図鑑
スパニッシュ・マスティフ
見知らぬ人や動物に厳しく、
家族やとくに子供には優しい強い護衛犬
英名
Spanish Mastiff
原産国名
Mastín español
FCIグルーピング
2G 使役犬
FCI-No.
91
サイズ
原産国
特徴
歴史
原産国スペインで「マスティン・エスパニョール」(スペインのマスティフ)のほか、「マスティン・デ・ラ・マンチャ」(スペイン・マンチャ州のマスティフ)、「マスティン・デ・レオン」(スペイン・レオン州のマスティフ)、「マスティン・デ・エストレマドゥーラ」(スペイン・エストレマドゥーラ州のマスティフ)など、さまざまな呼び名で呼ばれる。マンチャ州、レオン州、エストレマドゥーラ州は、どれもイベリア半島の真ん中あたりにある、海岸線に接していない内陸の州だ。
本犬種は犬種スタンダードによると、紀元前2000年頃のモロッサー(マスティフ・タイプの犬の総称)と呼ばれる古代の犬から発達し、フェニキア商人によって、シリアかインド方面からイベリア半島に連れてこられたという。
この犬の歴史は古く、何千年も前からイベリア半島にいたが、ドッグショーに出陳されたのは20世紀の初めで、犬種のスタンダードが確立したのは1946年。それまでは、イベリア半島の内陸部の複数のエリアで、土地の犬として羊の群れをオオカミや強奪者(羊泥棒)から守るべく働いていた。おそらく地域によって、少しずつタイプが違っていたり、あるいはミックスされたりして、犬種の姿は固定されておらず、仕事のできる機能重視の犬が重宝されていただろう。
ちなみに、スペインにはもうひとつ、マスティフ・タイプの犬がいる。
ピレニアン・マスティフ だ。こちらはヨーロッパ大陸(フランス側)とイベリア半島(スペイン側)を隔てるピレネー山脈付近が原産。
スパニッシュ・マスティフとピレニアン・マスティフは最も近縁種とされる。いちばんの違いは、毛の長さ。スパニッシュ・マスティフは短毛あるいはセミロングだが、ピレニアン・マスティフは長毛種だ。
毛並みを除けば、体高、体格などはほとんど変わらず、仕事内容も同じである。
おそらく、ピレニアン・マスティフは山地の標高が高い寒い地方で発達し、スパニッシュ・マスティフはそれほど気温が低くない、雪の少ない標高の低い平地で使われた犬だと推察できる。
スパニッシュ・マスティフもピレニアン・マスティフも羊を護衛するのが仕事で、季節に応じて家畜の移動をさせるときや放牧地でとどまっているときに羊を護る。現在においても、定住・遊牧に関わらず数多くの羊の群れに同行し、先祖代々同じ任務を遂行している。また羊だけでなく、農場や領地、そして人を護る役割もする。最強で頼りになる番犬・護衛犬なのは間違いない。
かたやピレニアン・マスティフの方は少々牧畜犬のような仕事(羊の群れをまとめたり、誘導する仕事)もできたようだが、スパニッシュ・マスチフに関してはその記述は見当たらない。もっぱらガードドッグに徹していたようだ。つまり、それだけ自主性や独立心が高く、自己判断能力を信じる勇猛な犬であることが望まれたわけで、いざというときの攻撃性は高い。
しかしこの犬も、ピレニアン・マスティフと同様に、ヨーロッパでオオカミがほぼ絶滅状態になると職を失い、1940年ごろに数が激減した。けれども幸いにしてファンシャーの手により保護されて絶滅を免れ、少数ながらアメリカ、スイス、ドイツなどの愛好家に愛玩用のコンパニオンとして輸出されることとなった。これだけの巨大な犬を愛玩犬として迎えるところが、欧米人と日本人の価値観の差といえようか(現在では、日本でもスパニッシュ・マスティフを大型コンパニオンとして飼養している人はいる)。
ピレニアン・マスティフはAKC(アメリカン・ケネル・クラブ)では未公認犬種なのに、スパニッシュ・マスティフはAKCに公認されている。アメリカではスパニッシュ・マスティフはピレニアン・マスティフよりもポピュラーなのだろう。商業的に繁殖されている例もあるようだ。
それにしても、短毛のスパニッシュ・マスチフがほかの国でコンパニオンやショードッグとしての道が開けたのに対し、ピレニアン・マスティフにその需要がなかったのはなぜなのかは、よく分からない。
とはいうものの、これだけの超大型犬で、勇猛な犬なので、誰でもコンパニオンとして飼うわけにはいかないのは確か。欧米諸国においても、国際的に数の少ない犬種であることはいまも変わりない。
日本においてもとてもレアな犬種だが、国内での飼育例はある。また繁殖を手がけている犬舎があり、国内で入手することは不可能ではない。ただし希少な超大型犬なので、国内の遺伝子プールは乏しいのは無理からぬこと。本犬種を希望するなら慎重に情報を集め、志し高く健全な犬を輩出するよう努力している本物のブリーダーを自分の目で見つけることが重要だ。また、これからも性質面・健康面ともに健全で安定した犬が、日本で作出されることを願う。
外見
犬種スタンダードに体重の記載はないけれど、書物によっては体重100kg近くにもなると書いてある超大型犬である。
体高の上限もない。つまり体格のバランスの均整がとれていれば、大きければ大きいほど高い評価を受ける。
一方で体高の下限はある。オスは77cm、メスは72cm以下の犬はスタンダード外とされる。でもこの最低ラインのルールはあれど、できればこの基準値を大きく上回ることが望ましいとされ、オスは80cm、メスは75cmを超えているのが普通。
近縁のピレニアン・マスティフのスタンダードもほぼ同じ。厳密にいうと、なぜかオスの体高の最低基準が81cm以上とある。ここを除けば、数値はまったく一緒である。
ただピレニアン・マスティフより毛が短い分、筋肉や骨格が見えやすい。マッスルで強そうな感じがひしひしと伝わってくる。
大きければ大きいほどよしとされる風潮ではあるが、バランスがとれていて、力強く、筋肉質で、引き締まった骨格構成でないといけない。いたずらにぶよぶよとでかいスパニッシュ・マスティフは、本来のこの犬種の魅力から逸脱する。厳しい風雨の中でもたくましく、敏捷な動きで羊を護ることのできる当時の面影を残してない犬は、本来のスパニッシュ・マスティフではないし、また股関節形成不全など骨格などの健全性が懸念されるので心配だ。
また、体高より体長が長い。これもピレニアン・マスティフと同じ。つまり少し横長、長方形体型だ。頭部の長さとマズルの長さは3:2。スカル(頭蓋)の幅は、長さと等しいか、それより少し長め。つまり横幅の大きな頭である。額の溝ははっきり分かり、オクシパット(後頭部)もはっきりしている。
胸は幅広く、深く、筋肉質。肋間は広く、あばらは平らではなく丸形を帯びている。胸囲の最小値は、体高の3分の1以上長い。つまり胴体の厚み、ボリュームも十分にある。
また尾の付け根もとても太くて、しっかりしたしっぽ。止まっているときは低く保持され、飛節(かかと)に届くほど長め。ときに先端の4分の1がカーブすることもある。でも運動時や興奮時はしっぽをサーベル(刀)のように持ち上げて、尾先に輪を作ることもある。でも、日本犬のようにダブルカール(二重巻き)になったり、尻の上で巻いたりすることはない。
とにかくこれだけの大きな犬なので、リビングも、移動用のクルマも、おうちでシャンプーする風呂場も、それ相応の設備や環境の準備が必要だ。毎日のお散歩コースも、家の前にすぐ幅の広い歩道があるとか、広い公園や河川敷が近いとか、人が少ない環境が揃っている方が、通行人に圧迫感を与えないですむ。
ついでに言うと超大型犬は、本犬種に限った話ではないが、トリミングサロンのシンクや動物病院の診察台に収まり切らないことがあり、シャンプーや診察、入院などを断られることがある。また超大型犬は麻酔などに対してセンシティブな面もあるので、診察経験の乏しい獣医師にはこれまた診察を断られることもあると聞く。おうちに迎える前に、犬の実家(ブリーダー)やファンシャーたちとコンタクトを取り、通院可能範囲の距離にある動物病院や、必要ならサロンの情報を収集しておく。
さらに言うと、いずれ年老いたときに介護が大変になる覚悟も必須。体重のある犬は寝たきりになると褥瘡(床ずれ)がすぐできてしまうので、頻繁に寝返りをさせてあげるなどの細やかなケアが必要だし、病院に連れて行くときは、飼い主一人の手ではクルマに乗せることも難しいので、家族や協力者の確保もしておかないといけない。
そのほかにも、超大型犬ともなるといろいろ大変なことが想像できるので、覚悟して前もってシミュレーションしておくことが欠かせない。そうすれば、5年後、10年後、15年後に焦らなくて済む。
密生した被毛は太めの毛。中くらいの長さで、意外と滑らか。ボディ全体を覆い、指間にも生える。足の毛は、背中の毛より短め。しっぽの毛は長くて、触ると気持ちいいシルク状だ。
毛の手入れは、大変ではない。ただし毛が短い犬というのは(ときどき勘違いされているが)意外なほどよく毛が抜ける。そのうえ本犬種は超大型犬なので、体表面積が大きい分、大量に抜けるし、ブラッシングの手間はかかる。日々のホコリや泥よごれ、死に毛を落とすつもりで、週2〜3回くらいザッとブラッシングするとよいだろう。
シャンプーは自分でできる。ただし大きな風呂場や乾かす場所が必要。ブラッシング同様に、体のサイズがとにかく大きい分、洗うのも乾かすのも、それなりに時間がかかる。長毛のピレニアン・マスティフに比べれば毛のメンテナンスは楽ではあるが、小型犬や中型犬に比べたらもちろん手間と時間は大変だ。
毛色は問わない。どの色でもOKということだ。ただ最も好ましいとされるのは、イエロー、フォーン、レッド、ブラック、ウルフ・カラー、ディア・カラー(シカのような色)といった単色である。またブリンドルやセーブル、ホワイト&ブラウン斑のような柄模様や混じり毛、2色のパーティ・カラーも存在する。この毛色のルールの自由さをみると、やはり土地の犬として長くいろいろな犬と交雑してきた歴史を感じさせる。
鼻の色はブラック。目の色は濃いヘーゼル(赤褐色)が好ましい。唇やまぶたなどすべての粘膜はブラックでなければならない。
首には、はっきりしたダブル・デューラップ(左右に分かれた喉の下の皮膚のたるみ)が幅広く発達している。これはピレニアン・マスティフより顕著かもしれない。
また本犬種の特徴としておもしろいのは、デュークロー(狼爪)が1本か2本あること。ない場合もあり、切除も許される。
失格事由としては
・明るい目
・鼻や唇などの粘膜の色素欠乏
・スプリッド・ノーズ(左右に分かれて見える鼻)
・アンダーショット(下顎の切歯<前歯>が上顎の切歯に覆い被されるか、前に出ている咬み合わせ。いわゆる受け口)
・極端なオーバーショット(口を閉じたときに、上顎の切歯<前歯>が下顎の切歯より前にでているため、切歯同士がふれあわない咬み合わせ。いわゆるちょっと出っ歯)
など。
最後にもう1つアドバイス。
欠かせないメンテナンスとしてヨダレ拭きがある。暑いときはもちろん、水を飲んだあとや走ったあと、興奮したときなどに、ヨダレがたくさん出る。ヨダレは粘り気があり、室内飼育の場合は床拭きの頻度も増える。ブルブルッと頭を振ると、ヨダレが室内の壁や天井にまで飛んでいくこともある。キレイ好きな人が、そのヨダレ攻撃に耐えられるかどうかは心配なところだ。キレイ好きな神経質な人にマスティフ系のヨダレが多い本犬種は勧めない。ただし、唇の形状の差などによって個体差はあり、思ったよりヨダレの量が少ない犬もいるそうだ。
毛色
魅力的なところ
とにかくでっかくて、威風堂々とした外貌。
マスティフ好きにとってはたまらぬ存在感、包容力。
犬種改良があまりされていなくて、素朴で野趣あふれる感じが魅力的。
自分の強さがよく分かっているから、物怖じしない。堂々としている。
自分が強いと分かっているからか、ほかの犬や他人にも寛容。
最強の番犬となるが、普段は穏やかで物静か。
独立心・自主性が高く、留守番はできるタイプ。
飼い主との絆がしっかりしていれば、子供にも忍耐強く付き合うはず。
野山を駆け回って運動するタイプではないので、全速力で走る運動はそれほど必要ない。
室内でもバタバタせず、悠々としている。
大変なところ
とにかくデカイ。食費、獣医療費、自家用車代など経費がかかる。
住環境もそれなりの広さが必要。風呂場もクルマも大きくないと困る。
毎日の排泄物も当然でかい。
体重もあるので瞬発的な力はすさまじい。飼い主に相当の腕力/体力が必須。
タフな筋肉質の犬なので、毎日長距離歩くなどの運動が必要。
精神力も強いので、それ以上に飼い主の心が強くないと従ってはくれない。
頑固で自主性が高いので、しつけにはコツがいる。
超大型の護羊犬だけに、いざというときは最強。事故が起きないようにする社会的責任は大きい。責任感のない人は飼ってはいけない。
希少種だからと欲しがられやすい(犬のせいではない)。
大きすぎて動物病院やトリミングサロンで断られることがある。
暑いのは苦手。
超大型犬なので、病犬や老犬の介護は大変。
世界的にも希少種のため、病気など健康に関するデータが乏しい。
日本で飼育経験者の先輩が少なく、情報集めが難航する。
まとめ
威風堂々とした姿は圧巻。でも飼うなら覚悟は必須
圧倒的な存在感のボディ。でっかい頭。何事にも動じない強い心。真に心も体も強い犬だからこそ、他者に対して寛容に接してくれる肝っ玉のでかさが魅力。これはスパニッシュ・マスティフやピレニアン・マスティフといったマスティフ系の犬すべてに言えることだが、本当に有無を言わさぬ迫力と存在感を放つ、素晴らしい犬達である。
そのうえ、実際に会うと、想像以上に寛容で穏やかな犬なのでびっくりする。小さいことは気にしない。度量がでかい。このビッグな包容力・安心感は、体格だけでなく、精神的なものも大きく関係していると感じる。「弱い犬ほどよく吠える」の反対なのかもしれない。
護羊犬という本来の仕事を想像すると、もっとほかの四つ足動物に対して攻撃性があったり、家族以外の人間に対して警戒心が強く拒絶するのかと思っていたが、意外とそうではない。ラブラドールのようにしっぽを振ってフレンドリーな笑顔を振りまいて寄ってくるわけではないが、来る者拒まず、触りたければどうぞ、という感じで、体に触っても怒らないで、好きにさせてくれる。想像以上に、社交性がある。
もちろん出会えた少数のスパニッシュ・マスティフの飼い主が、たまたまきちんとした人たちばかりで、正しい社会化やトレーニングを犬に施し、正しく飼養した結果、穏やかで親しみやすいタイプに育った可能性はある。また日本のスパニッシュ・マスティフのファンシャーが安定した性質の健全な犬を日本に輸入するよう努力し、厳選されたペアリングを行い、よい血統の犬を作る努力をしているのかもしれない。どれが本当の理由なのかは分からないが、日本で出会った数少ない犬は、みな紳士的ないい犬だったことは事実である。
そうはいっても、日本はもとより世界でもレアな犬種なので、正直言って不明なことが多く、さらには飼い主の経験の差、犬の個体差・血統差、オス/メスの差などもあるから、軽々しく「優しい穏やかな犬。飼いやすい」などととても断言はできない。そこは誤解のないようにお願いしたい。
なにしろ忘れてならないのは、この犬はオオカミやクマとも対等に闘える精神力と牙を持っているということ。警戒心・攻撃心を秘めることがこの犬の任務であり、才能なのである。つまりこの強さが、間違った方向に発揮されてしまうと、非常に深刻な事故になることは容易に想像がつく。
犬の攻撃性は、小型犬であろうが超大型犬であろうがサイズに関係なく飼い主がコントロールできなければいけないけれど、残念ながら日本では大きな犬に対して過剰な恐怖心を抱いている人が多いので、やはり大きな犬を飼養するということは社会的責任が大きくなる。また当然相手に与える恐怖やケガが大きければ大きいほど、万が一の事故の際の責任も重大になる。
ちなみに個体差があるので一概には言えないが、撮影で会った犬は、ほかの犬や他人には攻撃性は見せないが、猫と稲刈りのトラクターにはやたら吠えるそうだ。とくに猫にはワッと攻撃態勢になるので、それを制止する腕力、瞬発力が飼い主に必要である。飼い主が転んでケガをしてもいけない。また番犬気質はある犬のはずだが、ピンポンが鳴っても吠えない。ただし、バイクには吠える。これは子犬時代からの社会化経験、学習によって変わってくるとも思われるが、いつもまったりのんびりしている犬ではないということを覚えておいてほしい。
とにかく「珍しい犬だから」「希少犬でかっこいい」「みんなに見せびらかしたい」などという気持ちで飼える犬ではない。本気で覚悟をして、本気で勉強して、本気で自分の体力もつけて、経済力も蓄え、住環境などを整えた上で、この素晴らしき犬を迎えていいかどうかをよくよく検討すること。
動物病院やトリミングサロンで断られる心配あり
カットは必要のない犬種なので、シャンプーは自分でできる。けれど、頭からお尻までが120cmを超えるような巨体の持ち主なので、小さなお風呂場で洗うことは厳しいかもしれない。また体表面積も大きいので、けっこう時間もかかる。
トリミングサロンに出すと、サイズが大きいだけにシャンプー&ドライだけでも2万円前後はとられるだろう。お金を払えばなんとかなるならまだよいけれど、この犬の入るサイズのシンクがなければお店側から断られる。というより、相当に大きなシンクが必要なので、むしろ断られる店の方が多い気がする。ピレニアンと違い、短毛なので、スパニッシュは自分でシャンプー&ドライをする心づもりでいた方がよい。
あまりの大きさのために断られるのは、トリミングサロンだけではすまない。動物病院でも、診察台に乗らないから診察を断られることがあるそうだ。なんとか治療はしてもらえても、犬舎(ケージ)がないために入院はできないと言われることもある。
また超大型犬は、超大型犬の治療経験不足を理由に断られることもあるとのこと。経験がないのに無理して治療や手術をして死亡事故になるほど辛いことはないので、ある意味治療拒否されるのはお互いのためかもしれないが、とにかく超大型犬は日本では特別な存在となることがあるので、まずその心の準備をしておいた方がよい。
子犬期こそすぐ下痢したり、免疫が低くて病気になりやすかったりするので、子犬を迎える前から、近所に超大型犬の治療も引き受けてくれる動物病院があるか、事前に下調べしておく。ブリーダーやファンシャーから情報を得ておくことも大事だ。
また犬の老後を考えても超大型犬は、下痢などをしたときに下の世話で毛が汚れたときの日々のケアも想定しておいた方がよい。
トレーニングの理解力は割とある。でも教えやすいかどうかは飼い主の力量しだい
マスティフ系の犬は、自主性・独立心が高くて自己判断能力のある犬なので、頑固でマイペースな部分があり、トレーニングにはコツがいる。しかもこの手の犬種のトレーニングをしたことのあるドッグ・トレーナーは日本ではあまりいないので、先生を探すのも苦労すると思う。頼るところがないというのは難題だ。
大型マスティフを素晴らしいコンパニオンに育てるのは、ビギナーにはハードルが高い。とくに日本人は、大型愛玩犬ジャンルへの理解が乏しく、またそういうマスティフ系を飼養する文化と歴史が浅いので、世間の風当たりも強いし責任も大きい。それだけの覚悟と強い精神力、そして、ファンシャー同士のネットワーク作りなどをして情報を集める努力など、いろいろなことを頑張る必要がある。
病気についての情報が少ない。日本の獣医師にとっても未知の犬のはず
世界的に商業的な乱繁殖がされていないおかげで、それほど虚弱な犬ではないことは推察できるが、しかし日本国内はもちろん、世界的に飼育頭数の少ない犬なので、遺伝性疾患、先天性疾患、またかかりやすい病気の情報が少ない。獣医さんは、国家資格を持ったプロとはいえ、この犬を診察したことのない人が大半と思われるので、犬種特有の体質(麻酔への耐性など)やかかりやすい疾病についての知識が乏しいことも考えられる。
希少種というのは、犬種特有の病気の情報が少ないというリスクがある。その点も飼い主は覚悟をしないといけない。
このページ情報は,2014/11/08時点のものです。
本犬種図鑑の疾病リストは、AKC Canine Health Foundation、Canine Cancer.com、Embrace Insurance “Pet Medical Conditions”などを筆頭に、複数の海外情報を参考にして作られています。情報元が海外であるため、日本の個体にだけ強く出ている疾患などは本リストに入っていない可能性があります。ご了承ください。
掲載されている内容/データに間違いを見つけたら?