このゆるい感じのトップ画面が、とてもイトイさんっぽい |
ところでいま上に書いた日付けを見て「おや?」と思った人もいるかもしれないが、そのほぼ日は、2016年6月6日ーーつまり今日ーーになんと18周年を迎える。おごれる人も久しからず、たけき者も遂には滅びぬ。この激動のWeb界隈で18年間生き延びているばかりか、文字どおり毎日更新しているというのは、もうそれだけで神の領域であり、偉業だといえる(余談ですが糸井氏と野村獣医師の対談は面白いのでオススメです→こちら)。
ほぼ日刊イトイ新聞
こうやってズラズラと、みんなの投稿写真が並ぶ。インスタと違って「犬と猫」しか出ないので、犬猫好きにはホントたまらない。イトイさんの設計思想とは違うかもしれないけど、「犬だけ表示」のモードも欲しいなぁ、と思ったり思わなかったり |
そんなイトイさんとその仲間達が、サイトの18周年を期に愛犬家のためのスマホアプリを作った。それがこの「ドコノコ」だ。今に始まったことではなくて、自分の愛犬・愛猫の写真をアップロードしてみんなに見てもらうサービスはいくつもあったが、その決定版ともいえる真打ちの登場だ(iOS版が先行で、Android版は2016年7月末リリース予定)。→Android版は2016年8月に追加されました!
誤解を恐れずにもの凄くシンプルに表現するなら、ドコノコは「犬猫専用のインスタグラム」だといえば大体イメージがつかめると思う。アプリのルールブック(注意書き)に
ドコノコは犬や猫の写真を投稿するアプリですから、犬や猫以外のどうぶつや、人間が写っている写真は、もしかするとあまり歓迎されないかも知れません。
と、とてもやんわりと優しく、イトイさん節で「犬猫専用ですよ」と明言してあるので、使うときにはそこに気をつけておきたい。「ドコノコ」をダウンロードする(App Store:iOS版)
「ドコノコ」をダウンロードする(Google Play:Android版)
「ドコノコ」公式サイト
普通で言うところの「利用規約」がたぶんこれ。自信を持って「守れます」と言える規約を初めて見た |
こうやって近くの避難所を選んで、そこを愛犬の住所扱いにする。モザイクばかりでごめんなさい |
さてこの「ドコノコ」だが、メインで出来ることは
・自分のアカウントを作る(Facebookアカウントも使えます)
・自分の家の犬や猫の「ブック」を作る(フォルダのようなものです。つまりその犬や猫の「絵本」が出来ていく感じ)
・そのブックに写真とコメントをアップロードすることで、ブックの写真を増やしていく
・人の写真に「いいね」を付けたりコメントを付けたりできる
・人の「ブック」をフォローして更新したらすぐ見ることができる
という感じ。アカウントにすべての写真がひも付くインスタと違って、アカウントからさらに「ブック」というアルバム単位で写真を管理することができるのが、犬猫特化型たる特徴だろう。ウチもそうだけど、多頭飼いの人とかは、やっぱり全員分のアルバムを作りたいかもしれないし。
もちろんお約束の“タグ”もあるので、#ヘソ天 とか #保護犬 とか #便利グッズ とか #ドッグカフェ とか、そういう使い方をするのも便利。タグそのものも、ブックと同じようにフォローできるので、とても便利に使える。
一方で、「いいね」を付けてくれた人のページにすぐ飛べなかったりするし、犬猫専用SNSならば犬種別とかで管理して同犬種の人を見つけやすくしてほしいとか、なんかそんないっぱしのことを素人の浅知恵で考えてしまうのだが、イトイさんならそんなことはとっくに考えてるだろうし、もしかしたらコミュニケーションそのものにはそこまで重きを置いていないのかもしれない。Facebookは言わずもがなだが、カジュアルなSNSと呼ばれたインスタグラムでさえも「いいね」やコメントを義務感で返すだけの作業になりがちで(SNS疲れというやつ?)、そういう鬱陶しい有象無象のことをざっくりと消し去ったのかなぁ、とか。
いままであったどんな犬猫SNSよりも「お気軽」で、強制力も少なく、ホントに単にみんなの犬猫自慢アルバムを見ていられる、そんなアプリが、この「ドコノコ」なのだ。
ここはdogplus.meなので皆さんが犬を飼っている前提で話を進めているが、飼いたいけど飼えない人でも楽しめるように「自由帳」というブックも用意されている。街で見かけた犬猫の写真や地域猫の写真、なんだったら自分で描いた犬猫のイラストや、本屋で見かけた可愛いネコグッズの写真なんかを投稿することもできる。
犬のプロフィールはこんなに細かく入力できる(入れなくてもよい)。迷子のときに役立つので、ぜひとも埋めておこう |
下の「エリア」ボタンを押すと、こうやって「このあたりの子」と「撮られた写真」が出てくる。人が増えたら楽しそう |
……とここまで読むと「割と普通のSNSアプリじゃん?」と思うかもしれないけれど、このドコノコは、言うならば「犬猫の戸籍謄本」のようにも使えるアプリなのだ。最初の登録時に災害時の“避難所”の場所を登録するのだが、その情報を犬の“住所”として扱って、その近辺の犬を表示してくれたりする(一応誤解なきように書いておくが、犬の住所として自宅を登録するわけにはいかないから避難所の住所データを使っているのであって、登録した避難所に犬が避難できることが保証されているわけではない)。周辺で撮られた写真が分かるのも、ちょっと楽しい。
犬猫のプロフィールとして「名前」「性別」「体重」「体長」「年齢」「紹介文」「特徴」「首輪の特徴」「マイクロチップ番号」「鑑札番号」「大きさが分かる写真」「横から見た写真」「特徴が分かる写真」などが登録できるのも、至れり尽くせり。
また、万が一自分の家のどうぶつが迷子になったときに「迷子掲示板」を立ち上げて、近くの人に一斉に告知できるのがミソ(プロフィールがやたら細かいのはこれのためなのだ)。いままでもそういうアプリはいくつかあったが、ゆる〜いコミュニケーションを前提としたアプリの中でそのまま一斉に告知できるものは、たぶんはじめて。筆者も迷子犬捜索に協力したことがあるが、あれはもう、純粋にマンパワーがすべて。人の数が勝負なので、この機能はすごく期待できる。
基本的に迷子になった犬は、そのまま延々と移動し続けることが多く、時間が経つにつれてどんどん遠くにいってしまう。迷子が判明して、Facebookなどで捜索隊を募って、いざ行動にうつそうと思っても、相当迅速に動いても軽く3〜5日は経ってしまう。もしビビりな犬じゃなくてずんずん歩いていってしまったとしたら、もうそれだけで「人では探せないエリア」に行ってしまうし、大型犬であれば1日に10kmとか移動することもザラだ。
たいがいの場合「ここでクルマから飛び出してアッチの方向に走っていきました」のような情報しかない状態で始まる捜索隊では、探しきれないことのほうが多い。最後にモノを言うのは手貼りのポスターだったりするのだが、そんなときでもドコノコがあれば、写真を含んだあらゆる情報を近くの人に一斉に送信できる。こんなに頼もしいことはない。
投稿画面はこんな感じ。写真を選んでコメントを書いて、どのブックに入れるか選ぶだけ。40文字しか書けないのが、逆に良い。新規投稿は「ひろば」で下のカメラアイコンをタップだ |
「おうち」(いわゆるホーム画面)には、システムからのメッセージやフォローしてるブックの一覧が表示される。ズラズラと並ぶブックを見ているだけでも、なんとなく楽しい |
それぞれの犬が「ブック」という単位で管理されていて、そのブックをフォローすることによって、友達の犬、知り合いの犬、よく行くお店の看板犬、気になっている保護猫などの動向が毎日分かる。ゆるいけど楽しい、ちょっと時間が空いたらナニゲなく見てしまう、そんなアプリに仕上がっている。
そしてちょっと見方を変えると、このアプリはイトイさんが本当の意味での「マス(大衆)」に向けて放った久しぶりのサービスだ。イトイさんは、「老若男女の誰もが知ってる超絶有名人」というわけではなく(失礼!)、知る人ぞ知る、ツウ好みの著名人だ。であるからして、イトイさんは、イトイさんを知っている人に向けたサービスや製品を展開していればよかったわけだが、「ドコノコ」はそうではない。海外も念頭において(すでに海外の人にフォローされたので、もう英語版もあったりするのかも?)、しかも「犬猫」という、世界に広く行き渡る共通の概念を軸にしたこのサービスは、イトイさんにとってもやりがいのある冒険なのだと思う。
フォローしているブックが増えると、こうやって並ぶ。「あの子最近どうしてるかな」「そういえばあの子がこのカフェに来てた気がする」みたいなとき、犬別に動向をキッチリ追えるのは、とても楽しそうだ。ちなみに左上の唯一モザイクのかかっていないのが、イトイさんの愛犬「ブイヨン」のブックだ |
まだアプリとして不安定な部分も残っているし、レスポンスが悪い部分も見受けられる(たぶんサーバー側の問題かしら)。5日の夜にやたらに重くてほとんどまともに動作しなかったのは、想像を超えて人が集まっているからかもしれない。そんな問題も含めて改善されていくのが、今からとても楽しみだ。
余談だけど、イトイさんは任天堂と大変仲が良いのだから、3DS版とかも作って子供がもっと犬猫に親しみを持てるようにしてくれたらなぁ、と思わないでもない。よろしくおねがいします。