力的なところ
ほかの犬では味わえない、予測不能でユニークな行動。
ベタベタしてこない猫っぽい性格。適度な距離感を保つ関係が好きな人向き。
スリムで筋肉質のシュッとしたルックス。エキゾチックな顔つき。
額に寄せた皺がチャームポイント。
体臭が少ない。また猫のようにグルーミングする清潔好きな犬。
普通の犬のメスのヒート(発情)は年2回なのに、本犬種は年1回(主に秋)。ほかのオス犬に迷惑をかけないように配慮する散歩管理や旅行計画などが楽。
小さすぎず、大きすぎずの手頃な扱いやすいサイズ。
飼い主には忠実。
妙な高い声などをたまに出すものの、ほとんど鳴かない。その点マンション飼育向き。
人為的な犬種改良があまり行われていないせいか、病気が少ない。
大変なところ
野性的な犬で、奇行が多い。それを辛いと思う人には耐えられない。
用心深く、気が散りやすく、落ち着かない。1分以上のオスワリは難しい。
退屈・運動不足が重なると破壊行動をしやすい。
野性的・頑固・自主性が高いため、トレーニングによる矯正が難しいことも。
一筋縄ではいかないので、しつけは飼い主に忍耐力が不可欠。
独立心が高くマイペースのため、呼んでも来ない。飼い主の声に対する反応のいい犬が好きな人には不向き。
個体差があるが、気が強く、ほかの犬と折り合いが悪い犬もいる。
野生児っぽくタフで運動欲求量は高い。散歩・運動の時間がたっぷりとれる人向き。
気ままなので散歩で真っ直ぐ歩かない。
小型だが、意外と瞬発力が強い。
呼び戻しはすごく苦手。交通事故や迷子に注意。
潔癖症。室内トイレを嫌がる個体が多い。
ほとんど鳴かない犬だが、救急車のサイレンなどにつられて遠吠えする犬もいる。
バリケンやキャリーバッグなど閉所は好きではない。移動は自家用車必要。
まとめ
かなり特殊な犬。「中毒性がある」ほかの犬にはない魅力満載
見た目もさることながら、中味がとても特別な犬。ファンシャー曰く「奇行が多い。予測がつかない。ほかの犬種にはない行動をするから、一癖も二癖もあっておもしろく、一度飼い出すと中毒性がある」とのことで、なんとも玄人好みの犬である。
どんな妙な行動をするのか尋ねると、「ウンチやオシッコをしたら、毎回走って逃げようとする。用心深い子ほどその傾向がある。排泄場所から急いで離れたい感じ。ウンチ拾いが大変」(野生動物では排泄中というのは敵に狙われやすいタイミングの一つ。危険回避のための習性が残っているのか?)「しっぽは振らない。犬によっては、尾の付け根をピクピク動かすことはある」「遠吠えをする犬もいる」(オオカミの習性を想起させる)「多頭飼育していると、猫みたいにお互いの体をずっと舐め合ってグルーミングしている」「ジャンプ力がすごく、サークル飼育は難しい。すぐ脱走する」「バリケンやキャリーバッグのような閉所が嫌い。じっとするのが無理なので、キャリーバッグに入れてバスや電車で移動するのはまず難しい」「背後から走ってくるジョギングの人に驚き、反射的にランナーの洋服をパクッと噛んでしまったりする。油断ならない」「水が苦手。海・川・お風呂大嫌い」(アフリカの犬。水の中にはワニがいる気でもするのだろうか?)などなど……。
こう列記すると、マイナスポイントのようにも思えるが、ファンシャーにとってはその特殊な野性味あふれる行動がたまらない。飼育にコツがいるのは間違いないが、中毒になってしまう悦びがある。どう考えてもビギナー向きではない。でもひとたびバセンジーの魅力に取り憑かれたら、ほかの犬が平凡に思えてくるのかもしれない。
ちなみに、メスのヒート(発情)が年1回というのも、犬の中ではかなり珍しい。普通の犬は、個体差があって時期がずれることはあるが、基本は春・秋の年に2回、ヒートがやってくる。それなのにバセンジーは年1回。秋にくることが多いという。南半球の過酷な自然環境化で子孫を確実に残すための、野生動物の生きる知恵の名残なのか。やっぱりバセンジーは特殊で不思議な犬である。
ただし、シュッとしたスリムな体型やエキゾチックな顔に惹かれて、「初めて飼った犬がバセンジー」という人も意外といる。ほかの犬を知らないので、「これが犬というものか」と先入観なく受け入れ、あとで特殊な性質の犬だったと気がつくこともあるようだ。サイズ的には扱いやすく、無駄吠えが少ない点ではご近所トラブルになりにくい犬なので、数々の不可思議な行動は、飼い主の努力と頑張りで乗り越えていくことは十分可能。
とにかく、そのバセンジーたる特別な行動や振る舞いを「ありえない短所」ではなく、「ほかに類をみない素敵な長所」「そのためにはどんな苦労も苦労と思わず一緒に暮らしたい」と感じる人だけが飼っていい犬。飼ったあとで「この犬は無理」と思わないよう、事前によくよく研究することが必要だ。
でも、まだまだ日本では身近な存在ではない犬種。「本当に飼うかどうかを決める前に、バセンジーを飼っている人のブログを片っ端から見て研究している人が多い」と、ファンシャーは言う。ブログは個人的主観のものが多いので、すべての情報が客観的に正しいかどうか判断が難しいこともあるが、なるべくたくさんの飼い主さんのブログを読み、可能ならオフ会にもさせてもらうなどして、たくさん情報を蓄えてから判断しよう。
ほとんど鳴かないというのはほんと。その点は集合住宅向き
バセンジーといえば「鳴かない犬」「ヨーデルのように歌う」と、よく文献に書いてある。ファンシャーに確認すると、たしかに普通の犬のようにバウワウ吠えたりはせず、マンションでも問題になることはほとんどないと言う。ただ、まったく鳴かないわけではない。バセンジー同士の喧嘩の際には「化け猫のような甲高い声」をだしたり、何か要求があるときはクックッというような妙な声をだすこともある。
また犬によっては、遠吠えのような声をだすこともある。おそらくこれがよく言われる「ヨーデルのような声」であろう。たとえば、救急車のサイレンが聞こえてきたとき、寂しいとき、ほかの犬が遠吠えし始めたときなどに遠吠えするという。似たような音に同調したり、群れを求めて遠吠えするのは、オオカミの習性にも似ていて興味深い。遠吠えはすべてのバセンジーがするわけではなく、個体差がはっきりしているそうだ。普段は吠え声が問題になるとは考えにくいが、もしかするとバセンジーの多頭飼育だと、誰かが遠吠えしだすとみんなが一斉に吠え出すということはありうる。無駄吠えのリスクを減らすことを考えると、どうしても鳴かれたら困る飼育環境の人は、多頭飼育は遠慮したほうが無難だ。
ちなみに「ヨーデルって、どんな声?」と思ったら、YouTubeなどで「バセンジー ヨーデル」「シンギング バセンジー」などと検索すると、その美声を聞くことができる。
もうひとつ付け加えると、バセンジーは敏感で警戒心が強く、他人にはよそよそしく用心深い性格なので、客人や泥棒が来たらいち早く察知する能力はある。でも、吠えて知らせるタイプではない。飼い主が自分の犬の行動をよく理解している人なら「あ、誰か来たな」とすぐ分かるが、いわゆるワンワン吠えて撃退してくれるわけではない。お知らせはしてくれるが、番犬に向いていると言ってよいかは微妙である。
体重10kg程度の小型犬だが、非常にタフで活発。飼い主さんもタフな人希望
バセンジーは柴犬ほどのサイズだが、猟やネズミ捕りをしていた、タフでスタミナがある犬。よく走るし、瞬発力も高い。「小型犬だから散歩はたいして行かなくていいだろう」などと思ったら大間違い。もともと好奇心が強くて探求心旺盛な犬なので、運動不足や刺激の少ない生活だと、リビングの物を壊したり、かじったり、どんな行動にでるか分からない。あの美しい筋肉をみれば分かるように、元来とても運動欲求の高い犬である。しっかり散歩に行く時間と体力のある飼い主さんがよい。
とてもパワフルでよく走る犬なので、自転車引き運動も好き。ただし「散歩ではまっすぐ歩かない」というほど、気が散りやすく、自分の気になる方向に行きたがる犬なので、自転車引き散歩するときは、自分が転倒しないように、また歩行者に迷惑をかけない場所や時間帯を選び、安全に十分気をつけよう。
以上のように、バセンジーは小粒ながら活動量が高く、機敏ですばしこい犬なので、高齢者のパートナーにするのは検討を要する。ただ、毎日2時間くらい散歩がしたいという健脚で元気いっぱいの高齢者なら、この限りではない。
トレーニングも一癖あり。飼い主には忍耐力と深い愛が必要
頑固で自主性が高く、野性味が強い犬なので、トレーニングは難航することが多い。でも「服従しないから頭が悪い」と判断するのは間違い。頭が良く、自分をしっかり持った犬だからこそ、ほいほいと人間の都合のいいようには動かないだけである。しつけは根気よく、繰り返し行ってほしい。全部の犬がするわけではないが、遠吠えや反射的な攻撃性(知らない人にパッと手を出されたときに反射的に噛んでしまう)などの本能的な行動は、トレーニングで矯正しにくいことも正直ある。でも、飼い主が本気で努力すれば、改善することは多い。
あるいは、矯正できないような行動は、その状況を作らないように飼い主が事前に対処すれば、問題が発生しなくてすむケースはたくさんある。自分の犬の行動をよく観察し、理解し、パターンを把握すれば、事件は減ってくる。飼い主の愛があれば、乗り越えられるはずだ。
またバセンジーは呼び戻しのトレーニングが難しいのも有名。古いタイプの猟犬は、セント・ハウンドもサイト・ハウンドも、自分の夢中になったことに集中しやすい性質なので無理もない。ただ、そのために道路に飛び出して交通事故にあったり、迷子になってしまうこともある。愛犬の安全を確保するために、ノーリードにするならば、ドッグランなどフェンスのあるところで遊ばせること。迷子札やマイクロチップも忘れずに。
自由気ままを愛するバセンジーは、閉所が苦手で、バリケンやキャリーバッグが嫌いな犬も多い。バリケンやバッグを破壊してまで脱走を企てる強者も多いとのこと。そのくせ子犬の頃はイタズラや破壊活動も多いので、留守番中に室内を自由にさせるのは、誤飲・誤食をする危険があるので心配だ。クレイト・トレーニング(バリケンで静かに休む練習)は、子犬の早い段階から始めることが望まれる。
ちなみに閉じ込められることが嫌いで、じっと我慢することも苦手なバセンジーは、バスや電車などの公共交通機関での移動も厳しい。サイズ的には小型犬で、抱っこも可能な大きさではあるが、動物病院の通院や帰省・旅行などの移動には、自家用車がないと難しいとのこと。また、ただでさえバセンジーは用心深く、デリケートな性格なので、旅行のときなど下痢をしやすい。移動手段は、少しでも犬に負担が少なくてすむように条件を整えてあげたい。
バセンジーはトレーニングの教え方・導き方も、ほかの犬種とは違う配慮が必要なので、できればバセンジーのトレーニング経験のあるトレーナーを探すことが望ましいが、そういう人が都合よくすぐ見つかるかどうかは難しいところだ。その場合に頼りになるのは、やはりバセンジー・ファンシャーしかいない。子犬のブリーダーや、ブログやオフ会などを通じて知り合ったバセンジー飼育に慣れた人にアドバイスしてもらったり、トレーナーを紹介してもらえるとよい。
性質には個体差が大きい。攻撃性の高い犬もいる。ブリーダー選びは慎重に
ドッグランでフレンドリーにほかの犬と遊べる社交性の高い子もいる一方で、気が強く攻撃性の高い子もいる。後者は警戒心が強い、野性的な性格が色濃く残っているタイプに多い。子犬期の社会化トレーニングをたくさん頑張っても、遺伝的な性格でフレンドリーにはなれない犬もいる。
性格を形成するのは、遺伝(血統)半分、環境(飼い方)半分。友好的なバセンジーであれば他犬とトラブルにはなりにくいので、そういう犬を望むならブリーダーをきちんと選ぶのがよい。母犬や親戚犬に事前に会わせてもらい、どの程度、警戒心や攻撃性が強い性格なのかを見極めよう。
このページ情報は,2014/10/30時点のものです。
本犬種図鑑の疾病リストは、AKC Canine Health Foundation、Canine Cancer.com、Embrace Insurance “Pet Medical Conditions”などを筆頭に、複数の海外情報を参考にして作られています。情報元が海外であるため、日本の個体にだけ強く出ている疾患などは本リストに入っていない可能性があります。ご了承ください。
掲載されている内容/データに間違いを見つけたら?