犬とーーとりわけ運動量の多い犬とーー暮らしている人であれば、生活の中に欠かせないものは“ドッグラン”だ。単に愛犬を運動させるという目的だけでなく、ほかの犬との触れ合いによる社会化の促進や、愛犬家同士のコミュニティの形成、ドライブまで含めた家族のレジャーとしての意味合いなど、さまざまなメリットを内包している、犬ライフには欠かせないエッセンスだ。
企業が運営するもの、自治体が運営するもの、ドッグカフェ併設のものなどさまざまなドッグランがあるが、飼い主によって、犬種によって、ドッグランに求めるものはさまざまだ。我が家の例で言うならば、やたらめったら走り回る犬種(イタグレ)を、チワワやキャバリアなどのまったりした小型犬が多くいるエリアで放すのは、ちょっと申し訳ない気がして躊躇してしまうし、そもそも広さが圧倒的に足りないことが多い(一方で、大型犬だけど温厚でちょっとボーッとしている犬種(黒ラブ)は、犬種制限なしにどこに入れても大丈夫そうには思うが)。
なんとなくドッグランごとにそういう色が決まっていて、常連さんも決まっていて、いくつかのドッグランを“味見”しながら、自分が通う場所を決めていくのだと思うが、このたび西東京のあきる野市に、ほとんどのドッグラン需要がまかなえるのではないかと思われる施設がオープンした。それが「わんダフルネイチャーヴィレッジ」だ(まだ割と珍しい.tokyoドメイン)。
2016年春を目処に、ドッグプール、バーベキュー場、オートキャンプサイト、子供エリアがオープンして、その時点で“グランドオープン”となるのだが、それに先駆けて2015年10月1日に、ドッグパークエリアだけプレオープンしたので、早速行ってみた。以下、ドッグランに絞って紹介しよう。
わんダフルネイチャーヴィレッジ公式サイト
ドッグラン紹介ページ
プレオープンしたのは、各種ドッグランとカフェレストラン、およびハイキングコース。ここだけ読むと「ふーん」という印象しかないが、このドッグランが半端ない。
・全犬種エリア(1750平方メートル、約530坪)
・中・大型犬専用エリア[体重8kg以上](510平方メートル、約154坪)
・小型犬専用エリア[体重8kg未満](390平方メートル、約118坪)
・屋根付きエリア(400平方メートル、約121坪)
・貸切エリアA(463平方メートル、約140坪)
・貸切エリアB(487平方メートル、約147坪)
という全6つのドッグランがあるという凝りようだ。全部足すとちょうど4000平方メートル、約1212坪の広さを誇る(広さって坪表記のほうが分かりやすくないですか?)。
遊びに行った10月3日は、不運にも直前の天候不順のためドッグランエリアの芝のコンディションが悪く、使えたのは「全犬種エリア」「貸切エリア」だけだったが(屋根付きエリアはイベントで使われていた)、この全犬種エリアが本当に素晴らしい。
とはいえ、ルールはルールなので(広い)大型犬エリアに入れるわけもなく、割と悶々とすることも多いのだが、ここならその懸念はまったく不要。530坪のエリアを縦横無尽に走り回れる。とくに走り回る犬でなくても、大型犬でも大丈夫な元気な個体とかは割と見かけることも多いので、そういう犬であってもこの全犬種エリアは大変楽しく使えるだろう。個人的には、ぜひともいろんなランで採用してほしい。
見たところナイター設備もある……ように見えるのだが、詳細は不明。営業時間は10:00〜17:00なので,ナイター用ではないのかな?(全ランに大きなライトが設置されていた)。
そしてドッグランといえば困りものなのが飼い主のホスピタリティ。トイレは遠く(そして汚く)、飲み物すら入手できず、座るイスもないようなドッグランは数多くあり、それでも犬が楽しそうならいいのだが、WNVならそこも安心だ。
貸切エリアだけはほんの少し離れたところにあるが、あとのランはすべて隣接状態で、真新しいトイレも近く、テイクアウトできるカフェもあり、腰を据えて食事するなら犬連れでそのまま入れるレストランもある。それぞれのランにはイスもちゃんと用意されているので、犬が楽しんでいる間に飼い主が延々と立ちっぱなしということもないだろう(結構疲れますよね、あれ)。
ちょっと犬が飽きたかな? と思ったら、カフェで(飼い主が)食事をしたあとでハイキングコースをちょっと散歩して気張らしをして、再びランに戻ることも簡単。ここに来れば、犬が楽しくて仕方ないことは請け合いだ。来年になればドッグプールやオートキャンプ場、バーベキュー場もオープンし、ますます犬とのアウトドアライフを楽しめるようになる。将来的には、コテージやツリーハウス(!)まで出来るらしい。
……唯一の懸念事項があるとすると、それは価格だ。公式サイトの料金表を見ると分かるが、例えば夫婦+子供一人+犬1頭で行ったとすると、(普通にクルマで行ったとして)入るだけで3500円がかかる。2頭飼っていたり子供が2人いたりすると、さらに上がっていき、これがドッグランの利用料金だと考えると、やや割高感が否めない。
来年になってさまざまな併設施設が出来てくれば、アウトドア系の人などが犬連れで来るにはまたとない場所になるかもしれないが、趣味がアウトドアだというほどではない、一般的な犬連れの家族のことを考えると、果たしてどうだろう。犬が楽しいのは間違いないだろうが(ドッグランは素晴らしい。ウッドチップや人工芝ではないのも素敵だ)、翻ってその犬を連れている飼い主にとって、料金に見合った楽しさがあるのかというと、やや疑問だ。
むろん、筆者も含めて「それでも楽しい」と思う人も多いだろう。犬が楽しければそれでよいという人にとっては良い場所だ。しかし“犬が楽しい場所”でしかない現状では、決して利便性の高い場所ではないし、あの地に多くの人を呼ぶことは厳しくなってくるだろう。
公式サイトには「人と犬との関わり方やマナーを発信し、私たちを支えてくれる犬たちの支援を行います。」とあり、崇高な理念を持って運営されていることが分かる。しかしその理念も、それを遂行するための予算あってのものだし、その予算の元となるのは我々飼い主(来場者)なのだ。
公式サイトを隅から隅まで見ると、非常に細かいところまでさまざまなこだわりを持って作られている施設なのがよく分かる。だからこそ、頓挫することのないように運営を続けてほしいと思う。
……なんだかネガティブに終わってしまいそうなので、最後にもう一度改めて書いておくが、ランの設備は本当に素敵だ。犬が楽しそうに走っているのを見ることに、このうえない幸せを感じる人であれば、ドライブを兼ねて一度行ってみてほしい。そして状況が許すなら、ぜひとも“全犬種エリア”に入ってほしい。
全犬種エリアはその性質上、中にいる犬達は大変フレンドリーで(問題を起こさない自信があるから入るのだろうし)、筆者が行ったときには、何十頭といたにも関わらずほかの犬に吠えかかるような個体は1頭もいなかった。大型犬も小型犬も、相手に吠えかかることなく、互いに挨拶しながら気ままに遊んでいる姿は、本当に幸せな気分になれる。オススメだ。
Wonderful Nature Village
(わんダフルネイチャーヴィレッジ)
■住所
東京都あきる野市上代継600
※Google Mapは「こちら」を参照。東京サマーランドの駐車場を左手に見ながらそれを通り越して、さらに1.5kmほど進んだ先の左側に駐車場があるので、サマーランドに入らないよう注意
■休園日
2015年10月〜12月の水・木曜日(ほか細かい休園日があるので公式サイトの「こちら」を事前に確認)
■営業時間
10:00〜17:00
■料金
おとな(中学生以上) 800円/1名
こども(小学生) 400円/1名
犬 800円/1頭(2頭目以降は半額)
貸切ドッグラン 平日:1万円/2時間、土日祝日:2万円/2時間
※犬が施設に入るために、狂犬病予防接種が注射済みであることを証明できるものと、3種以上の混合ワクチンの接種証明書が必要。
(わんダフルネイチャーヴィレッジ)
■住所
東京都あきる野市上代継600
※Google Mapは「こちら」を参照。東京サマーランドの駐車場を左手に見ながらそれを通り越して、さらに1.5kmほど進んだ先の左側に駐車場があるので、サマーランドに入らないよう注意
■休園日
2015年10月〜12月の水・木曜日(ほか細かい休園日があるので公式サイトの「こちら」を事前に確認)
■営業時間
10:00〜17:00
■料金
おとな(中学生以上) 800円/1名
こども(小学生) 400円/1名
犬 800円/1頭(2頭目以降は半額)
貸切ドッグラン 平日:1万円/2時間、土日祝日:2万円/2時間
※犬が施設に入るために、狂犬病予防接種が注射済みであることを証明できるものと、3種以上の混合ワクチンの接種証明書が必要。