犬が好きでたまらないみなさんであれば、きっといろいろなところで、いろいろな形で、犬について学んでいることと思う。雑誌を購読したり、書籍を読んだり、インターネットで調べ物をしたり、獣医さんのセカンドオピニオンを聞いてみたり、ドッグトレーナーさんと話をしてみたり……。
犬という生き物についてもっとよく知ろうと思ったときには、経験と科学の双方からのアプローチが必要だ。経験だけでどうにかなるほど甘いものではないだろうし、座学の知識だけですべてが丸く収まるほど簡単なものでもない。その両方を、万遍なく過不足なく仕入れることが重要であり、かつ一番難しい。
中でも「しつけ」「病気」は、難度の高い2巨塔だ。前者は個体差が大きすぎて(そして解決に向けて飼い主に求められるスキルも多すぎて)、後者は理解のために要求される知識が多すぎるだけでなく、時間と共に知見が増えて“かつての一般論”がどんどん変化していく(そしてその情報は、なかなか一般の飼い主まで降りてこない)。この2つは、犬とキチンと暮らしていこうと思う飼い主にとって常に興味のある話題であり、いつだって新しい情報をキャッチしようと身構えているはずだ。
さてそれらの情報を得るためには各種書籍はもちろんだが、有用な情報入手の手段として“シンポジウム”がある。シンポジウムというと聞こえがちょっと地味で、参加のハードルが高いイメージがあるが、最新の知見を一般の飼い主に教えてくれる、とてもありがたい場だ。
各種の学術団体や企業などがいろいろなシンポジウムを開催しているが、今回は「ガン」に関するシンポジウムについて紹介しておこう。
いつもの繰り返しになるが、人間同様、犬猫にとって今もっとも脅威の病気は「ガン」だ。獣医学の発展と予防医学の浸透、そして食事(=主にドッグフード/キャットフード)のレベルアップにより、犬も猫も以前に比べて遥かに長生きになっている。飼い主にとってそれは大変にありがたいことなのだが、そこで牙を剥いたのは、やはり「ガン」だ。
そんな動物のガンを長く研究している、岐阜大学の比較がんセンターが、この10月31日(土)に「ペットのがんと生きる」をテーマに、シンポジウムを開催する。
正式には「第9回比較腫瘍学シンポジウム(市民公開講演会)」という大変いかつい名称で、対象は「市民、学内外教職員、がん専門家/研究者、臨床獣医師、企業人、学生」となっている。
ちょっと難しそうなイメージがあるし、おそらくは巷の雑誌よりはちょっと難度が高いかもしれないが、裏を返せば“がん研究者”や“臨床獣医師”が対象となっているくらいハイレベルで最新の知見を講義してくれるわけで、こんなチャンスは滅多にない。主催者からいただいた資料には「市民の方たちにわかりやすくお話したいと思います」という一文もあり、ひたすらに学術用語でしゃべるような講演にはならなそうだ。
我々一般の市民から見ると、学術研究というのは“違う世界の何か”でしかない。頭の良い偉い人達が、お金と時間を使って、いろいろな実験でいろいろなことを調べている……みたいな。しかし今回の資料を見ると、
「動物のがんの研究は最終的には一般市民の人たちや飼い主に理解され、動物と人に役立たなければなりません」
「動物と人のがんを比較しながら市民の方たちにわかりやすくお話したいと思います。そして、動物と人がさらにより良い関係になることを目指します」
とあり、広く一般の飼い主に門戸を開いてくれている。
以下の講演内容に興味があり、もし近場にお住まいであれば、ぜひとも足を運んでみてほしい。この手のシンポジウムは大阪や東京などの大都市でのみ行われることも多く、なかなかない機会になるだろう。
なお、本シンポジウムで講演する丸尾幸嗣(まるお こうじ)氏は、先だって掲載した「ゴールデンでガン予防フードの開発を」の記事に登場した丸尾氏だ。犬のガンにまつわる対抗策の先駆者たらんとする氏の活動を、愛犬家として素直に応援したい。
岐阜大学フェア/第9回比較腫瘍学シンポジウム
(市民公開講演会)
■テーマ:
ペットのがんと生きる
■対象:
市民、学内外教職員、がん専門家/研究者、臨床獣医師、企業人、学生
■日時:
2015年10月31日(土)14:00〜16:30
■場所:
岐阜大学講堂
場所は→こちら
■趣旨:
岐阜大学比較がんセンターは発足後6年目に入り、今までの研究成果を総括するとともに、今後の方向性について議論をします。まず基調講演において、私たちの研究対象となっているペットとの暮らしがもたらしてくれる効用についてお話します。そのような動物のがんの研究は最終的には一般市民の人たちや飼主に理解され、動物と人に役立たなければなりません。そこで、ペットのがんの現状と、それに対する比較がんセンターのメンバーがどのような活動をしてきたかを、動物と人のがんを比較しながら市民の方たちにわかりやすくお話したいと思います。そして、動物と人がさらにより良い関係になることを目指します。
■講演内容
進行:村上麻美(岐阜大学比較がんセンター)
1)福井博一岐阜大学応用生物科学部長の挨拶 5分
2)基調講演「人と動物の絆 〜ペットとの暮らしがもたらす幸せ〜」 細井戸大成(公益社団法人 日本動物病院協会 会長) 30分
3)「犬,猫,ヒトのがん なにが同じで,どこが違う?」 酒井洋樹(岐阜大学比較がんセンター病理病態学研究部門) 25+5分
4)「犬・猫のがん治療の今」 森 崇(岐阜大学比較がんセンター臨床研究部門) 25+5分
5)「犬でしかできない?がん予防の試み」 丸尾幸嗣(岐阜大学比較がんセンター疫学予防研究部門) 25+5分
6)総合討論 丸尾総括 20分
7)福士秀人岐阜大学副学長の挨拶 5分
(市民公開講演会)
■テーマ:
ペットのがんと生きる
■対象:
市民、学内外教職員、がん専門家/研究者、臨床獣医師、企業人、学生
■日時:
2015年10月31日(土)14:00〜16:30
■場所:
岐阜大学講堂
場所は→こちら
■趣旨:
岐阜大学比較がんセンターは発足後6年目に入り、今までの研究成果を総括するとともに、今後の方向性について議論をします。まず基調講演において、私たちの研究対象となっているペットとの暮らしがもたらしてくれる効用についてお話します。そのような動物のがんの研究は最終的には一般市民の人たちや飼主に理解され、動物と人に役立たなければなりません。そこで、ペットのがんの現状と、それに対する比較がんセンターのメンバーがどのような活動をしてきたかを、動物と人のがんを比較しながら市民の方たちにわかりやすくお話したいと思います。そして、動物と人がさらにより良い関係になることを目指します。
■講演内容
進行:村上麻美(岐阜大学比較がんセンター)
1)福井博一岐阜大学応用生物科学部長の挨拶 5分
2)基調講演「人と動物の絆 〜ペットとの暮らしがもたらす幸せ〜」 細井戸大成(公益社団法人 日本動物病院協会 会長) 30分
3)「犬,猫,ヒトのがん なにが同じで,どこが違う?」 酒井洋樹(岐阜大学比較がんセンター病理病態学研究部門) 25+5分
4)「犬・猫のがん治療の今」 森 崇(岐阜大学比較がんセンター臨床研究部門) 25+5分
5)「犬でしかできない?がん予防の試み」 丸尾幸嗣(岐阜大学比較がんセンター疫学予防研究部門) 25+5分
6)総合討論 丸尾総括 20分
7)福士秀人岐阜大学副学長の挨拶 5分