2016年12月7日に「ゆとり世代の住宅観に関する調査」なるものが発表された。住宅メーカー8社が合同で運営するWebサイト「イエノミカタ」と、なんでもアリのごった煮情報サイト「All About」を運営するオールアバウト社が、共同で行った調査の結果だ。
プレスリリースとして飛んできたのでフンフンと流し読みしていたのだが、途中1か所気になるデータが挙げられていたので、ここで紹介しておこう。
調査レポート発表ページ(All About)
調査レポート発表ページ(イエノミカタ)
まずこの調査、対象は
・将来的に住宅購入を検討している全国の25〜29歳の”ゆとり世代”に当てはまる未婚男女309名
・10年以上前に住宅を購入した55〜59歳の男性1000名
という、計1400名ほど。ミソは、「ゆとり世代」と「その親の世代」を同時に対象にしていること。いまどきの核家族の一つの姿、という感じだろうか。・10年以上前に住宅を購入した55〜59歳の男性1000名
本質的には住宅メーカー主体の調査なのでdogplus.meにはあまり関係ないが、なかなか面白いので一部を抜粋してみよう。
・ゆとり世代が将来、住宅購入するきっかけは「自分好みの空間が欲しい」を筆頭に「結婚」、「将来資産」など価値観が多様化する一方、親世代は「新築一戸建てへの憧れ」が最も大きい結果に
・希望の住居形態はゆとり世代でも圧倒的に「新築一戸建て」。中古住宅志向は3割
・インテリアに対する超こだわり層は4人に1人で親世代の倍以上存在。照明器具やソファのほか、アート・絵画への関心も高まる
・共感できるライフスタイルは「長く使えるものを買う」、「ベランダ菜園」や「手の込んだ料理を作る」など“丁寧な暮らし”
やれシェアハウスだ、一等地の中古マンションだ、タワマンだ、リノベーションだと(リフォームとリノベの違いって知ってますか?)、そういうものがとても流行っているような印象があるけど、なんだかんだいって若い世代も7割くらいの人が「新築一戸建て」が好きなんだというのは初めて知った。
あとLOHAS的生活も、ずいぶん浸透してきたんですね。「長く使えるモノを買う」というスタイルを目指すのであれば、100円ショップに行ってる場合じゃないですよ皆さん!
こちらが犬に関する問いの結果。「様子を見て飼いたい」と言っている人が多いのが注目ポイントか |
さてそんな「まさに住宅メーカーの調査結果」という項目の中に、調査結果のリリースではわずか9行で終わっているが、
ペットを飼っていないゆとり世代のうち、住宅購入をきっかけに態度変容するのは4割。人気は猫よりも犬。
という結果がある。All Aboutのページの文言をそのまま引用させてもらうと、
ペットを飼っていないと回答したゆとり世代198名に、住宅購入後の犬・猫との同居に対する考えを尋ねたところ、「すぐにでも飼いたい」、「様子をみて飼いたい」を含めると、犬・猫あわせて4割近くが、住宅購入をきっかけに態度変容することが明らかになりました。なお犬が27.8%に対し、猫が14.6%になるなど、犬の方が倍以上も人気を集める結果となりました。
とのこと。未婚の若者309人中111人(約1/3)がなんらかのペットを飼っているということにちょっとびっくりしたが、住宅購入をきっかけに飼いたい動物はやはり犬なのだな、と再認識。
……しかしこれ少しだけ気になるのだが、つまり一般的には、犬を飼うには広い家が必要だと思われているということなんだろうか(最近はペット可のマンションも増えてきているのに)。犬にとって重要なことは「広い家」とか「広い庭」ではなくてーーもちろん広いに越したことはないがーー飼い主がちゃんと構ってくれて、散歩に連れていってくれて、長時間犬がひとりぼっちにならず、毎日スキンシップを取ってくれる……という環境だ。極論だが、その条件を満たしていれば3畳一間のアパートだって問題ないだろう。つまり「家が広くなったから犬を飼ってもいいだろう」というその両者に、何も関連がないところが気になっている。
新築一戸建てを買ったから犬を飼おう! と言ってショップで小型愛玩犬を飼ってきて、家のローンがあるので夫婦共働きでどっちも昼間は仕事で家には誰もおらず、なんでもイタズラするから犬はケージに入れられっぱなしで、夜遅くに帰ってきた飼い主はご飯を食べてお風呂に入ったら速攻寝てしまい、週末は平日の疲れを取るためにどこにも行かず……という絵がなんとなく見え隠れしてしまうのは、さすがに思考がネガティブ過ぎるだろうか。
家を買ったら犬を飼いたい! と思ってもらえるのは、犬好きとしてはとても嬉しいことなのだ。しかし「家が広くなったから」「ライフスタイルが変わったから」犬が欲しいというのは、間違いだとは思わないが、なんとなく不安でならない。グラフを見ると、「様子を見てから飼いたい」という人が猫よりも多いので、犬のほうがある程度大変そうだというのは浸透しているような気がして、そこはちょっと一安心。でも近くにそういう人がいたら、ぜひ色々と教えてあげてほしい。