保護犬と出会える店「GREEN DOG湘南」が本日オープン。“フードショップ”の枠を超えた画期的な取り組みに注目

メディアや関係者でごった返す店内。慌ただしい中、代表の佐久間さんと店長の遠藤さんにも話を聞かせてもらったので、追って記事にしたい

　dogplus.meの読者であれば皆さんご存じ、プレミアムドッグフードの専門店「GREEN DOG」が、本日（2014年12月12日）ついに、神奈川県藤沢市の湘南T-SITEにオープンした。神戸、六本木（ミッドタウン）、代官山に続く実店舗4店目で、関東圏の東京都以外では初めての出店となる。しかも今回は単なる販売店舗というだけでなく、かの有名な広島の認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパンのワンコプロジェクト「ピースワンコ・ジャパン」と提携し、保護犬の譲渡センターを常設しているという、ほかには例を見ない試みの記念すべきテストケースでもある。
　正式オープンに先駆けて行われた内覧会に参加することができたので、早速紹介しよう。

店舗の一番目立つ場所には、同社の看板商品NOW FRESH、85％以上が肉で出来ているK9ナチュラル、原材料のバランスが高次元で優れるオリジン、日本が誇る自然食ドットわん、アメリカの有名フードナチュラルバランスなど、そうそうたるラインナップが並ぶ

湘南T-SITEは、巨大な蔦屋書店を筆頭に、30店の個性的なショップが並ぶ商業施設だ。言うならばその中の“ペット部門代表”としてGREEN DOG湘南店が存在する

全面ガラス張りのような明るい店内。もう一つ小さい入口があるが、こっちが正門。入ってすぐ左に、保護犬のための“リビングルーム”がある

“本当にプレミアム”なフードを買える店

GREEN DOGの製品ポリシー（拡大できます）。ここには書き切れない細かいチェックを通って、初めて取り扱いが決まるという。フードメーカーが「GREEN DOGさんに置いてもらえたんですよ」と誇らしげに話すあたり、このチェックを通ることはステータスなのかもしれない

　GREEN DOGをご存じの人なら改めて説明の必要はないかもしれないが、湘南店も、“本当にプレミアム”なフードだけを扱う同店のポリシーがそのまま反映されている。いわゆる巷のペットショップや、楽天などにある大規模ネットショップ、ホームセンターなどに比べると、目を疑うほど取り扱い品目が少ないが、これこそがGREEN DOGの真骨頂。本当に厳選されたものだけが置いてある、ある意味ドッグフードのセレクトショップなのだ。

　“プレミアム”と名がついたフードは数多くあるが、本当のプレミアムを求めるのであれば、GREEN DOGに足を運ぶのが一番手っ取り早い。とはいえ、dogplus.meのフード図鑑を見ればその種類の多さは分かるし、使われている原材料にしても本当にピンキリだ。足を運んだはいいが何を選んだらいいのか分からない場合は、店員さんに素直に聞いてみよう。ホリスティックケア・カウンセラーの資格（余談だがこれは、日本アニマルウェルネス協会に認定されている）を持った店員さんが、いろいろと教えてくれるだろう。

店舗奥に進むと、トリーツとグッズのコーナー。普通の店ではお目にかかれない商品も多く並んでいるので、近くの人はぜひ一度足を運んでみることをオススメする。右奥に見えるのがトリミングルーム。トリマーさん募集中らしいので、腕に覚えのある人はぜひ

犬用おもちゃ……というには厳選されたアイテムが並ぶ一角。左下の隅に見えるネズミのぬいぐるみは、我が家の犬のお気にいり

　フードのほかには、おもちゃやトリーツ、リード、ケア用品などのドッググッズなども置いてあるが、言うまでもなくこれらもすべて厳選されたもの。GREEN DOGのお約束であるトリミングルームもあるが、ほかの3店舗で開催されているしつけ教室は、いまのところまだ予定がなさそう。
　店長の遠藤さんは元々トレーナー出身の人だし（今もトレーナーだが）、T-SITEの周囲だけでも1000軒もの住宅が建設予定なので、今後を考えれば絶対に需要は高いはず。ぜひとも開催に期待したいところだ。

店内スペースの多くを占めるのは，保護犬譲渡センター

外側からパチリ。独居房のような寒々しさはない。ピースワンコ厳選の犬ばかりがいるせいか、どの犬も人に慣れていて落ち着いており、これがホントに保護犬なのか（この犬達を捨てる人がホントにいるのか）と疑問にすらなる

　そしてこの湘南店の最大の特徴が、ピースワンコ・ジャパンと提携した保護犬譲渡センターだ。最初に店に足を踏み入れたときに、GREEN DOGの店舗にしてはちょっと狭いかな……？　と思ったのだが、それは、譲渡センターの存在が同店舗にとって非常に大きいものだから。なにしろ、店舗の1/3ほどのスペースを、譲渡センターのために使っているのだ。

　保護犬譲渡センターというと、どうしても暗いイメージが付きまとうし、元気のない犬や、やたらに吠えかかる犬が何頭も檻（おり）の中に入れられて……という印象がぬぐえないが、ここの譲渡センターはご覧のとおり。取材時には8頭の犬が、新しい飼い主を待っていた。

リビングを模した部屋で、スタッフの鈴木さんと保護犬のぽん太。このあとここで、ピースワンコ・ジャパンの大西さんにお話を伺ったのだが、ぽん太はお腹を見せてひたすらゴロゴロ転がっていた。写真右下に小さく見えるのは消臭用のヒノキ片。ピースワンコのお膝元・広島県神石（じんせき）郡のものだ

　また単にケージだけがあるわけではなく、店の入口近くには比較的大きいスペースを取って「リビングルーム」が設置されている。檻の中や外での行動ではなく、比較的一般の家に近いスペースを作り出してそこで保護犬と会ってもらうことで、より自然な気持ちで接することができるように、という配慮だとのこと。しかもこのリビングルーム、単に雰囲気作りのためだけにあるわけではなく、先住犬との相性が心配な場合はここで会わせることもできるという。実用性も兼ねていて、なんという至れり尽くせり。

小部屋が並ぶ通路を見回るピースワンコのスタッフ安倍さん。取材日にいた一匹のチワワはまだ安倍さんにしか心を開いていないとのことで、そういうときこそピースワンコスタッフの出番だ

　聞けばピースワンコの本拠地広島から、比較的温厚で人に慣れている犬などを筆頭に、新しい家族として迎えてもらえそうな犬を選んでここまで運んでいるのだという（そのほかの犬は？　という疑問は追って別記事にて紹介したい）。しかも一日4回の散歩に連れていくとのことで、慣れない土地とはいえ犬も落ち着いたもの。
　実稼働している店舗の中にあるということで、適度に賑やかで適度に人もいて、保護犬が家庭に入る事前準備としては大変に良い環境だ。大いなる“手間”をかけてもなおプロジェクトを推進するGREEN DOGとピースワンコ・ジャパンには頭が下がる思いだ。

保護犬ともっと気軽に出会える場所を作るために

湘南店のあるT-SITEの蔦屋書店は、巨大な規模にふさわしく犬関連の書籍も充実。ちょっと大きい本屋さんでもなかなか見つからず、Amazonで買うしかなかったような書籍も、ここなら手に取って確かめられる。オススメ

　ところでこの湘南T-SITEは、パナソニックの工場跡地であり、同社が推進する「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン」（Fujisawa SST）の中にオープンしたものだ。「T-SITE」という文字で気付く人も多いと思うが、3年前の2011年にオープンしてGREEN DOGの店舗も入っている、東京・代官山の「代官山T-SITE」の兄弟となる（兄弟とはいうものの，面積は約2倍だ）。
　Fujisawa SSTは、約193155平方メートル（約19ヘクタール＝約58500坪）の敷地の中に、1000世帯の住宅とマンション（予定）が建設され、3000人が住んで100年続く「サスティナブル・スマートタウン」を生み出すという。サスティナブル（sustainable：持続可能）という言葉が示すとおり、T-SITEの屋根などには太陽光パネルが設置され、街全体で3MW（メガワット）の太陽光発電を見込んでいる。それを受け、CO2削減70％、生活用水削減30％、再生エネルギー利用率30％を目指しているのも大きな特徴だ（最終完成予定は、2018年とのこと）。

　そんな、来たるべき新しい時代の、新しい世代のための、新しいライフスタイルを提案するというミッションを担った“街”で、保護犬の譲渡センターを常設しているという意味合いは非常に大きい。

湘南店では、保護犬のお散歩ボランティアも募集中とのこと。「自分でも何かやってみたい」「何か少しでも貢献したい」と思ったらぜひ一報を！

　GREEN DOGなどで、愛犬のために“少しでもよいもの”を手に入れようと思っている人などを筆頭に、“犬”と暮らすことを真面目に考えている意識の高い人であれば、保護犬を迎え入れるということを、一度ならずとも考えたことがあると思う。考えたことはあっても、家庭や仕事で忙しいみなさんが、保護犬について調べ、いる場所を調べ、休みの日に時間を使って保健所に行ったり、保護犬の里親さんに電話して日程と時間を調整して、気合いを入れて会いに行くというのは、正直なところいささか骨の折れるミッションだ。
　また、そこまで考えたことのない一般の飼い主さんであればなおのこと、保護犬とは暗くて殺伐とした牢屋のような場所にぎゅうぎゅうに押し込められているものであり、とてもじゃないが気軽に見に行ったりするようなシロモノではないというイメージも多分にあると思う。

　そんな中、新しい複合商業施設の中にある、新しくて明るい店舗の中で、（語弊はあるかもしれないが）買い物帰りに気軽に保護犬に会えるというのは、人間の身勝手で捨てられた保護犬にとって、これ以上はない前向きな第一歩となる。保護犬というもののイメージを変え、新しく犬を迎えようとしている人の選択肢として組み込んでもらうには、非常に大きな役割を果たせるのではないだろうか。もっとも“近い”、保護犬との出会いの場になるわけだ。

とても人なつこい“ぽん太”。誰にでもよく慣れ、取材中もうなったり吠えたりせず、なんでこの犬が「保護」されるに至ったのかまったく理解できない。幸いにも殺処分をまぬがれたこんな犬達に、もっと幸せな人生（犬生）が送れるように、またこういう環境に置かれる犬をもっと少なくするために、両者の取り組みをぜひとも応援したい

　平成24年に、全国で殺処分された犬は約3万8000頭。その中の“たった数頭”だと言ってしまえばそれまでだが、千里の道も一歩から。確かに数字にしたらわずか数頭かもしれないが、保護犬全体にとっての明るい未来を提示してくれるかもしれないこの試みに、心から期待したい。

GREEN DOG公式サイト

GREEN DOG湘南店公式ページ

ピースワンコ・ジャパン公式サイト