今年もいよいよ灼熱の“夏”に突入し、飼い主たちはとにかく愛犬の暑さ対策にあれやこれやと頭を悩ませて、いろんなグッズを(ネットで)ポチポチしているところだろう。
ギラギラジリジリとした日差しを避け、朝晩の涼しい時に散歩をするのはもう当然のこと。たとえ、日が沈んだ後で人間にとっては涼しい気温になっても、まだ要注意。地面近くを歩く犬は、昼間の日差しでアスファルトが溜め込んでいる余熱をもろに受け、人間ほど涼しさを感じることができない。しかも、犬の体は人間と違って全身で汗をかくことができず、汗をかけるのは足の裏と、脇の下でほんのちょっとだけである。
人間ならば、暑い時にはドバーッと汗をかいて体にたまった熱を発散して体温調節をするが、犬にはそれができない。犬という生き物は、よっぽど南方系の犬でない限り暑さに慣れているとはいえず、しかもヨーロッパ原産の犬ともなると、そもそも湿気の少ない気候に対応した体の作りになっている。なので、たとえ日本で生まれた犬だとしても、いわゆる洋犬種の場合は日本の気候がへっちゃらなわけではない。
誤解されそうなので追記しておくが、日本原産の犬にとっても日本の夏は暑い。犬だって快適に過ごしたいから、家の中の涼しいところを探し回るし、快適に過ごさせてさせてやりたいと思うのが飼い主の親心というものだろう。クーラーの効いた涼しい室内と、散歩のために出るムッとした戸外の温度差。暑いからといって短くなりがちな散歩。暑すぎて食欲も減退……。そんな毎日をそれでも元気に過ごすために、dogplus.meとしては少なからず食事でサポートしたいところだ。
というわけで、夏の温度変化に負けないためにまずはスタミナをつけよう(“スタミナ”とは何かを考えるとき、とりあえず「カラダの底力」と考えておくといいだろう)。スタミナをつける食材といえばまずはレバー。そして牛肉。
夏のスタミナ源といえばやっぱりレバー
「酵素」と聞くとすぐに「生」のレバーを与えることを思い浮かべるかもしれないが、夏の時期の生レバーは特にいたみやすいので、オススメしたいのは加熱したレバーである。加熱すると、酵素は活性を失ってしまって役に立たなくなるが、酵素の働きの一部を担う微量元素は加熱しても減るものではなし、まずは体にしっかり取り込んで酵素の生産を促そう。
加熱するときには、焼くもよし、ゆでるもよし。ゆでる場合は、ゆで汁をいつもの食事の上にかければ、犬の食欲もグンとアップすること間違いなし。そしてレバーといえば、いつも通りのこの一言。「レバーは解毒器官なので選ぶ時には特に質の良いものを」
牛肉もなかなかすてがたい
タウリンは、特に心臓の機能強化には欠かせないアミノ酸で(心臓サポートのための療法食にも必ず配合されているはずだ)、夏に弱い高齢犬なら必ず摂取しておきたい成分だ。抗酸化作用や消炎効果もあり、いいとこどりのアミノ酸だが、間違っても人間の飲む栄養ドリンクや、近頃流行りのエネルギードリンクなどは飲ませないように(……まさかやる人はいないと思うけど、念のために書いておこう)。これらのドリンク剤には、カフェインをはじめ犬の体に不向きな成分もたくさん入っているほか、ビタミン成分も多く入っているので、それらが過剰摂取となり、かえって犬の体調を崩す結果となる。
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夏場はとにかく、体温調節のために春や秋よりも多くのエネルギーが使われるから、レバーや牛肉など良質のタンパク質を、いつもの食事にトッピングしながら必要なエネルギー量を補おう。
また夏は、湿気で蒸れて外耳炎や皮膚疾患も出やすい時期だから、免疫機能を強くしてくれる亜鉛のサポートもオススメしたい。そのほか汗のかけない犬にとってのクールダウンには、冷やしたスイカもいい。スイカを食べ過ぎると便がゆるくなりがちなのは犬も人間も同じだが、水分補給としてだけでなく、スイカに含まれる適度な糖分とカリウムなどのミネラルが、体の疲れを癒してくれることだろう。