これを読んでいる人は皆、犬を愛し、犬と暮らし、犬の行動で一喜一憂しているような人達だと思う。朝の出社前に犬が吐いたらその日の仕事が手につかず、フードを食べなくなったらより良いフードを求めてインターネットをさまよって、新しいコマンドを覚えたら家族全員でとても喜び、生まれた日と家に迎えた日の、1年に2回の“記念日”がある、きっとそういう人達だろう。
そんなdog loverな皆さんであれば、FacebookやTwitterなどでたまに見かける「迷子犬情報」にはとても心を痛めていることと思う。飼い主からはぐれてしまった犬の気持ちや、犬が見つからない飼い主の心情を思うと胸が痛み、もしこれが自分のことだったら……と思うと心臓が締め付けられる気がしてくる。
なのでぜひ自分も何か役に立つことをしたいのだが、知り合いでもないのに捜索隊に参加するのもやっぱりちょっと気が引けるし、そもそも平日昼間には参加できないし、なにより遠方なので土地勘のない自分には何も実のあることができそうになく、毎日ハラハラしながら情報を追っかけるだけ……ということはないだろうか(筆者はある)。
もちろん、知り合いでもなくても参加すればきっと何かの役に立つし、(節度を持って)情報を拡散するなど出来ることはあるのだが、やはり同じ飼い主としてもうちょっと前向きな“協力”がしたいと思っている人もきっと中にはいると思う。
そんな人達がぜひ使うべきアプリが、この「FINDOG」だ(読みはフィンドッグではなくてファインドッグ)。年間13万頭近い犬猫の殺処分を、少しでも減らすための“1歩”を踏み出すことを容易にしてくれる。
FINDOGをApp Storeからダウンロードする
FINDOGは、
1)迷子犬の捜索を要請する投稿
2)要請された迷子犬情報の共有
3)その情報のSNSへのシェア
4)迷子犬を見かけた(見つけた)人の情報投稿
という4つの要素で出来ているアプリだ。極めてシンプル。
使い方も極めてシンプル。起動したら、使い始める前にアカウント名(表示される名前)を決めるだけだ。ただそれだけ。
位置情報をONにしたり、通知をONにしたりはする必要があるが、それ以外は何もなし。メールアドレスの登録も不要だし、変な広告サーバーを経由して起動することもないし、性別や年齢を聞かれることもない。世の中には不要な情報をうんざりするくらい聞いてくるアプリもあるので、極めて良心的なコンセプトだといえる。
迷子犬のいない平和なエリアの証 |
FINDOG側からもらったサンプル画面。こんな感じで依頼が出される |
実際に試したときには迷子犬は誰もいなかったので(良いことだ)上の左のような画面になったが、もし迷子犬捜索の依頼が出されると右のような画面が表示される。情報があればここにコメントすればよいし(写真や、位置情報で取得した地図なども貼れる)、情報がなくてもFacebookやTwitter、LINEやメールなどで、一人でも多くの人の目に付くように情報を拡散することもできる。
表現が誤解を招きそうで申し訳ないが「軽い気持ちで」迷子犬捜索に参加できるというのが、このアプリの最大のメリットだと言えるだろう。迷子になってしまった犬と飼い主のことを思う“優しい気持ち”を、そのまま素直に気軽に出せる場所、というと語弊があるだろうか。
なおこのアプリの迷子捜索依頼は、半径6kmの人に向けて表示される。「6km」というなんとも落ち着きの悪い数字には何か意味があるはずだと思って聞いてみたところ、
「島根県の発表によりますと迷子犬の95%が半径3km以内で保護されています。エリアを広げすぎるとそれは助けられる距離ではないので他人事になってしまいますし、狭すぎると多くの人に捜索依頼が届きません。予想される犬の行動範囲と人間側の行動範囲を鑑み、リリース時点では倍の半径6kmと設定させていただきました」
とのこと(FINDOGユーザーサポートセンターの返信より抜粋)。
(島根県の発表は「こちら」をどうぞ)
もちろん皆さんが考えるとおり、この手のアプリやサービスは、使っている人の「数」がすべてだ。数が多ければ多いほど、救われる犬と飼い主の数が増え、不幸になる犬と人を減らすことができる。わずか14MBほどと決して大きいサイズではないので(iTunesで購入する一般的な楽曲の7分ほどに該当する)、犬を愛する人であればぜひスマホにインストールしておいてほしい。
……余談だが、このアプリを作っている会社は、フロンテッジとカヤック。前者はソニーと電通のJV(ジョイント・ベンチャー)である広告会社で(広告会社が作っているのにアプリに広告が入っていない!すごい!)、後者は楽しげなアプリ/サービスを作ることで名の知れた開発会社で、Lobiというサービスなどで、スマホゲーム業界ではかなりの知名度を誇る。
そういう、いままでの犬業界とは違う“外部”からのパワーやリソースが入ってくることは大変に歓迎すべき事態であり、こういう流れが今後も続いてくれるといいなぁ、と願うばかりだ。