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図鑑

ボクサー

英米で毎年トップ10入りする
無邪気で子供好きな、人気家庭犬

大型愛玩犬チーム
大型愛玩犬チーム

長い歴史の中で昔の仕事をすっかり忘れ、愛されるために改良された大型犬。体は大きいが、心が穏やかで安定しており、本当は飼いやすい。子供にも寛容。欧米では家庭犬として人気ランキングの上位に登場する。

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英名
Boxer
原産国名
Deutscher Boxer
FCIグルーピング
2G 使役犬
2G 使役犬

ピンシャー&シュナウザー、モロシアン犬種、スイス・マウンテン・ドッグ&スイス・キャトル・ドッグ及びそれらの関連犬種がこのグループです。番犬、警護、作業をする犬が該当します。

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FCI-No.
144
サイズ
シルエット
シルエットについて

身長160cmの人と、FCI犬種スタンダードに掲載されている体高(最高値)のオス犬を表示しました。体高の記載のない犬種は、体重等からみたバランスのよいサイズにしています。ただ同じ犬種でも、体重、性、毛量などにより個体差があります。

原産国
特徴
  • 中型犬
    中型犬

    体重10〜25kgくらいの犬。10kgを超えると、抱っこでの移動はけっこう厳しい。キャリーバッグやバリケンの重量が加わると、さらに重くなる。約15kgを超えると、人力での移動はほぼ困難。自家用車がある方がよい。 

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  • 大型犬
    大型犬

    体重25〜40kgくらいの犬。日本では、バスや電車の移動は事実上不可。動物病院への通院や帰省、旅行のときなどには、自家用車が必要となる。

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  • 滑毛種
    滑毛種

    スムースヘアともいう。ツルッとした手触りの、1cmほどのごく短い短毛。シャンプーやブラッシングは簡単。下痢のときでもお尻がすぐ洗える。ただしごく短い毛でも、抜け毛はある。寒がりが多い。

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  • マンションでもOK
    マンションでもOK

    サイズではなく性質などが、集合住宅に比較的適応性があると考えられる犬。「警戒心が乏しいため、無駄吠えが少ない」「他者にフレンドリー」「室内ではまったり過ごす」「鳴いて要求することは少ない」など。ただしこれはあくまでも犬種の特徴であり、それぞれでお住まいの集合住宅での規約を遵守することが必須。

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  • 自家用車必要
    自家用車必要

    日本では、電車・バス・新幹線などの公共交通機関に大きな犬は乗車できない。動物病院の通院時や帰省、アウトドア遊びなど、歩いて行ける範囲を超える外出のときには、自家用車が必要となるサイズ。

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  • 子供との同居○
    子供との同居○

    性格的に子供に対して寛容で、多少のことは大目に見てくれる優しいタイプ。子守りをしたがるほど子供が大好きな犬もいる。ただ、犬に悪気はなくても体当たりするだけで子供が転ぶ可能性はあるので、親の監督は必要。

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  • 自分でシャンプーOK
    自分でシャンプーOK

    自宅でシャンプー&ドライができる犬や、長毛種でも基本カットしなくてもいい犬など。ただし耳や足などの飾り毛や足の裏の毛のカット、肛門嚢しぼり、爪切り、耳掃除などはプロに一度習うとよい。

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  • ブラッシング週2〜3回
    ブラッシング週2〜3回

    死毛を取って蒸れを防止したり、地肌の血行促進のため、週に数回はブラッシングをする。ブラッシングすると室内掃除機の回数も減るし、人間が体に触るのに慣れる練習にもなる。

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  • 頑固・独立心強い
    頑固・独立心強い

    人間の指示で動いていた犬ではないため、そう簡単に人間の都合に合わせてくれないタイプ。決して馬鹿なわけではなく、自分の判断や本能を優先しているだけ。その犬種に合わせたトレーニング技術や忍耐力が飼い主に必要。

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  • おおらかな性格
    おおらかな性格

    犬種的に朗らか、おおらかなタイプ。環境適応能力や順応性が高いため、新しい環境や人にもたいして動じない。社会化トレーニングも順調に進みやすく、飼いやすいタイプ。ただし個体差、血統差はある。

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  • 敏感(番犬OK)
    敏感(番犬OK)

    敏感なので、外の物音などにすぐ反応して、吠えて知らせてくれる。番犬やアラームドッグに最適。しかしマンションや住宅密集地など、吠え声が問題になる住環境の場合は要検討。

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  • 遊び・イタズラ大好き
    遊び・イタズラ大好き

    好奇心旺盛で知的探求心が強く、すなわち賢い犬。でも頭を使う楽しみが満たされないと、ゴミ箱をひっくり返したり、物をかじったりなどの悪さをする。イタズラは好奇心の裏返し。脳を刺激する遊びを与えることが大事。

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  • 力が強い
    力が強い

    引っ張らないように教えることもできるが、いざというときにしっかりコントロールできないと、飼い主が骨折・脱臼したり、愛犬を手放してしまって車に轢かれるなどの事故が起きる。非力な高齢者や女性は要検討。

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  • 暑さに弱い
    暑さに弱い

    夏場の飛行機移動は断られるほど暑さに弱い短頭種や、長毛種、厚いダブルコートなどの犬種。冷房を、梅雨前〜秋まで24時間態勢でつけないと熱中症になる可能性があり、電気代がかかる。夏の朝散歩は5時や6時台がよい。

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  • 寒さに弱い
    寒さに弱い

    滑毛種や老犬などは、寒さに弱いので屋外飼育は避ける。室内飼育でも暖房をつけたり、床は底冷えするので暖かいベッドや毛布を準備。また寒い季節の散歩時には、防寒用の犬服を用意する必要もある。

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ボクサー
ボクサー
ボクサー
ボクサー
ボクサー
ボクサー
ボクサー
ボクサー
ボクサー
ボクサー

歴史

かつてブラバント地方(現在のベルギー中部・北部とオランダ南部の地方)にいた、マスチフ系のブレンバイザーと呼ばれる犬の中で小型だったものが、ボクサーの直接の祖先と考えられている。ブレンバイザーは、獣猟のときハウンド種によって追い詰められた獲物を、猟師が到着するまで口でしっかりくわえて捕らえておく「噛み留め」するのが仕事だった。鉄砲やナイフでとどめを刺すのは猟師の役目だったので、犬は獲物を噛み殺すのではなく、逃げないようにくわえて押さえつけて留めておく。そのために、大きな口と幅広い歯列と、くらいついている間も呼吸ができるように少し上向きの鼻とアンダーショット(反対咬合。下顎が上顎より前にでている噛み合わせ)という特異な形状のものが都合がよく、選択交配されていった。

さらに「ブル・バイティング」(牛に噛みつかせるゲーム)がヨーロッパで流行った時代に、闘犬の改良も盛んに行われ、ブレンバイザーの系統の犬に、オールド・イングリッシュ・ブルドッグ等を掛け合わせてドイツでボクサーが作出されたという。ちなみにブレンバイザーは19世紀はじめに、ボクサーと入れ替わるように絶滅した。

いずれにせよ、噛み留め犬およびブル・バイティング犬という役目のため、そういう作業に適した顔つきとパワーのある犬が選択交配されていった結果、現在の短いマズル、幅広い口、アンダーショットのボクサーが誕生したと考えられる。

外見

日本人的感覚では、ボクサーはまごうことなき「大型犬」だが、国際標準では「中型」の部類に入る。体高は、オス57〜63cm、メス53〜59cm。体長:体高は1:1の比率がよいとされ、スクエアでコンパクトな体型をしている。体重は、オス30kg前後、メス25kg前後。でも、一見スマートな外見とは裏腹に、中味がぎゅっと詰まっているらしく、見た目より重たい。引っ張る力も強い。

ただし、ボクサーにはドイツ系とアメリカ系がある。FCI (国際畜犬連盟)やJKC(ジャパンケネルクラブ)では犬種標準(スタンダード)は分けておらず、同一の犬種であり、「タイプはない」という意見の人もいる。しかし正直言って、少しボクサーを知っている人ならば、外見の違いは一目瞭然。ヨーロッパで飼育されている率の高い本場ドイツ系は、頭がごつくて大きめ、体格も頑健でガッチリなマッチョ型。遠い祖先のマスチフの重厚な血を感じさせる。かたや、ドイツから連れてきたボクサーをアメリカ人好みにスタイリッシュに改良したアメリカ系は、頭が小さく、首も細めで長く、体格もスマートでシュッとしている。ある資料では、ドイツ系を「農耕馬」、アメリカ系を「サラブレッド」と表現しているものもある。その表現が正解かどうかは論争の火種となりそうなのでそっとしておくが、ひとつのイメージとして役立てることはできるかもしれない(ただし「農耕馬」というのは言い過ぎというか、そんなにドイツ系は泥臭くないと個人的には思う。ドイツ系は威厳があり、骨太で逞しい感じがする)。
いま、日本ではボクサーにかかわらずヨーロッパよりもアメリカから犬が輸入されることが多いようなので、アメリカ系の飼育頭数の方が増えている印象があるが、古き良きドイツ系をこよなく愛するファンシャーも根強く存在する。どちらの個性も素晴らしいので、優劣をつけるものではない。でも、ボクサーに憧れていて、今から飼いたいと思っているのなら、容姿に違いがあるのは事実なので、インターネットや書籍でよく研究したり、ショー会場に足を運び、自分の好きなタイプや血統を探したり、ブリーダー情報を集めることをお勧めする。ちなみに、外貌だけでなく性質にも多少の差があると言われている。

被毛は滑らかで、光沢のある、ごく短い滑毛(スムースヘア)。足の裏にトゲのように刺さることもあるくらい、硬くて短い。ごく短毛だが、換毛するので、抜け毛はある。短いので抜け毛の総量としては少ないが、スムースヘアの犬はけっこう新陳代謝が良いらしく、よく抜けるのでリビングの掃除機かけは必要。「毛が短いから、抜けません」などという間違った説明に惑わされてはいけない。ただ、短いので毛の手入れは簡単だ。週に2〜3回、地肌のマッサージを兼ねて、猪毛ブラシやラバーブラシでブラッシングすればよい。シャンプーも簡単だし、タオルドライだけでほぼ乾く。

毛色はフォーン(明るい茶色。ボクサーでいうフォーンは、薄い黄色のような明るい色や濃いディア・レッドまで幅広い)。またはブリンドル(明るい茶色の地色に褐色や黒がまじった虎毛)やブラック・ブリンドル(黒っぽい地色の虎毛)。頭部や背中が赤っぽい色で、おなかや四肢の先が白いレッド&ホワイトに近い色味もある。マズル、胸、四肢の先に白が入っていることが多いが、ブラックマスクといって顔全体が黒い犬もいる。ブラックマスクは精悍に見える。日本人は、黒っぽい色の犬は「怖そう」と感じて毛嫌いしたり、白のラインが美しく入っていると「洗練されている」「清潔感がある」と好印象を持ったりするが、色違いなだけで、性格の差はない。

たまに全身が真っ白のボクサーが誕生することがある。今までは同じ親犬から生まれていても、白い毛が全体の1/3を超える個体は血統書を発行してもらえず、淘汰(間引き)されることも多かった。白いボクサーには聴覚障害などの身体上の欠陥が出ることもあるので十分注意が必要だが、健常な犬もいる。家庭犬として一緒に暮らすなら、何の問題もない。そのため2010年からやっとボクサーとして存在が認められ、「ホワイト」として血統書がでることになった。ただし、聴覚障害など身体的ハンディのある犬を誕生させないため白いボクサーを繁殖に使うことは認められていないし、「白いボクサーは珍しい」とそういう意味で欲しがるのはよくない。家庭犬として普通の幸せを与えてあげてほしいと思う。

日本やアメリカでは慣習的に未だに断耳、断尾される犬も多いが、ヨーロッパの多くの国では動物福祉の観点から断耳、断尾はすでに禁止となっている。断耳しなければ、中くらいの長さの垂れ耳になり、愛らしい表情となる。いまは日本でも垂れ耳のボクサーは増加傾向にある。近い将来、日本でも断耳や断尾をしないボクサーが主流になる予感。

毛色


なりやすい病気

遺伝性
  • 股関節形成不全
  • ボクサー心筋症
  • 若年性腎疾患
  • 心房中隔欠損症
  • 停留睾丸
  • 変性性脊髄症
先天性
  • 大動脈弁下狭窄症
その他
  • 脊椎症
  • 悪性血管内皮腫
  • 甲状腺機能低下症
  • 眼瞼内反
  • 眼瞼外反
  • 胃捻転
  • 胃腸障害
  • アトピー性皮膚炎
  • 聴覚障害
  • 骨肉腫
  • ガン
  • クッシング症候群
  • 細菌性心内膜炎
  • 心嚢疾患
  • 心臓腫瘍
  • 炎症性腸疾患
  • パターン脱毛症

魅力的なところ

  • 鼻ぺちゃで、表情豊かなファニーな顔がたまらない。動きもチャーミングで可愛い。
  • いつでもワクワクと好奇心の塊。老いてもなお遊び好き。
  • 飼い主に一途。飼い主が嬉しいなら、自分もハッピー!という意外と健気な性格。
  • 近代のボクサーは、改良の結果、優秀なコンパニオン。想像以上に扱いやすい。
  • 警察犬になるほど、訓練性能が高い。賢く利発な犬。
  • 欧米では「子守り犬」といわれる。幼児に優しく、そばにいたがる。

大変なところ

  • 中型犬のわりに身が詰まっていてズシリと重く、引っ張る力が強い。
  • 頑固。自分が解せないことには反抗的。トレーニングにはコツと忍耐が必要。
  • 友好的な血統もいるが、犬や小動物に対して攻撃的な個体もいる。
  • 噛み留めの仕事のせいかハードマウス。サッカーボールをものの10分ほどで破壊することも。
  • 暑いのも寒いのも苦手。冷暖房完備の住環境を求む。
  • 夏場の散歩は、早起きできる飼い主に限定。
  • 犬種改良の歴史が長いため、遺伝性疾患を始め病気が多い。残念ながら相対的に短命。

まとめ

欧米で愛される人気のコンパニオン

日本では、どうもボクサーやブルドッグの顔を見ると「凶暴そう」「咬まれそう」と、悪い印象を持っている人が多いが(なぜだろう? 映画やアメリカアニメの比喩的表現の影響だろうか)、ハッキリ言ってそれは誤解だ。「ブル・バイティング」の時代ははるか昔のことであり、現代ではコンパニオン(家庭犬)として、穏和で、家族に忠実でフレンドリーな性質になるように改良が重ねられた結果、アメリカやイギリスでは、ラブラドール・レトリーバーと同様に、人気犬種ランキングのトップ10に毎年コンスタントに入っている。長年にわたり、たくさんの人に支持されているということは、単なる一時的な流行ではなく、それだけ飼いやすい、扱いやすい犬種という証明だといえるだろう。実際、かつて日本でもボクサーの飼育頭数が多かった時期もある。戦後、アメリカ駐留軍の人たちが多くボクサーを持ち込んだこともあって日本に知れ渡り、昭和30〜40年代頃には多く一般に飼われていた。

チャーミングな性格で楽しい。でも頑固

おおらかで、脳天気で、陽気なピエロのような性格。飼い主や家族に対して、無邪気で愉快で可愛い。年をとっても狡猾さや人を欺くようなところはないという。いつまでたっても、子供の頃のお茶目さが続く犬。あの顔で、実はとても飼い主想いのところもたまらぬ魅力。飼い主への愛情が深く、しかも寒がりなので、ピタリと体の一部分を飼い主にくっつけて昼寝をしたりする。実にチャーミングな犬だ。ただし血統差もある。ブル・バイティング時代のような、興奮度や攻撃度の高いボクサーは時代に逆行しているので認められない。犬種スタンダードにも「ボクサーは性格がもっとも重要であり、繁殖の際には十分に注意を払う必要がある」とある。外見の美しさ以上に、穏やかで安定した性質の犬をつくるよう努力しているブリーダーから犬を譲り受けるのが正解だ。ときどき興奮しやすい個体もいるので注意しよう。

教えてもいないのに赤ちゃんや幼児が大好きで、お世話したくてしょうがない「子守り犬」もいる。よそのお子様に対しても興味津々で、公園でブランコで遊ぶ子供や乳母車の赤ちゃんを目でロックオンしてしまったり、近寄っていきたがるので、悪気はなくても子供やお母さんをびびらせてしまうことがある。またボールも大好き。サッカーボールで遊ぶ子供という組み合わせは、大喜びしすぎて、制御しにくいこともある。自制心が保てる練習をしてあげることが大切だ。

警戒心と防衛本能は強く、勇敢なので、いざというときには優秀な番犬になるが、昨今のコンパニオン家系の犬は人間への敵対心が薄く、おっとりしていて番犬に適さないものもいる。いずれにせよ神経過敏な犬ではなく不必要な吠えはしないので、マンションでの飼育もそう問題にはならないだろう。ただし、運動不足だと、室内でもぴょんぴょん跳んだり、バタバタ走り回ったりするので、マンションの床の構造や厚みによっては階下の住人に足音が響く心配はある。屋外でたっぷりエネルギーを発散させよう。

ただ、飼い主に反抗するつもりはないのだろうが、「自分」がある犬なので頑固に見える。その石頭ぶりがまた可愛かったりするのだが、自分が納得できないこと、理解できないことには、「なんでよ!?」という顔をして、素直に従わない。トレーニング性能のいい犬ではあるが、従順なガンドッグチームや牧羊犬チームとは教え方のツボが違う。同じ教え方をしても伝わらない。でも厳しいばかりの教え方では納得できないうえに、飼い主を避けるようになる。かといって甘やかすと図に乗る。教え方に悩んだら、ボクサー飼育経験や指導経験のあるドッグ・トレーナーに相談してみよう。一度理解すると、きっちり完璧にこなしてくれる犬である。

体と頭を使わせる運動やゲームをさせよう

遊びが大好きで好奇心も強く、いつも外の世界に対してアンテナを張っている。警察犬にもなれるほど、それなりに屈強な犬ではあるが、暑いとバテやすい短頭種のため持久力はそれほどでもないから、持久戦の運動は必要とはしない。遊び好きで探求心旺盛なその心を満たしてあげるようなゲームやボール遊びなど、心と体を満たしてあげられるメリハリのある運動を取り入れるとボクサーは幸せだ。頭の運動がてら、トレーニングに通うのもよい。運動と知的作業をたっぷりさせないと、有り余ったパワーをどこで発散させるか分からない。興奮ばかりして制御しにくいボクサーにならないよう、体と頭を使わせる用事や刺激を与えてあげよう。

暑さ・寒さに弱い。熱中症にはとくに注意

スムースヘアで短頭種。寒さにも、暑さにも弱い。中型犬以上のサイズとはいえ、室外飼育を考えているのなら、ボクサーを選ぶべきではない。夏涼しく、冬温かい、冷暖房完備の住環境をボクサーには与えてほしい。

短頭種は、マズル(鼻面)が短いため、熱交換が下手で、そのために熱中症になりやすい。フレンチブルドッグやボストンテリアなどの短頭種と同じだ。ほかの犬種でもそうだが、夏場に、マンションの窓を閉め切って長時間留守番させたり、スーパーマーケットなどの駐車場に置き去りにしたりすると、真っ先に死ぬ心配のある犬種といえる。そのために短頭種は、夏場は飛行機にも乗せてもらえない。お盆や夏休みに、帰省やレジャーで一緒に飛行機での移動を考えている人は、短頭種を選ぶのはやめよう。

また、日々の散歩でも熱中症にはなる。夏場の散歩は、早朝か深夜の、太陽の暑さやアスファルトの路面の輻射熱もない時間に行くこと。短頭種や、路面の熱をお腹にダイレクトに受けやすい小型犬や足の短いコーギーなどの犬種の飼い主さんは、愛犬の熱中症予防のために、朝5時や6時に起きていることが多い。素晴らしい。そういう努力のできる人向き。

そしてスムースヘアのために寒がりでもある。注文の多い犬である。でもそれを分かったうえでボクサーを選んでほしい。冬は、暖かい暖房とフカフカのベッドや毛布を用意して、幸せな夜を過ごさせてあげよう。

「ボクサー心筋症」と病名に犬種名がつくほど、病気が多い

長年の犬種改良のおかげで、扱いやすく可愛い人気あるコンパニオンとなったボクサーだが、半面、心臓病や股関節形成不全などの遺伝性疾患や、ガンやクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)などの病気が残念ながら多く発症することとなってしまった。そして心臓病やガンが多いせいか、ほかの犬種に比べて、概して短命なことが多い。

生き物なので、病気にならない犬をつくることはできないが、遺伝性疾患に関しては、繁殖犬に使う犬の検査を交配前に入念に行うことにより、病気のリスクを減らすことはできるし、すべてのボクサーのブリーダーがそれを頑張れば、いずれ遺伝性疾患は淘汰することができる。
少しでも病気になるリスクの少ない家系の犬、長生きできる可能性の高い犬を、志しの高い、遺伝性疾患等に勉強熱心なブリーダーから譲り受けることが、幸せなボクサー・ライフを歩む最初の一歩といえる。

このページ情報は,2014/11/05時点のものです。

本犬種図鑑の疾病リストは、AKC Canine Health Foundation、Canine Cancer.com、Embrace Insurance “Pet Medical Conditions”などを筆頭に、複数の海外情報を参考にして作られています。情報元が海外であるため、日本の個体にだけ強く出ている疾患などは本リストに入っていない可能性があります。ご了承ください。

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