飼い主不在時のペット用見守りカメラというのは、それはもう星の数ほど種類があって、値段もピンキリだ。解像度(画質の良さ)、接続のしやすさ、大きさ、カメラ以外の機能(温度計とかマイクで声が飛ばせるとか)などいろいろなところで各社差別化を計っているが、今回、そんなジャンルに新製品が登場したので紹介しよう(実はすでに3月から先行発売がされているのだが)。
とりあえず公式のプロモムービーがなかなかよくまとまってるので、まずそちらをご覧いただきたい。
この動画の主人公が、「Furbo」(ファーボ)だ。インターペット2016に出展していたので、見たことがある人もいるかもしれない。
確かに、IT関係のメーカーが作る無骨なカメラとは違って、ちょっと小洒落たデザインになってるけど、出来ることなんて大差ないし、わざわざ記事にするほどのもの……には見えないかもしれない。しかしこのFurbo、“監視”ではなくて“不在時の相互コミュニケーション”が肝になっている、ちょっと変わった製品なのだ。特徴をいくつか紹介しよう。
Furbo公式サイト
Amazonの販売ページ
+Styleの販売ページ
スマホで、家の愛犬にトリーツをあげられる
最たる特徴は、本体下部に空いている穴。これ実は、ここからトリーツが飛び出す仕組みになっている(直径1〜1.5cm程度が推奨されているようだ)。今までも、タイマーをかけて決まった時間にフードが出るようなアイテムはいくつかあったし、最近ではスマホで遠隔操作できるエサ出し機もあるが、「好きなタイミングでトリーツを出せる」だけでなくカメラによる監視まで付いて愛犬に声をかけられる製品は、おそらく世界で初めてだと思う。
ちなみにトリーツを出すときの操作は、ポケモンGOでボールを投げるときのような感じ。分かりやすい!
愛犬の声も聞こえるし、スマホを通じて呼ぶこともできる
もちろん音声は双方向だ。部屋の中の音も(犬の鳴き声も)聞こえるが、こちらから声を出すこともできる。話かけて愛犬がFurboのほうに来たらトリーツをあげる……みたいなアクションが、当たり前のようにできる。
愛犬が吠えたらスマホ/Apple Watchに通知してくれる
そんな「気付かぬ近所迷惑」にも対応できるよう、Furboには「犬が吠えたらスマホに通知する」機能がある。吠えて通知が来たら、マイクを通してダメと伝えるなり、呼んでトリーツをあげて落ち着かせるなり、なんらかの手段が取れるというわけだ。
赤外線暗視機能で夜でもクリアな映像を
この手の監視カメラを使ったことがある人なら分かると思うが、暗くなると(夕方以降になると)ほとんど映像が見えなかったりすることも多い。飼い主が出社してしばらくしたら寝に入って、昼間はずっと寝てて夕方に起きてくるのに肝心のところが見えない! という状況だ。
でもFurboなら大丈夫。暗視機能付きで、部屋が暗くなる時間帯でもバッチリだ。ちなみにカメラは120°の広角なので、結構な広範囲を映してくれるし、4倍までデジタルズーム可能だ。
写真や動画を保存してSNSでシェアできる
愛犬家のみなさんなら、きっと四の五の言わず「愛犬のベストショット」が欲しいはず。ましてや自分がその場にいないときに見せる愛犬の姿は、絶好のシャッターチャンスかもしれない。そんな声にも応えられるよう、写真や動画はバッチリ保存できるようになっていて、そのままサクッとSNS(Instagram、Twitter、Facebook、LINE)でシェアすることも可能だ。
さていろいろ書いてきたが、実はこのFurboは海外製で、有名なクラウドファンディングサイトINDIEGOGOでローンチした製品だ。2014年6月からプロジェクトがスタートして、INDIEGOGOに登場したのは2016年4月のこと。そこから爆発的に出資者を増やし、最終的には約4000人が飛びついて予定の9倍、約51万ドル(約5300万円)を集めて一躍有名になった製品だ。
作っているメンバーはIT系企業で名を馳せる蒼々たるメンツが中心で、そのためか、単なる“小洒落た監視カメラ”に留まらないデジタルガジェットとしての完成度も、細かいところまで含め相当なレベルになっている。
INDIEGOGOのFurboのページ
・Apple Watchにも対応
まずこのFurboを使うためのアプリは、スマホ(iOS/Android)だけでなくApple Watchにも対応している。スマホを見ていなくても、愛犬が吠えたらApple Watchに“ぶるっ”と通知が来るわけでこれはナニゲに結構便利。監視カメラ系グッズでApple Watchに対応している製品は、なかなかに珍しい。さらに、Apple Watch上でタップするだけでトリーツも出せる優れものだ。
・スマホの充電器で動作可能
また電源についても、microUSB端子で充電できるようになっている。端子の名前を聞いてもピンとこないかもしれないが、いま一般に売られてい
るAndroidスマホの充電ケーブルと同じ端子だということだ。ちょっとテクニカルな話になるが、仕様を見る限りこの充電端子は5V 1Aで設計されているようなので、普通のスマホの充電ケーブルをそのまま流用できると思う。つまり、あの無骨で無駄に大きいACアダプタをテーブルに這わせる必要がないということだ。
Furboが動いている間は自分は家にいないので、充電ケーブルの同時利用はないだろう。スマホの充電ケーブルを使ってFurboが動かせるわけで、あのケーブルがないだけでも結構なメリットだと思う。むろん、粗悪なそこらのUSBケーブルではなく、ちゃんとしたUSB-ACアダプタとちゃんとしたケーブルを使うべきだが(製品によって信頼度が全然違うんですよ、あれ)。
そういう、機械としての完成度だけでなく、素材がABSで作られていて犬が舐めても安心とか、一度固定したら犬が寄りかかっても倒れないくらいガッチリ止まるとか、トリーツが出る穴のライトは犬が視認できる青と黄色に光るようになっているとか(参考記事→犬が一番見えやすい色のオモチャは何色なのか)、細かいところまでよく考えられていて素直に感心する。この手の機器にありがちな「よく分からない面倒くさい設定」も、アプリの指示に従うだけですぐ出来るとのこと。
ちなみに、最近監視カメラがハッキングされてカメラのセキュリティが問題になったことがあるが(参考記事→大規模DDoS攻撃は防犯カメラが踏み台に、中国メーカーがリコール表明)、Furboの開発メンバーはセキュリティのプロだ(PC用のセキュリティソフトを作ってる会社出身の人とか)。そのあたりも安心できそうだ。
もちろん注意すべき点もある。まずWi-Fiが家にないと接続できない。いまどきは多くの人がWi-Fiで家の回線をつないでいると思うが、そこは要注意だ。あ、もちろん固定のインターネット回線がない場合もNGだ(グローバルIPアドレスは必要ないが光回線推奨だ)。いまどきは、家にPCがなくてスマホとタブレットだけで過ごす人も多いようなので、そこは留意してほしい(スマホがないのはもっとNGだけど)。
飼い主と一緒にいることが一番嬉しい犬という生き物にとって、出来ることなら留守番などさせないに越したことはない。ただ、そうもいかない事情だってあるだろうし、そもそもそんなことを言っていては、犬と一緒に暮らせる人がどんどん少なくなってしまう。それはつまり、“飼い主”という主人を得られない犬が増えるということで(そもそも犬を増やしすぎだ、という議論はここでは置いておこう)、みんながアンハッピーになってしまう。
昼間は仕事で家を空けざるを得ないが、それでも犬と一緒に暮らしたいし、土日は犬のために使っている……そんな人が、(飼い主の)不安と(犬の)寂しさを少しでも紛らわせるためのグッズが、このFurboなのかもしれない。そう、まるで冒頭のプロモムービーのように。
機能の割には価格も良心的に思えるし、「そろそろ何か一台欲しいな……」と思っている人は、ぜひ候補に加えてみてほしい。いまなら、11月13日までの限定で通常税込2万7000円のところが、2万1600円で買えるキャンペーン中だ。
ところでこの会社「Tomofun」が、11月11日を「わんわんギフトの日」として制定して、一般社団法人 日本記念日協会に認定された。「犬関係の誰かが、いずれ何かの記念日にするんだろうなー」とは思ってはいたが、ギフトの日とは思わなかった。その記念日にかこつけて(?)ぜひこのFurboで不在時の愛犬とスキンシップを図ろう。
本体サイズ | 13cm(幅)×23cm(高さ)×15cm(奥行き) |
重量 | 800g(本体のみ) |
ビデオカメラ | 720P HD画質(1280×720ドット)、画角120°、デジタル4倍ズーム、赤外線暗視機能 |
対応OS | iPhone 4S以降(iOS 7以降)、Android 4.0以降 |
定価 | 2万7000円(11月13日までは2万1600円) |