3日ほど前の話になるが、アニコム損害保険(「どうぶつ健保」というペット保険を運用している)が、同社調べの犬種別平均寿命および犬の死亡原因を発表していたので紹介しよう。「どうぶつ健保」の保険金請求データを基にしたもので、元のサンプル数は43万5987頭。1社でこれだけのサンプルが集まるということは、我が家もですが、結構みなさん保険に入ってるんですね。
調査は2013年4月1日から2014年3月31日までの1年間で、その間に死亡した8311頭の犬のデータが元データになっている。それなりの数の母集団なので、統計的にも大枠では十分機能しているといえる。
犬種別の平均寿命を調査(アニコム損害保険のリリース)
アニコム損害保険公式サイト
平均寿命
さて一般的に言われている犬の寿命は、諸説あるとは思うけれど
・大型犬 10歳
・中型犬 13歳
・小型犬 15歳
のようなイメージだと思う(ちょっと乱暴すぎる分類だが)。
今回発表された調査結果によれば、犬の平均寿命は13.7歳。犬の大きさ別分類で寿命の長い順に表すと、
小型犬(体重5〜10kg) 平均14.2歳
超小型犬(体重5kg以下) 平均13.8歳
中型犬(体重10〜20kg) 平均13.6歳
大型犬(体重20〜40kg) 平均12.5歳
超大型犬(体重40kg以上) 平均10.6歳
となったようだ。8311頭のサンプルが集まると、それなりに均一化が図られるのか、ぼんやりと持っていたイメージとほぼ乖離はない。親切なことに19位までの表が掲載されていたので、下に掲載しておこう。
順位 | 犬種 | 平均寿命(歳) | 体格 |
---|---|---|---|
1 | イタリアン・グレーハウンド | 15.1 | 小型 |
2 | ミニチュア・ダックスフント | 14.7 | 小型 |
2 | トイ・プードル | 14.7 | 超小型 |
4 | 柴 | 14.5 | 中型 |
5 | パピヨン | 14.4 | 小型 |
6 | ジャック・ラッセル・テリア | 14.3 | 小型 |
6 | MIX犬(10kg未満) | 14.3 | 小型 |
8 | ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア | 14.2 | 小型 |
9 | カニンヘン・ダックスフント | 14.0 | 小型 |
10 | MIX犬(10kg以上20kg未満) | 13.9 | 中型 |
11 | ヨークシャー・テリア | 13.8 | 超小型 |
12 | チワワ | 13.7 | 超小型 |
13 | シー・ズー | 13.6 | 小型 |
13 | ミニチュア・ピンシャー | 13.6 | 小型 |
15 | ポメラニアン | 13.4 | 超小型 |
16 | ビーグル | 13.3 | 中型 |
17 | ミニチュア・シュナウザー | 13.2 | 小型 |
18 | マルチーズ | 13.0 | 超小型 |
19 | ラブラドール・レトリーバー | 12.8 | 大型 |
19 | アメリカン・コッカー・スパニエル | 12.8 | 中型 |
しかし1つだけ気になるのは、1位のイタリアン・グレーハウンドの平均寿命15.1歳という数字。そもそもそこまで多くいるわけではない犬種なうえに(2015年のJKC登録頭数は23位)、知名度が急激に上がり始めたのはここ数年の話であって、日本に15歳のイタグレがそんなに多くいたのだろうか。
日本で少しだけ知名度が上がり始めたころの“第一世代”と呼ばれるイタグレが、現在大体12、3歳くらい。それより前にもむろんいるにはいたが、そこまでの数ではないし、そもそもこのデータは2013〜2014年のデータを元にしている。つまり、イタグレの平均寿命を出すにはサンプル数が少なすぎるように思う。元データの8311頭の中に、アニコム損保に加入していて、かつ15歳で寿命を迎えたイタグレが何頭いたのかは分からないが、ちょっとここは精度として若干怪しいかな?という感じだ(とはいえ、欧米の犬種紹介記事や犬種図鑑を見ると、イタグレの寿命は大体15年程度と記されている。なので結果的に数値としては正しいのかもしれないが)。
我が家の黒ラブはあと1か月で14歳。まだ足腰も元気で大飯食らいで、散歩にも嬉々として出かけるが、もう何があってもおかしくはないのだなぁ、と改めて思い知る数字だ。そしてそれと同時に、トップ20のランキングに唯一顔を見せている大型犬であることにも気付く。やはり頑丈なのだなと、妙に納得したり。
なににせよ、これはあくまでも保険会社の統計結果に過ぎない。これで一喜一憂するようなことでもないし、人間と同じで、生活環境や食生活、運動量や健康チェックの頻度など、飼い主のアクションで寿命は大きく変わるはずだ。
飼い主としての義務を果たし、15年しか生きてくれない“最良の友”と、少しでも長く一緒に暮らしたい、と改めて身が締まる思いだ。
死亡原因
一方で、死亡原因として最も多いものは「腫瘍」。なんと全体の13.4%を占める。“腫瘍”と聞くと単なる腫れ物っぽく聞こえるかもしれないが、いわばこれは「ガン」だと思っておいてほぼ間違いではない。しかもアニコムのデータによれば、罹患率(その病気にかかる率)は4%しかないのに、死因としては13.4%を占める。人間もそうだが、どれほど致命的な病気なのかがよく分かるデータだ。
他社調べでも、犬の死亡原因は大体において
1位 ガン
2位 心臓病
3位 腎不全
4位 肝臓疾患
5位 てんかんなどの発作
と書かれることが多いので(細かい差はあれど、概ねこういう内容だと思う)、もはやこのあたりは間違いのないところなのだろう。もう本当に、すっかり人間と同じなのだと妙なところで感心する。
疾患分類 | 死亡頭数 | 割合(%) | 罹患率(%) |
---|---|---|---|
腫瘍 | 1114 | 13.4 | 4.0 |
循環器系疾患 | 921 | 11.1 | 2.8 |
泌尿器系疾患 | 667 | 8.0 | 5.4 |
消化器系疾患 | 476 | 5.7 | 14.6 |
肝胆道系疾患 | 453 | 5.5 | 8.6 |
ちなみに、もちろん(という言い方が適切なのか分からないが)犬種によって死亡原因には有意ともいえる差があり、例えば今回のリリースでは
・腫瘍が最も多い死亡原因となっている犬種
ミニチュア・ダックスフント,ゴールデン・レトリーバー,コーギー
・循環器疾患が最も多い死亡原因となっている犬種
チワワ,シー・ズー,キャバリア
など、その一例が示されている。
AKC Canine Health Foundationなどのデータを見ても、犬種ごとの疾病罹患率には大きな差があり、これは今後、犬の健康を考えるうえでは、そして真っ当な繁殖について考えるうえでも、重要な要素となってくるだろう。
この参考になるデータを、一部とはいえ公開してくれたアニコム損害保険に感謝の意を表しつつ、愛犬の健康について、いま以上に注意を心がけようと思った次第だ。