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図鑑

ボルゾイ

貴族的な外貌のショードッグ界の華。
荒々しい系とおっとり系、両極端のタイプがいる

獣猟犬(サイト・ハウンド)チーム
獣猟犬(サイト・ハウンド)チーム

獣猟犬の中でも、視覚を使って獲物を見つけるタイプで、別名「視覚ハウンド」。優れた視力と共に、特筆すべきは走る速さ。鉄砲を使う猟の人間のお手伝いではなく、自らの足で獲物を狩ってくる、最も古いタイプの猟犬。

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英名
Borzoi - Russian hunting Sighthound
原産国名
Russkaya Psovaya Borzaya
FCIグルーピング
10G サイト・ハウンド
10G サイト・ハウンド

JKCでは「視覚ハウンド」と呼ばれるこのグループは、優れた視覚と走力で獲物を追跡捕獲する犬のグループです。

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FCI-No.
193
サイズ
シルエット
シルエットについて

身長160cmの人と、FCI犬種スタンダードに掲載されている体高(最高値)のオス犬を表示しました。体高の記載のない犬種は、体重等からみたバランスのよいサイズにしています。ただ同じ犬種でも、体重、性、毛量などにより個体差があります。

原産国
特徴
  • 大型犬
    大型犬

    体重25〜40kgくらいの犬。日本では、バスや電車の移動は事実上不可。動物病院への通院や帰省、旅行のときなどには、自家用車が必要となる。

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  • 超大型犬
    超大型犬

    体重約40kg以上の犬。日本では、バスや電車の移動は事実上不可。動物病院への通院や帰省、旅行のときなどには、自家用車が必要となる。動物病院やトリミングサロンで施術を断られることもあるので、情報収集が必要。

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  • 長毛種
    長毛種

    ロングヘアともいう。毛の長さ、硬さ、ダブルコート(上毛と下毛がある)かシングルコート(上毛のみ)かは犬種による。シングルコートの場合は、長毛種でも意外と抜け毛が少なく、シャンプーなども楽。

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  • マンションでもOK
    マンションでもOK

    サイズではなく性質などが、集合住宅に比較的適応性があると考えられる犬。「警戒心が乏しいため、無駄吠えが少ない」「他者にフレンドリー」「室内ではまったり過ごす」「鳴いて要求することは少ない」など。ただしこれはあくまでも犬種の特徴であり、それぞれでお住まいの集合住宅での規約を遵守することが必須。

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  • 自家用車必要
    自家用車必要

    日本では、電車・バス・新幹線などの公共交通機関に大きな犬は乗車できない。動物病院の通院時や帰省、アウトドア遊びなど、歩いて行ける範囲を超える外出のときには、自家用車が必要となるサイズ。

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  • 子供との同居△
    子供との同居△

    騒々しい子供のいる家庭だと、落ち着きのない犬になったり、子供が抱くのを失敗し、落下させて犬に骨折などのケガをさせたりする可能性あり。親に、子供の監督能力と、犬の安全管理能力があれば同居も可能。

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  • 自分でシャンプーOK
    自分でシャンプーOK

    自宅でシャンプー&ドライができる犬や、長毛種でも基本カットしなくてもいい犬など。ただし耳や足などの飾り毛や足の裏の毛のカット、肛門嚢しぼり、爪切り、耳掃除などはプロに一度習うとよい。

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  • ブラッシング毎日
    ブラッシング毎日

    もつれやすく毛玉ができやすい犬や、散歩のときに葉っぱやゴミを毛に絡ませてしまう犬は、毎日ブラシかコーム(櫛)をかけて、毛玉を防止し、汚れを落とすようにする。

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  • 抜け毛が多い
    抜け毛が多い

    無毛種でないかぎり、どの犬でも多かれ少なかれ毛は抜けるが、とくに掃除を頑張る必要がある犬種。ダブルコート(毛が二層ある被毛)の犬は、春・秋の換毛期の掃除はエンドレス。潔癖症にはオススメできない。

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  • 頑固・独立心強い
    頑固・独立心強い

    人間の指示で動いていた犬ではないため、そう簡単に人間の都合に合わせてくれないタイプ。決して馬鹿なわけではなく、自分の判断や本能を優先しているだけ。その犬種に合わせたトレーニング技術や忍耐力が飼い主に必要。

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  • デリケートな性格
    デリケートな性格

    犬種的に繊細な心を持ち、過敏なこともある。環境適応能力、順応性が低いため、旅行先で緊張して下痢したり、知らない人や犬に囲まれると心労が激しい。早期から社会化トレーニングに取りかかることが望まれる。

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  • 走るのが生きがい
    走るのが生きがい

    走る・斜面を駆け上がる・やぶに入る・水に飛び込むなどが大好きな、非常に活動量の高いタイプ。歩く散歩では運動したうちに入らない。野山を走らせる自由運動の機会を、できるだけ多く与えることができる人向き。

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  • 暑さに弱い
    暑さに弱い

    夏場の飛行機移動は断られるほど暑さに弱い短頭種や、長毛種、厚いダブルコートなどの犬種。冷房を、梅雨前〜秋まで24時間態勢でつけないと熱中症になる可能性があり、電気代がかかる。夏の朝散歩は5時や6時台がよい。

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ボルゾイ
ボルゾイ
ボルゾイ
ボルゾイ
ボルゾイ
ボルゾイ
ボルゾイ
ボルゾイ
ボルゾイ
ボルゾイ

歴史

「ロシアン・ウルフハウンド」「シベリアン・ウルフハウンド」「ロシアン・グレーハウンド」という別名から分かるように、ロシアの森林地帯でオオカミ狩りをする目的で作られたサイトハウンド。

ロシア北部の森林地帯は、オオカミがたくさん生息していた場所である。家畜の被害も大きかったが、ボルゾイがオオカミ退治以上に求められたのは、貴族たちの優雅なスポーツ・ハンティングのお伴としてである。
単独あるいは数頭でハンターをサポートする一般の大型獣用の猟と、ロシア貴族の猟はかなり趣が異なる。まずは勢子(狩猟の場で、鳥獣を追い出したり、包囲して一定方向に誘導する役目をする人々。近世・中世、領主や貴族が多数の農民を使役した狩猟では、勢子が数百人を超えることもよくあったという)によってオオカミを散らし、運動性能が同レベルのボルゾイ2〜3頭を同時に野に放つ。足の速いボルゾイはオオカミに追いつき、オオカミに総攻撃をしかける。挟み撃ちにあったオオカミは首を咬まれ、地面に押さえ込まれる。そこへまもなく到着した狩人によって短剣でひと突きされるというやり方の猟だ。数日間にもわたり、数百人規模で行われる儀式……というか一大イベント的なハンティングで、ロシア皇帝のお気に入りの余興だった。

ボルゾイは、ロシアでは「ボルザーヤ」という名前で呼ばれる。どうやら「ボルゾイ」とはオス犬を指すらしい。ボルザーヤやボルゾイはロシア語で「素早い・俊敏」を意味するborzyiがもとになっている。

寒いロシアで愛好されたボルゾイの起源については諸説ある。そもそもサイト・ハウンドは、暖かい南方の、地中海沿岸地帯が発祥の地とされている。南方のグレーハウンドのような犬がロシアに連れてこられ、もともとロシアにいたロングヘアのシープドッグなどと混ざり合ってボルゾイの祖先犬が誕生したとも言われる。11世紀に書かれたフランスの歴史書に、すでにボルゾイについての記述があるので、少なくとも1000年近くの歴史はあるだろう。ロシア貴族のお気に入りだったボルゾイは、ヨーロッパ王室関係者にも多くプレゼントされ、ヨーロッパの貴族たちにもよく知られることとなった。1891年、イギリス・クラフツの第1回目のドッグ・ショーからボルゾイは出陳されている。

しかし1917年のロシア革命の影響で、ボルゾイは「貴族の象徴」として民衆に多数が虐殺され、壊滅的な打撃を受けたという悲しい歴史を持つ。しかし幸いにして、革命前にヨーロッパ各地にボルゾイが送られていたために絶滅は免れた。
19世紀末よりボルゾイは、ヨーロッパ、アメリカ、そして日本でもショードッグとして人気が高く、トップ争いの上位の常連である。

外見

スラリとした体高、細長い四肢、スッとしたボディ、柔らかいウェーブがかったシルキーな被毛。ノーブルで、いかにも走るのが速そうな流線型の外貌が魅惑的だ。また頭部が小さく、背が高く、四肢が細長く、人間でいうなら、さながら「8頭身のスーパーモデル体型」。洗練された姿なので、ショーリンクを走る姿も格別に美しい。

体高は、オス75〜85cm、メス68〜78cmが理想。アイリッシュ・ウルフハンド、グレート・デーンに次いで高い。体重の犬種スタンダード明記はないが、一般にオス35〜45kg、メス27〜40kgくらい。体高の割に幅が薄く、重量感がなくスラッとしている。ラブラドール・レトリーバーより体高が20cmくらい大きいのに、体重は同レベルか少し重たいくらいだ。

ボルゾイは、体の各部の重要な比率が厳密に決まっている。
・オスの体高(キ甲:肩甲骨のいちばん高い部分〜地面)は、キ甲と尻の高さが等しいか、わずかにキ甲が高い程度。メスはキ甲と尻の高さが等しい。背はローチ・バック(鯉背。背線が腰に向かって弓なりに湾曲した背)といわれ、水平な背は好ましくない。とくにオスは、腰から尻にかけてカーブしている特徴がよく見られる。
・体高は、体長に比べるとわずかに短い(つまり少しだけ胴長で横長方形型)。
・胸の深さは、体高の半分にほぼ等しい。
・スカル(頭の鉢)は、マズル(両眼またはストップから鼻先)の長さに等しいか、わずかに短い。

そのほか細かいスタンダードが他犬種より詳しく決まっているように見受けられる。一度絶滅しかかり、近代になって再度犬種復興した犬だからかもしれない。

被毛はシルキー(絹糸状)で、柔らかくしなやかで、ウェーブか短いカール。頭部、耳、四肢の被毛は短く密で、サテンのような手触り。ボディの被毛はかなり長く、ゆるやかな巻き毛。あばら骨周辺や大腿部は短めだが、胸のフェザリング(羽毛状の飾り毛)やブリーチ(足の後ろの飾り毛)、尾の飾り毛は長い。
毛色は、ブルーとブラウン(チョコレート)以外の、すべての被毛の組み合わせが許される。模様も自由。単色(全身1色)やパイド(いわゆるパーティ・カラー。地色に1色または2色の明確なぶち)もOK。たとえば、ブラウン&ホワイト、トライカラー、ホワイト、ホワイト&ブラウン斑、ホワイト&ブリンドル、オレンジ・セーブルなどで、多岐にわたる。
体格には性差があり、オスの方がメスよりひとまわり大きく立派に見える。毛ぶきも、一般的にオスのほうがよい。
また毛ぶきは、性成熟する頃から変わってくる。オスの場合、2歳過ぎから胸や足の飾り毛が長く伸びてくることが多い。完成するのは4歳ごろ。若い頃はオスもメスも、まだ毛がぽわぽわしており、その時期もまた愛らしい。ただ血統により、毛があまり長くならない個体もいる。

子犬の頃はそれほど大変でなかった毛の手入れも、成犬になって毛が伸びてくると大変になってくる。「ボルゾイはシングル・コートなので抜け毛がない」と書かれていることもあるが、室内飼育していると、抜け毛がけっこう多いことが分かる。個体差もあるが、抜け毛がないとたかをくくるより、長毛種なので抜けて当然くらいに考えておいたほうがいい。ピンブラシとコームで手入れをする。美しい犬を美しいままキープし、またリビングも美しく生活するのは、並々ならぬ努力が必要。

トリミング犬種ではないので、ショードッグでないなら自宅でシャンプーは可能。ただし体表面積の広い犬なので、シャンプー&ドライはとても時間がかかる。でもアフガン・ハウンドのような、下毛が絹のように細くてからみやすい分厚いダブルコートではないので、そこまでは大変ではない。ボルゾイのシャンプーをトリミングサロンに依頼すると、地域差はあるが1万5000円〜2万5000円くらいが相場のようだ。

毛色


なりやすい病気

遺伝性
  • ウォーブラー症候群
  • 三尖弁異形成
  • 変性性脊髄症
先天性
  • とくになし
その他
  • 胃捻転
  • 肥大性骨ジストロフィー

魅力的なところ

  • 貴族的な容姿。とにかく美しい。
  • 歩く姿もしなやかで美しく、駆ける姿も素晴らしい。
  • 家では猫のよう。室内で騒いだりしないし、鬱陶しくない。
  • おっとりのんびり家系の性格の犬は、割と飼いやすい。
  • 家ではへそ天で寝ていて無防備な甘えん坊。そのギャップもいい。
  • 自主性・独立性があり、留守番も苦手ではない。
  • 個体差はあるが、無駄吠えが少ないタイプもいる。
  • おっとりタイプなら子供にも寛容。

大変なところ

  • 獲物を見つけると突然興奮し、激しく反応する攻撃性の高いタイプもいる。
  • 荒々しいタイプとおっとりタイプで性質が両極端。よい犬を見極めるのが難しい。
  • 荒々しいタイプなら、子供との同居は咬傷事故の心配あり。
  • 家ではまったりしているので番犬向きではない。
  • マイペースなので、しつけには根気が必要。
  • 呼び戻しが苦手。
  • 子犬の頃はやんちゃでいたずらっ子。蹴りが強いせいかケガや骨折をしやすい子もいる。
  • ジャンプ力が優れており、ドッグランや庭の柵を跳び越える。
  • 人間の徒歩の散歩では良い筋肉は付かない。運動には広大な場所が必要。
  • 体が大きいので、ブラッシングやシャンプードライはひと苦労。
  • 抜け毛はある。
  • 日本の温帯湿潤気候は暑すぎる。冷房が4月〜10月近くまで必要なことも。

まとめ

とてもエレガントで美しい犬。だけど自分の見栄のために飼うのはNG

ロシアやヨーロッパの貴族が夢中になった、ノーブルでエレガントな犬。犬界トップクラスの美貌の持ち主だ。大きくて立派で、ゆるやかなウェーブがかった被毛がエレガントで、とにかく麗しい。そして走る姿も見事で、なんて美しい動物なのだろうと見とれてしまう。流線型のボディ、長い四肢、なびく被毛。非の打ちどころがないほど流麗な姿をしている。

そのためか、子供の頃に犬種図鑑を見たときから「いつかは飼ってみたい憧れの犬」と夢見ている人も多い。その気持ちは、とても大事な想いだ。ただしやはり憧れだけで、はたまた自分の見栄や虚栄心のためにボルゾイを選んではほしくない。実際、そのあと飼いきれずに捨てられたり、正しく飼養されずに飼い殺しされている例も残念ながら少なくない犬種なのである。

またショードッグの世界でスター選手が多く、高額で取り引きされるので、マイナスイメージが語られることを許されない風潮もある。でも実際にボルゾイと生活するということは、きらびやかな世界とは裏腹な苦労もたくさんある。毎日の運動、毛の手入れ、気が遠くなるシャンプードライ、体重換算で高くなるフィラリア投薬代はじめとする獣医療費など、ボルゾイに限ったことではないが、犬と暮らすということは素敵なことだけではない。

しかもボルゾイは、血統や飼育方法により、かなり性質にばらつきがある。1つの犬種の中に、なぜこんなに両極端の性質の犬がいるのかよく分からないが、日本における遺伝子プールの脆弱さの影響もあるのかもしれない。
たまたま飼いやすいおっとり・のんびりタイプが自分の家にやってくればいいが、猫や鳥を見てはダッシュし、嫌いなオスに飛びかかり、食べ物の執着が強く茶碗に触ると唸って飼い主を威嚇する、などの荒々しいタイプだった場合、ちゃんと飼いきれるのか、事前にたくさんシミュレーションをする必要がある。
「オスの方が立派で毛ぶきがいいから」などの安易な考えで迎えるのは御法度。メスの方がサイズも小さめで、優しい子が多いと言われるのに、ただ見栄えの良さだけを重視してオスを飼う人もいる。仮にその子が45kgくらいに成長した場合、オオカミを捕らえることのできる気の強さと俊敏な身体能力のある強い犬を、自分にコントロールできるのか、よく考えてから迎えるべきだ。

本当にボルゾイに惚れ込み、一緒に暮らしたいのなら、お金儲け主義のブリーダーやショップの意見だけでなく、実際にボルゾイを何代も飼っているような本物のファンシャーの意見にも耳を傾けたほうがいい。いいことばかりではなく、苦労や大変な点もちゃんと教えてくれる人の情報こそ貴重だ。

初心者がいきなりボルゾイを飼うのはオススメできないが、それでも欲しいというのなら、よけいに情報収集に励むしかない。コンパニオン(家庭犬)として迎えたいのなら、少しでも穏和な血統の犬を迎えたほうがよいので、ショードッグとしての見た目の立派さだけを追求するのではなく、性質面の健全性・安定性を考えて繁殖計画を立てている良心的なブリーダーを探そう。親犬や親戚犬に実際に会ってみることも欠かせない。

ロシア原産の犬なので、暑さに弱い

ロシア原産の犬なので、日本のような温帯湿潤気候は苦手。室内飼育ならば、早ければ4月から10月まで冷房を入れることになって電気代がかかる。反対に、冬は電気代はあまりかからない。暖房を入れると、ハアハアと恨めしそうな顔をされるかも。犬の快適温度になるべく合わせた生活空間にする努力が必要。

また夏場の散歩は、日中はもちろん暑すぎるので、朝5時起床で1時間歩くという飼い主さんもいる。そしてまた、アスファルトが冷めた頃の時間の深夜に1時間ほど歩く。犬のためなら早起きも苦にならないという人がよい。

ノーリードは心配。ドッグランなど囲いのある場所で

サイト・ハウンドの仲間は、非常に足が速くてあっという間に遠くに行ってしまうし、また獲物に夢中になると興奮しやすいので呼び戻しが難しい。それは、ライフルのない時代から自らの牙でハンティングをしていた犬なので、ごく自然の行動である。しかしそのために失踪しやすいし、森のような広い環境でなく道路が近い場所では交通事故に遭いやすい。ボルゾイはじめサイト・ハウンドは、ドッグランなど囲いのあるところで放すのが安全だ。

ちなみに走るのが専門であるサイト・ハウンドは、リード付きの散歩だけではとうてい運動とはいえないので、広大な場所でたっぷり自由運動をさせることが必要。ボルゾイやサルーキなどの大型サイト・ハウンドのヨーロッパのファンシャーは、ウマの牧場かと見間違うような広いドッグランを所有していることが多い。それくらい全速力ができる環境を用意できれば理想だが、日本ではなかなか難しいので、代わりとなる広いドッグランを探すよう努力したい。

さらに注意点として、ボルゾイは跳躍力も非常に優れた犬なので、1m以上のフェンスでも、いとも簡単にジャンプしてしまう。アクティブさには個体差はあるが、身体能力的には1.5mくらいでも軽々と飛んでしまう犬もいるというし、ドッグスポーツの「ハイジャンプ」部門ではたいていボルゾイが優勝候補だ。油断せずに安全な場所で遊ばせよう。また自宅の庭も、フリーで遊ばせるのなら、高いフェンスを整備する。ちなみに垂直跳びだけでなく、前足をかけてよじ登って柵越えをする犬もいるので、足をかけることのできないタテ棒だけの柵がいいだろう。

美しい立派な姿は、飼い主の努力の賜物

絹糸のような被毛は、ボルゾイの優雅さを醸し出す大事な要素。でも柔らかく細いシルキーな毛は、それだけからんだり、落ち葉やホコリをからめとってきやすい。散歩から帰ったら、サッと汚れをピンブラシでとるようにする。
また白っぽい被毛は、汚れが目立ちやすいので、2週間〜1か月おきにシャンプーをしている家庭が多い。

汚れるからコンクリートの上しか歩かせない、というのはボルゾイにとってよい飼い主ではない。ボルゾイは、芝や土の上を全力疾走してこそ魅力が輝く。そして運動により美しい筋肉が付き、健全な足腰が鍛えられる。どの犬にでも言えることだが、長生きしたときに、ぎりぎりまで元気に歩くことができる犬を目指して、若い頃からしっかり運動管理をしよう。

公園やショー会場に遊びに来ているボルゾイを見かけると、とてもきれいだが、それは飼い主さんが愛情込めていつもきれいにブラッシングをし、こまめにシャンプーし、栄養管理なども頑張っているからこそ。飼い主さんが日々どれだけの手間をかけているかは、外から見ていると分からないが、美しいボルゾイは努力なしにはキープできないと心するべし。

このページ情報は,2014/11/08時点のものです。

本犬種図鑑の疾病リストは、AKC Canine Health Foundation、Canine Cancer.com、Embrace Insurance “Pet Medical Conditions”などを筆頭に、複数の海外情報を参考にして作られています。情報元が海外であるため、日本の個体にだけ強く出ている疾患などは本リストに入っていない可能性があります。ご了承ください。

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