普段私たちが食べている食材で「犬に食べさせてはいけないもの」はよく聞く話だけれど、諸説あって、いいんだかどうだかよく分からない食材というのも多い。今回は、そのうち3つほどを紹介しよう。
アボカド
淡い黄緑色が新鮮で、洋食に和食にいろんな料理で活用されているアボカド。近頃は比較的安価に買え、特に日本で出回ってるアボカドは脂肪分の高い口当たりのよい品種ばかりだ。
アボカドに含まれる脂肪分は6%のものから26%のものまで幅広く、その脂肪の多くがオメガ6系などの脂肪酸。「森のバター」などと呼ばれ、体に良さそうだからつい犬にも与えてしまいたくなるが、一つ注意が必要な成分がある。アボカドの毒性物質ペルシンである。ペルシンはおもに葉から抽出されるものだけど、通常私たちが食べるアボカドの黄緑色の部分、脂肪分の多い果肉にも、ある程度含まれている。
ペルシンが影響を及ぼすのは、胃腸粘膜、膵臓、乳腺、心臓などで、ペプシンが胃腸を刺激して嘔吐や下痢、そして膵炎の原因になる。
アボカドは品種が多く、品種によってペルシンの含まれる量も異なるのではないだろうか。実際、頻繁に食べても大丈夫な犬もいるし、一発で病院行きになった犬もいる。犬猫には毒性はないといわれているけれど、実際にひどい嘔吐におそわれた犬の話を聞くと、品種によってかなり差があるのではないかと思う。
もろ手を上げて「大丈夫!」とはいえない食材。それがアボカド。
ブロッコリー
ブロッコリーのどこが悪いんだ、うちの犬は毎日食べているぞ、という方だっているだろう。ブロッコリーはアブラナ科の植物で、マグネシウムなどミネラル分を含む食材として人気の緑黄色野菜だ。食卓で人気だからつい手作り食にも入れたくなる。食物繊維を多く含んでそうだし、見た目にも(?)体によさそうだし。確かにブロッコリーには、フラボノイドなどのフィトケミカルが含まれ、ガンの予防効果や殺菌効果があるといわれている。
しかしブロッコリーには、ワサビにも含まれるシニグリンという成分が含まれており、それが腸壁を刺激して軟便の原因になる。シニグリンは、そもそも植物が自分の身を守るための護身成分で、細胞が壊されることで放出され、酵素の働きによって辛味を示す。
ワサビなどに比べると、ブロッコリーに含まれるシニグリンはほんのわずかではあるけれど、あまり火を通していない半生のブロッコリーなどを食べてウンチがゆるくなり、しかしシニグリンのことはあまり知られていないことから、飼い主自体はブロッコリーのせいであるとは気が付かずに与え続け、下痢が治らない……などの可能性があるので注意しよう。
ブロッコリーの原材料解説
レバー
まずご存じのように、レバーは体の中の解毒器官だ。家畜が体に摂り込んだ薬物や栄養素などを代謝してくれるところだから、場合によってはいろんな代謝物(毒素)が蓄積されている心配がある。選ぶのは当然、たくさんの薬物投与がなされているようなことが明白な安価なものではなく、ちょっと高くても薬物投与の少ないオーガニック系のものを選びたい。
また、レバーには胆汁やグリコーゲンといった物質が含まれており、これらが犬の体に刺激となったり消化が難しかったりするかもしれないという心配がある。ビタミンAに関しては、犬の体は人の体と違ってビタミンAへの許容量が大きく(=多めに摂取しても問題がない)、人間の場合ほどの心配をする必要はないが、胆汁やグリコーゲンなどが理由となって、犬が食べられるレバーの量というものは限られてくる。
最後に、近年のレバ刺し問題にもあるように、生のレバーには食中毒を引き起こす雑菌が付着している危険性がある。レバーは必ず火を通して与えたい。
これらのほかにも、ニンニクやブドウなど、与えてよいのかどうか迷う食材があるので、詳しくは原材料辞典を参照してほしい。良いといわれるからといって過信してどんぶり勘定にならず、最初は少し控えめに、犬の体と相談していこう。