ドッグフードと犬種図鑑 - dogplus.me
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図鑑

キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル

愛情深く、素直で、スイートな性格。
万人に優しい、良妻賢母的コンパニオン

小型愛玩犬チーム
小型愛玩犬チーム

日本で最も人気があり、登録頭数が圧倒的に多い。抱っこできるサイズ、ぬいぐるみのように愛らしい姿が人気の理由。しかし、小さくても犬は犬。可愛さだけが能ではない。小さな体にいろいろな可能性を秘めている。

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英名
Cavalier King Charles Spaniel
原産国名
Cavalier King Charles Spaniel
FCIグルーピング
9G 愛玩犬
9G 愛玩犬

コンパニオン・ドッグ&トイ・ドッグ。家庭犬、愛玩目的の犬などがこのグループです。

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FCI-No.
136
サイズ
シルエット
シルエットについて

身長160cmの人と、FCI犬種スタンダードに掲載されている体高(最高値)のオス犬を表示しました。体高の記載のない犬種は、体重等からみたバランスのよいサイズにしています。ただ同じ犬種でも、体重、性、毛量などにより個体差があります。

原産国
特徴
  • 小型犬
    小型犬

    体重5〜10kgくらいの犬。キャリーバッグなどに入れると思ったより重たいが、公共交通機関での移動は可能。マンション住まいで、廊下やエレベーターといった共有部分での抱っこもできる。

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  • 長毛種
    長毛種

    ロングヘアともいう。毛の長さ、硬さ、ダブルコート(上毛と下毛がある)かシングルコート(上毛のみ)かは犬種による。シングルコートの場合は、長毛種でも意外と抜け毛が少なく、シャンプーなども楽。

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  • ビギナーにもオススメ
    ビギナーにもオススメ

    「誰にでも簡単に飼えます」という犬などいないが、さまざまな犬種のうち、比較的初心者にも飼いやすい、性格的にマイルドで素直で優しい犬。反抗心や攻撃心も低いので、事故も起きにくい。「飼いやすい」とはいえそれは犬種としての先天的な性質の話であって、飼育環境などから来る後天的なものなどについては考慮していないのでご注意いただきたい。

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  • マンションでもOK
    マンションでもOK

    サイズではなく性質などが、集合住宅に比較的適応性があると考えられる犬。「警戒心が乏しいため、無駄吠えが少ない」「他者にフレンドリー」「室内ではまったり過ごす」「鳴いて要求することは少ない」など。ただしこれはあくまでも犬種の特徴であり、それぞれでお住まいの集合住宅での規約を遵守することが必須。

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  • 抱っこ移動OK
    抱っこ移動OK

    抱っこして移動できるサイズ。けっこう重くても、頑張ればなんとかなる犬種も含む。キャリーバッグなどに入れて公共交通機関で移動も可能。マンションの廊下やエレベーターなどの共有部分でも迷惑をかけない。

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  • 子供との同居○
    子供との同居○

    性格的に子供に対して寛容で、多少のことは大目に見てくれる優しいタイプ。子守りをしたがるほど子供が大好きな犬もいる。ただ、犬に悪気はなくても体当たりするだけで子供が転ぶ可能性はあるので、親の監督は必要。

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  • 自分でシャンプーOK
    自分でシャンプーOK

    自宅でシャンプー&ドライができる犬や、長毛種でも基本カットしなくてもいい犬など。ただし耳や足などの飾り毛や足の裏の毛のカット、肛門嚢しぼり、爪切り、耳掃除などはプロに一度習うとよい。

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  • ブラッシング毎日
    ブラッシング毎日

    もつれやすく毛玉ができやすい犬や、散歩のときに葉っぱやゴミを毛に絡ませてしまう犬は、毎日ブラシかコーム(櫛)をかけて、毛玉を防止し、汚れを落とすようにする。

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  • 抜け毛が多い
    抜け毛が多い

    無毛種でないかぎり、どの犬でも多かれ少なかれ毛は抜けるが、とくに掃除を頑張る必要がある犬種。ダブルコート(毛が二層ある被毛)の犬は、春・秋の換毛期の掃除はエンドレス。潔癖症にはオススメできない。

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  • 素直・従順
    素直・従順

    元来人間と共同作業をしていた犬種のため、人に素直に従うタイプ。人間にかまってもらうと嬉しく、トレーニングにも意欲的で、しつけも入りやすい。反面、依存心が高めなので分離不安(留守番が苦手)になりやすい傾向もある。

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  • おおらかな性格
    おおらかな性格

    犬種的に朗らか、おおらかなタイプ。環境適応能力や順応性が高いため、新しい環境や人にもたいして動じない。社会化トレーニングも順調に進みやすく、飼いやすいタイプ。ただし個体差、血統差はある。

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  • のんびり(番犬NG)
    のんびり(番犬NG)

    敏感ではなく、縄張り意識や防衛本能も低いため、外や廊下で物音がしても気にしないタイプ。番犬が欲しい家庭には正直役立たず。でもマンションなどでは比較的飼いやすい。

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  • 長距離歩き大好き
    長距離歩き大好き

    長時間全力疾走するタイプではないので、自転車引きなどの走る運動はさせなくてもよいが、持久力はあるので、長距離歩く運動は得意。自分の健康増進のためにも犬とたくさん歩きたいような、健脚な飼い主向き。

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キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル

歴史

キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
「カバリア・キング・チャールズ・スパニエル」と表記されることもある。古くはスペインかフランスあたりの、ヨーロッパ大陸にいた鳥猟犬の小型スパニエルが祖先とされる。その後イギリスに渡り、まずキング・チャールズ・スパニエルが誕生した。キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル(以下、キャバリア)は、キング・チャールズ・スパニエルの変種だと犬種スタンダードに記載されている。

キング・チャールズ・スパニエルは、日本ではほとんど会うことのない非常にレアな犬種であるが、それに比べて、キャバリアは日本でもアメリカでもいまやイギリスでもとても人気のある犬である。

まず先に簡単にキング・チャールズ・スパニエルについて紹介しよう。もとの小型スパニエルからイギリスで改良された犬で、当時は今のキャバリアのようにそれなりにマズルが長かった。それがいつのまにか短いマズル、獅子鼻、平たい顔、そして小型化された。パグやなどのアジアの犬と混血させたのではないかという説がある。
そしてキャバリアより小型。キャバリアは体重5.4〜8kgだが、キング・チャールズ・スパニエルは3.6〜6.3kgがスタンダード。つまりキャバリアの半分ほどのサイズだ。この小さな犬はイギリスの宮廷で愛され、貴婦人の足元を温める役目などもしており、すっかり鳥猟犬だったことを忘れ、「カーペット・ドッグ」と呼ばれていた。

しかし1828年、本来の中世の頃のキング・チャールズ・スパニエルは、こんな小型で鼻ぺちゃなスパニエルではない、こんなインドアな犬ではないと、従来のタイプを復活させる運動が起き、クラブが設立された。元来のもう少し体が大きく、マズルの長い犬を復元しようと繁殖され、彼らは再現された犬をキング・チャールズ・スパニエルと差別化するために「キャバリア」を頭につけて、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルと呼んだ。この改良には、もともマズルの長いタイプを愛していたロズウェル・エルドリッジというアメリカ人が貢献したと書物には書かれている。

「キャバリア」とは中世の騎馬武士、つまり「騎士(ナイト)」のこと。それだけキャバリアは自信と誇りに満ちたブリーディングの末、復刻した犬種だと想像できる。そしてアウトドアにも連れて行ける活動性も復活した。

しばらくの間は、キング・チャールズ・スパニエルという1つの犬種の中に、マズルの短いタイプと、マズルの長いタイプが混在し、競い合っていたが、1945年に別々の犬種と扱われることになり、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルとキング・チャールズ・スパニエルは別の犬種として確立した。

平らな顔の小型のキング・チャールズ・スパニエルは今ではすっかり下火になったが、かたやキャバリアの方は、世界的に小型愛玩犬グループの中でも最も愛好される犬種の1つとなった。これは、バランスのとれた姿の可愛らしさだけでなく、気立ての優しさ、素直さ、穏やかさといった性質面、そしてスパニエルらしい活発さが、多くの人の心を魅了したからだと思われる。

ただし近代ではその人気ぶりが災いし、とくにアメリカで心臓病の遺伝性疾患の犬が多発することとなった。その血統は日本にも輸入されてしまったようで、残念ながら日本でも心臓が悪く、短命なキャバリアが少なくない。心臓疾患を始めとするキャバリアの遺伝性疾患を淘汰するべく本気で取り組むブリーダーが、日本にもっと増えることを心から望む。

ちなみに、日本にキャバリアが認知されてきたのは1970年代。日本での歴史は比較的浅い。2008年〜2012年の5年間の飼育頭数ランキングでは、16〜18位あたりを推移しており、人気が定着している。

外見

キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
小型愛玩犬グループだが、大きすぎず小さすぎずの手頃で扱いやすいサイズ。小さくてすばしこく、腰をかがめないと捕まえられない5kg以下の超小型犬よりも扱いやすい。体重は5.4〜8kgがスタンダード。パピーミルや営利追求繁殖業者がスタンダードを考慮せずに繁殖させているせいか、ときに10kgを超える犬もいるが、正しくは8kgまでが犬種の標準である。

また、穏やかな性格で、飼い主に文句を言うタイプではないので、基本的に「もっとたくさん散歩に連れて行け」と要求するような犬ではないが、遠い先祖は鳥猟犬なので、素質的にはアウトドアで遊ぶのが好きな活動的な犬。運動量が足りないと太るし、また運動不足がたたるとストレスが溜まり、食べることに悦びを見いだそうとするキャバリアは少なくない。結果的に、肥満になっているキャバリアが多いので、骨格に応じて適正体重になるように運動管理、食事管理をすることが大切。

頭部は、両耳の間はほぼ平ら。マズルの長さは約3.8cm。鼻先に向けて徐々に先細る。目は大きくダークな色。愛らしい丸い目だが、出目ではない。耳は長く、高く付き、長い飾り毛をまとう。

被毛は絹糸状の長い毛。わずかなウェーブは許されるが、カールするほどではない。耳や四肢、尾に豊かな飾り毛のある長毛種だが、トリミングをする必要はない。よって、毎月のトリミング代は不要。ただし、自分で2〜3週間に一度シャンプー&ドライができない場合は、トリミングサロンに依頼する家庭も多い。シャンプー代はおおよそ5000円〜。

また毎日のブラッシングも欠かせない。柔らかい耳の飾り毛、摩擦の多い足の飾り毛などはからんでもつれやすいので、毎日ピンブラシなどでとかす。散歩のあとにホコリや葉っぱなどのゴミがついていることもあるので、散歩後に毎日サッとブラシをかけることを日課にするとよい。またとくに白い被毛は汚れが目立ったり、オシッコなどがつくと変色しやすいので、清潔さを保つように心がける。

長い垂れ耳なので、蒸れやすく、外耳炎になりやすい。耳の掃除も定期的に行う。

毛色は4種。

・ブレンハイム:キャバリアとキング・チャールズ・スパニエルならではの言い方。ホワイトの地色にチェスナット(栗色)の斑(はん)があるカラー。頭部の栗色は、均等に分布しているのが望ましい。栗色の耳と耳の間の頭のてっぺんの白い部分の真ん中に「ロサンジュ」と呼ばれる1つの菱形の栗色のぶちがあると、とても評価が高い。「ロサンジュ」は本犬種の特徴。日本でポピュラーに見かける被毛色はこのブレンハイム。
・ルビー:ルビー(濃い栗赤色)の単色。これもキャバリアとキング・チャールズ・スパニエルならではの言い方。胸などに白いぶちが入るのは望ましくない。
・ブラック&タン:ブラックの地色にタン(黄褐色)のマーキングが、両目の上、両頬、耳の裏側、胸と四肢、尾の裏側にある。ドーベルマンのようなカラー。
・トライカラー:ブラック&タンに加えて、口の周りやお腹に白が入る3色。バーニーズ・マウンテン・ドッグのようなカラー。

毛色


なりやすい病気

遺伝性
  • 遺伝性てんかん症
  • 股関節形成不全
  • 慢性僧帽弁不全
  • 若年性白内障
先天性
  • 短頭種気道閉塞症候群
その他
  • とくになし

魅力的なところ

  • 優しく、穏やか、素直。初心者や子供のいる家庭にお勧めできる数少ない犬種。
  • 小さすぎず大きすぎずの扱いやすいサイズ。体格的にも初心者でもコントロール可能。
  • 小型犬にありがちな過敏さや臆病さがないため、それが原因の攻撃性や無駄吠えもほぼない。
  • 超小型犬ほど華奢でなく、そこそこに頑健。
  • 都会生活でも森のある生活でも、どちらでも飼い主に合わせて付き合ってくれる。
  • 子供の活発な遊び相手になれる。また優しく忍耐強いので咬傷事件は聞かない。
  • お年寄りの散歩のお伴にも最適。健脚な長時間散歩もOK。
  • 先祖は鳥猟犬。キャンプや登山のお伴もできる。
  • もとは鳥猟犬なので人間との共同作業が好き。しつけも入りやすい。

大変なところ

  • 遺伝性の心臓病が多い。健全な犬をつくる努力をしているブリーダーを探すことが不可欠。
  • 飼い主が大好きすぎて依存心が高い。留守番が苦手。共働き家族などは一考すべし。
  • 毎日ブラッシングをすること。
  • 自分でシャンプーできない人は、毎月サロン代がかかる。
  • 誰でも信用するので、番犬にはなれない。
  • 我慢強く優しいため、運動不足でも文句を言わないが、そのため太りやすい。
  • ラブラドールのように大らかな性格のせいか、食いしん坊で太りやすい。
  • たいした問題ではないが、風に舞う葉っぱや蝶々を追いかける習性がある。
  • 電車やバスでの移動はできなくもないが、けっこう重い。

まとめ

性格面、体格面で初心者にもお勧めできる、良妻賢母のような犬種

キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
優しく穏やかで、飼い主との共同作業が大好きでトレーニングが入りやすい。また飼い主が都会暮らしなら都会の生活に馴染み、飼い主がキャンプやドッグスポーツを楽しみたいなら、アウトドアな生活にも対応してくれる、環境適応能力の高い犬。子供にも寛容だ。
こうした性格は、穏和で大らかなで家庭犬として世界中から愛されているラブラドール・レトリーバーの性質に似ているが、大型犬のラブラドールを飼う体力や住環境や自信がない人でも、キャバリアのサイズなら手頃。性格面でも体格面でも、ビギナー、子供のいる家庭、お年寄りの方でも飼いやすいと紹介できる数少ない犬である。

飼い主のことをいつも恋人のように慕い、子供たちのよく遊び相手にもなってくれる。高齢者のお散歩の伴侶にももってこい。婚活するなら、こういうお嫁さんをもらえば間違いない。
幼稚園児や小学生の子供から「犬が飼いたい」とせがまれたとき、チワワトイ・プードル、テリアの仲間などの小さな犬の方が扱いやすいと思って買ってしまう人が多いが、彼らは小さくても気が強かったり、要求が高かったり、ネズミ捕りや猟犬出身で実はチャキチャキの運動大好き犬だったりするので、決して初心者に飼いやすい犬種とは言い難い。その点キャバリアはスイートでマイルドな性格なので、初心者が飼っても、子供がいても事故が少ない。本当に優しいいい犬である。

飼い主をお慕いしすぎる気持ちが災いし、留守番は苦手

キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
飼い主との共同作業をしてきた鳥猟犬(ガンドッグ)は、いつも飼い主のそばにいて、いつでも飼い主のコマンド(指令)を待ち、アイコンタクトばっちり、お役に立ちたい気持ち200%の犬。
そのため素直で従順でトレーニングしやすく、呼べばすぐ帰ってくるというよい面がある一方で、依存心が高く、ひとりぼっちや退屈は苦手という面がある。よって留守番が苦手で、ひとりぼっちにされると鳴いたり、寂しさを紛らわすためにイタズラをしたり、飼い主が家にいたらトイレの失敗をすることはないのに留守中だけはトイレ以外の場所で排泄したり、などの分離不安症状を起こしやすいことがある。

そうならないためには、子犬の頃から短時間ずつ留守番させる練習をしたり、依存心を高めるようなベタベタした態度はせず、一定の距離を保つ関係を心がけるようにするとよい。また、共働きなどでどうしても犬が平日は朝から晩までひとりぼっちになるようなライフスタイルならば、最初からキャバリアを選ぶべきではないともいえる。留守が多い家庭ならば、自立心の高い、しっかり者の気丈な性格の犬を選んだ方がいいだろう。

頭がいい分、都合のいいことはすぐ暗記して要求吠えすることも

「素直で従順で扱いやすい」と何度も書いているが、元はガンドッグ出身の頭のいい犬なので、自分の都合のいいことはすぐ覚え、自分の利益になることを要求する癖がつくことはある。たとえば「吠えたら散歩に連れ出してくれた」「テーブルの下で吠えたら、人間のおかずをくれた」などだ。そもそもそんな不良犬ではなく、策略家でもなく、反抗心が強いわけでもないのだが、頭のいい犬なので、そういうことも起きる。

でもキャバリアは、頑固ではないし、トレーニング性能の高い犬なので、矯正もそう難しくはない。もし困った行動をとる癖がついてしまったのなら、もう一度トレーニングをし直そう。やり方がわからない場合は、家庭犬のトレーナーに相談してみる。あっさりと問題解決することの方が多いはずだ。

心臓病の家系に注意。真面目なブリーダーから犬を手に入れること

全般的に飼いやすい犬種であることは間違いないのだが、最大の欠点というか残念な点は遺伝性の心臓病(僧帽弁閉鎖不全症)があり、日本では短命あるいは一生投薬をしなければいけない持病持ちとなる犬が多いことだ。

チャーミングで賢く優しい犬だからこそ、アメリカなどでも人気犬種となった。でも流行してしまうと、犬種が荒れることはよくある。残念ながらキャバリアも、遺伝性疾患の僧帽弁閉鎖不全症やてんかんなど、命にかわかる病気の血統が多くなってしまった。とくに僧帽弁閉鎖不全症は、7〜8歳などの年齢になり発症することが多いため、繁殖に使う3〜6歳の頃は元気で病気が発覚しておらず、知らない間にたくさん子孫を作ってしまうことがある。

両親犬だけでなく、祖父・祖母犬、親戚一同の死因は何か(僧帽弁閉鎖不全症はあるか)など長期にわたり血統管理していたり、国内の小さな遺伝子プール内で繁殖を繰り返すのではなく新しい健全な外国の血を入れたりするなど、遺伝性疾患淘汰のために研究を惜しまない真面目なブリーダーから子犬を手に入れることが望ましい。
そういうブリーダーを探すことは大変だが、健全なキャバリアが日本で増えていくためにも、飼い主側は安易に衝動買いすることなく、リサーチを頑張ることが大事。それはこれから日本で遺伝性疾患の犬を増やさないためにも欠かせないことだ。

毛の手入れはなるべく毎日

小型犬だし、それほどアンダーコートが豊富な犬でもないので、大型犬の長毛種やアンダーコートが豊富な犬種のように毛の手入れがすごく大変というわけではないが、「抜け毛がひどい」「洋服に毛がつく」「リビングが毛だらけになる」とお悩みの方は少なくない。犬なので毛が抜けるのは当たり前なのだが、抜け毛が気になって仕方のない神経質な人の場合は、長毛種を選ぶのは要検討。

また毎日ピンブラシなどでブラッシングして死に毛を取り除けば、部屋に散らばる抜け毛は減らせる。耳の後ろや足の飾り毛、お尻の周りの毛などは毛が柔らかいし、こすれる部分は毛玉になりやすいので、からむ前に毎日ほぐしてあげるとよい。

耳の長い毛は、水飲み容器やフードボウルに入ると汚れるので、食事中はスヌード(人間のヘアバンドのように、犬の耳が茶碗に入らないようにする布製のグッズ)をするとよい。

足の裏の毛が伸びるとフローリング床で滑ってしまうので、定期的にカットすることも忘れずに。

おデブなキャバリアにしないように注意

楽天家で大らかな犬は、食いしん坊な犬が多い。食いしん坊ベスト3といえば、ラブラドール・レトリーバービーグルウェルシュ・コーギー・ペンブロークとも言われる。たしかにこの3犬種は、とっても楽天的で、大らかで物事に動じないし、食いしん坊。神経質ではなく、バイタリティに富むから、どんな環境下でもどんなごはんでも、食が細くなるということが少ないのかもしれない。そしてキャバリアもこの3犬種に準じる大らかな食いしん坊である。

また食いしん坊なうえに、運動不足だと当然太る。食べ物以外にはそんなに執着しないし、人間の生活に合わせてくれる性格なので、散歩が足りないからと言ってワンワンと要求することは少ない。それをいいことに散歩をちょっとしか行かないと確実に筋肉は衰え、脂肪に変わる。
ときどき、びっくりするくらい太ってヨロヨロと歩いているキャバリアを見かけることがあるが、その姿を見て内心嘆いている獣医さんは多い。ましてやキャバリアは心臓疾患の多い犬。肥満は心臓にも負担をかける。「可愛い」「食べたがるから」と言っている場合ではない。長生きしてもらいたいのなら肥満にさせてはいけない。

よって適切な運動管理と栄養管理が欠かせない。キャバリアは、半分鳥猟犬、半分愛玩犬のような犬。野山のレジャーにも対応できる運動能力のある犬であり、それ相応の運動量は必要な犬だと理解してほしい。

このページ情報は,2014/10/30時点のものです。

本犬種図鑑の疾病リストは、AKC Canine Health Foundation、Canine Cancer.com、Embrace Insurance “Pet Medical Conditions”などを筆頭に、複数の海外情報を参考にして作られています。情報元が海外であるため、日本の個体にだけ強く出ている疾患などは本リストに入っていない可能性があります。ご了承ください。

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