熊本の地震でお亡くなりになった方のご冥福をお祈りすると共に、被災された多くの方々に、心よりお見舞い申し上げます。
震災当日にこの原稿を書き上げたものの掲載を躊躇していたら、その後も次々と強い揺れに見舞われており、阪神・淡路、そして東北に並ぶ規模の地震であることを目の当たりにしました。
21年前の阪神・淡路大震災、そして5年前の東北地方太平洋沖地震(3・11)に続き、またもや大地震が日本を襲いました。しかも今回は、一般的には地震災害があまり想定されていなかった地域での出来事であり、日本という国は本当に活断層の“しわ”に覆われていて、地震と共存しているのだということを改めて思い知ります。
そして今回、運良く被害に遭わなかった我々は、自分や家族の身のみならず、ペットの身をも守るために、同行避難について真剣に準備しておく必要があります。いつ、どこで、誰の身に降りかかってもおかしくないのが、大地震なのですから。
今回も、Twitterなどでペットがいなくなったことを知らせるつぶやきが多く見られますが、身元(=飼い主)を特定できる情報を何も持っていないペットが意外と多いことがとても心配です。今回の地震は熊本の方達にとってはまさに青天の霹靂だったと思いますが、天災というのは突然やってくるものですし、家族のように大切に思っているペットのために、飼い主が特定できる情報は必ずなんらかの方法で身につけておこうと、改めて強く思いました。
dogplus.meの読者の皆さんであれば、ほとんどが室内飼いでしょうし、散歩のとき以外は首輪をしていない犬も多いと思います。それでも、震災時などにはパニックになって割れた窓から外に逃げ出したり(今回の熊本地震でも多く見受けられます)、飼い主が外に避難するときに逃げ出してしまったりと、いつなんどき“野良状態”になってしまうか分かりません。首輪をしないのであれば、せめてマイクロチップを装着し、万が一遠く離れてしまったときでも、「どこの誰の犬なのか本当に分からない」という状況にならないようにしておきたいものです。
環境省のペット災害対策マニュアル「いつもいっしょにいたいから」より抜粋 |
またうまくペットと共に避難できたとして次に問題になるのは、ペットのための避難アイテムです。フード(できれば水も)、食事用の食器、予備の首輪・リード、ケージ、場合によってはペットシートなど、大規模な災害が来るとしばらくの間入手できないであろう必需品の数々はまとめておき、取り出しやすい場所に保管しておきましょう。
もしかしたら、パニックになっているペットのために、オモチャやニオイのついた毛布などもあったほうがよいかもしれませんし、強烈な状況の変化で犬がおなかをこわしがちになる可能性もあるので、オオバコの葉や下痢止め薬、ハーブエキスなど、一般的に準備できる薬の類(たぐい)も準備しておくほうがよいかもしれません。
多頭飼いの我が家は、全頭にマイクロチップを装着し、首輪やリードなど予備グッズを揃えたものを2セット作って、それぞれを違う場所に置いてあり、かつフードは常に2袋の予備がある状態で購入しています。この状態なら何かが起こっても、まずは一安心……だと思いたいところです。
避難所や仮設住宅にペットと共に避難できたとして、そこでは“しつけ”が重要です。当たり前ですが、周りの皆さん全員が動物好きなわけではありません。出来る限りでよいので、騒がない/うならない/吠えないようにしておくのは、飼い主としての義務だと言ってもよいでしょう。
状況が状況だけに、ペットも大きなストレスを感じていて、いつもとまったく違う行動に出るかもしれません(家から一歩も出たことのない猫が、地震のときにパニックになって家から逃げ出してしまうなど)。それを踏まえたうえでキチンと制御できるのが理想的ではあります。
このあたりのことは、環境省の「いつもいっしょにいたいから」というペットの災害対策マニュアルに一通りのことが書いてありますし、とてもよくまとまっているので、ぜひ一度読んでみることをお勧めします。
「いつもいっしょにいたいから」(環境省)
災害が起こると、(当たり前のことではありますが)人命救助はもちろん、人の生活を元に戻すことが最重要視されます。ペットフードが手に入らない、避難所にケージやペットシートがないなどは当然のことで、いくら国がガイドラインで推奨しているといっても、場合によってはペット同行で避難できない可能性だってあります。実際に今回の熊本の地震でも、同行避難が出来ない人が多くいるようです。
そういう事態もいずれは改善の方向に向かうことと期待していますが、いますぐすべてが大きく変わることではないでしょうし、そんな緊急時だからこそ、愛犬の命は飼い主が守らなくてはなりません。復旧したときにまた愛犬と共に暮らすために、災害時に対する備えは常日頃から意識しておきましょう。
また、熊本の竜之介動物病院のように、災害時に飼い主ともどもペットを受け入れてくれる施設もあるかもしれません。常日頃から、自宅近くで避難可能な場所を確認しておくとよいでしょう(マイクロチップの読み取りもできるとのことなので、念のため地図を載せておきます)。
竜之介動物病院院長である徳田竜之介氏のFacebookより(→こちら) |