中学生以下の人間の子供の数より、飼われている犬猫の数のほうが圧倒的に多くなった昨今*、お犬様夫婦、お猫様夫婦も増え、犬猫に対して使う可処分所得も大幅に増え、その拡大にあやかれとばかりに次から次へと新しい犬猫グッズが登場している。
※参考資料は以下
・15歳未満人口は1571万人[2017年4月1日現在](総務省)
http://www.stat.go.jp/data/jinsui/topics/topi1011.htm#aI-1
・犬猫飼育頭数は1973万頭[2016年10月現在](ペットフード協会)
(犬:約988万頭、猫:約985万頭)
http://www.petfood.or.jp/data/chart2016/index.html
中でも最近の流行りは「(行動確認用の)ペットカメラ」と「ウェアラブルデバイス」だ。どちらもスマホありきのグッズであるあたりが、時代の変遷を感じる。・15歳未満人口は1571万人[2017年4月1日現在](総務省)
http://www.stat.go.jp/data/jinsui/topics/topi1011.htm#aI-1
・犬猫飼育頭数は1973万頭[2016年10月現在](ペットフード協会)
(犬:約988万頭、猫:約985万頭)
http://www.petfood.or.jp/data/chart2016/index.html
前者は、いわゆる「Webカメラ」を犬猫用として使っているもの。もちろん、声が出せたりフードが出たり、各社いろいろな趣向を凝らしてはいるが、基本的な性能にそこまでの差はない。不在時の愛犬の様子をスマホで確認できるという、留守がちな飼い主にはとても嬉しいアイテムだ。
そしてもう一つが「ウェアラブルデバイス」。カタカナで書くとイマイチ意味が分からないが、wearable(着用できる)+device(道具)という名前そのままの意味で、犬の首輪などに付けて、犬の行動をデジタルテクノロジーで捕捉してデータ化して、愛犬との生活に役立ててもらおうというアイテムだ。
筆者は割とデジタルアイテム系が“好物”なので、いままでも「寄付金付き歩数計」とか「フードが出せる監視カメラ」とか「写真から犬種を識別するアプリ」とか「スマホ体温計」とか「ウェアラブルデバイス決定版」とかいろいろ紹介してきたが、今回紹介する「いぬのきもち お散歩Time」も、そういうものの一つ。ハイテク分野においてはIoT(アイ・オー・ティー)が大きな潮流になっているが、そこから生み出されたものが、犬猫にもひしひしと押し寄せてきているのを感じる。
いぬのきもち お散歩Time 公式サイト
タカラトミーと(みなさんご存じ)「いぬのきもち」がタッグを組んで作ったこの「いぬのきもち お散歩Time」は、
ペットとして飼育されている犬の健康管理を目的とした犬専用のウェアラブルデバイス
とのこと(プレスリリースより)。いつものように首輪に装着して、その状態で犬を散歩させれば、首輪につけた「お散歩Time」とスマホが通信を行って、散歩中に発生した活動量の計測をしてくれる。犬種や年齢などの基礎データを入力しておけば「愛犬にとってちょうどよい散歩量」を提示してくれるとのことで、それを参考にしながら散歩するのもよいだろう。リアルタイムに「あと何分ですよ〜」と教えてくれるようなので、時計とにらめっこする必要もない(オマケとして飼い主の消費カロリーも教えてくれるので、なんかちょっと得した気分になる)。
そして、散歩時間に応じてアプリ内のポイントが溜まっていき、そのポイントでアプリ内のアバターにグッズを買ってあげたり、冒険したり、いろいろなことが出来るらしい。ややこしい言葉を使うと“ゲーミフィケーション”を導入したお散歩グッズなわけで、誰もが考えそうで誰もやっていなかったことなので、なかなかポイントは高い。もしかしたら、アプリのアバターを育てたいがために、子供が喜んで散歩に行ってくれるかも?(絵柄的にも子供が楽しめるようになっているようだし)
意外にもそれ以外の機能はとくになく、シンプルかつ必要十分な「使いやすさ」「分かりやすさ」を前面に打ち出した、「いぬのきもち」らしいアイテムに仕上がっているように思う。1万2000円とちょっとお値段は張るが、目先の変わったアイテムを探している人はぜひ。ツラツラ文字で書くより公式プロモーションビデオを見たほうが早いと思うので、ぜひどうぞ。
ところでこの「お散歩Time」だが、先ほど「犬種と年齢を入れればちょうどよい散歩量を提示してくれる」と書いたが、それはタカラトミーが独自に収拾した1万頭以上の飼い犬データを分析して算出したものであるらしい。
なのであくまでもそれは「たぶんこうだろう」という数値であって、個々の犬に対応したものではない。やたらめったら元気でスタミナのあるチワワとか、大病を患ってしまったのであまり長時間歩けないラブラドールとか、そういう個々の事情は(当たり前だが)勘案されないので、ユーザーが散歩時間の調整をできるようにしてほしい。現物を触っていないのでそのあたりがどうなっているのかは分からないが、ぜひともあってほしい機能だ。
また、これは意外と知られていないが、この手の「犬の万歩計」は基本的に歩数を計測しているものではない。4本足の生き物であることもあり、人間のように腰に付けておけば正確な歩数が計測できるものではないのだ。
じゃあどうやって計測しているのかというと「歩様」(歩き方)だ。本体内蔵のセンサーによって、犬の歩様を
・きょろきょろ歩き
・歩行
・早足
・駆け足
の4種から自動的に判断して(きょろきょろ歩きについては、プロモーションビデオを見れば「あぁあれか」と分かるだろう)、それらのデータを積み重ねていくことで、活動量を算出する(なので「何歩歩きましたね!」と表示してくれる犬用万歩計はないと思う)。たぶん、スマホにも使われている5軸の加速度センサーが使われていて、Bluetooth LEで通信してるんだろうなぁと思うのだけど、この手のアイテムにおいてはある意味王道の組み合わせなので「デジタルアイテム」としては安定したクオリティになっていることだろう。
……しかしこの手のアイテムを見ていて思うのだけど、「犬の散歩」とはそういうものではないんじゃないだろうか。犬にとって散歩とは、ただカロリーを減らすだけの運動ではないし、ましてや「イタグレだから45分」「チワワだから15分」とか決まったものでもない気がする。犬にとっての散歩とは、アフターファイブに飼い主が通ってるジムのメニューではないのだ。そもそも健全な犬にとっては、普通に散歩してたって大してカロリーを使うものじゃないし。1時間歩いたり、坂道や山道を歩いたりするなら別だけど(まぁこれは人もそうですね)。
犬にとっての散歩とは、1日2回の飼い主との楽しい楽しい「共同活動」であり、外界の情報を得るための大事な時間であり、外の空気を吸い込んで気分転換をするための貴重な時間……なのだと思う。仕方なく家の周りを一周して、ニオイも嗅がせず、ほかの犬とも会話させず、脇目も振らずにグルリと回るだけの散歩では、あまりにも味気ないんじゃないだろうか。道や電柱に残ったほかの犬のニオイを嗅ぎたければ嗅げばいいし、近所の犬好きのおじさんには構ってもらえばいいし、いつもと違うところに行きたがったら行けばいい。
もちろん飼い主にだって生活があるし都合があるから、なんでもかんでも犬の好きなようにさせていいわけではないが、ある程度犬がしたいことをさせてあげないと、散歩がちっとも楽しいものにならないんじゃないだろうか。そもそも忘れがちだが、散歩とは犬のために行くものだと思うのだ。まず犬のQoL(Quality of Life)の向上がありきで、それに伴う飼い主の生活の向上がオマケについてきて、その両方をまかなえる素敵な時間こそが、犬の散歩なのだ。しかもコストはゼロ!
Photo by Jumpei Tainaka |
「みんなそうするべきだ! なっとらん!」などと声を荒げて言うつもりはないし、このアイテムを否定するつもりはない。「いぬのきもち」らしい、飼い主に配慮した設計やコンセプトは「さすがだな」と思うし、いまちゃんと散歩してる人がこのアイテムを使うことで、さらに楽しくなることは間違いないだろう。とはいえこういうアイテムが企画されて登場した背景を考えると、日本の犬を取り巻く環境はまだまだなんだなぁ、と考えてしまう。
「犬好き」を自認して、ブログやインスタをマメに書いたりしてるような人でも、散歩はほとんど行かず、それでいて洋服やら靴やらは大量に買い込んでたりして、正直なところ「なんだかなぁ」と思ってしまうことがある。いやもちろん、そんなの飼い主の自由ではあるのだけど。でもたぶん犬にとって本当に嬉しいのは、新しい洋服でもなければ、誕生日に買ってもらうグレインフリーの犬用ケーキでもない。飼い主と毎日楽しく散歩することこそが、犬にとってもっとも嬉しいことなんじゃないだろうか。
早くそういう部分がクローズアップされて、本質的な部分で犬のQoLがもっと重視されるようになって、犬を取り巻く環境がいまより良くなっていくことを願ってやまない。そのために、ぜひこういうアイテムも使ってみてほしい。
……完全に余談なのだけど、タカラトミーと聞いて「ん?」と思った人は記憶力がいい。実はこの会社、2002年にあの犬語翻訳機「バウリンガル」を発売した会社なのだ(いまでも売ってるところがある!)。バウリンガルは、首輪部分に装着したマイクが犬の吠え声を拾い、それをリアルタイムに分析して犬の“気分”を表示してくれるものだった。当時は画期的で、2002年度のイグノーベル賞まで受賞したシロモノだ。
あれから15年。テクノロジーが進化して、スマホが一斉を風靡し、犬を取り巻く環境が変わりつつあるこのタイミングで、再びタカラトミーが攻めの姿勢を見せた。……もしかして社内に「相当な犬好き」がいるんだろうか、この会社。
■商品概要
商品名:いぬのきもち お散歩Time
予価:1万2000円(税抜き)
発売日:2017年秋予定
商品サイズ:約40(幅)×約38(高さ)×約15(厚さ)mm
商品重量:約14g
セット内容:本体×1、取付ベルト×1、充電用ケーブル×1
対象年齢:15歳以上
使用電池 :リチウムポリマー電池(内蔵) ※1回の充電(約4時間)で約1週間の連続使用が可能
取扱い場所(予定):全国の玩具専門店、百貨店・量販店等の玩具売り場、ペット用品店、インターネットショップ等
公式サイト:http://www.takaratomy.co.jp/products/osanpotime/
問い合わせ先:株式会社タカラトミーお客様相談室 TEL:0570ー04ー1031(ナビダイヤル)
(c)TOMY ※いぬのきもち は株式会社ベネッセコーポレーションの登録商標です商品名:いぬのきもち お散歩Time
予価:1万2000円(税抜き)
発売日:2017年秋予定
商品サイズ:約40(幅)×約38(高さ)×約15(厚さ)mm
商品重量:約14g
セット内容:本体×1、取付ベルト×1、充電用ケーブル×1
対象年齢:15歳以上
使用電池 :リチウムポリマー電池(内蔵) ※1回の充電(約4時間)で約1週間の連続使用が可能
取扱い場所(予定):全国の玩具専門店、百貨店・量販店等の玩具売り場、ペット用品店、インターネットショップ等
公式サイト:http://www.takaratomy.co.jp/products/osanpotime/
問い合わせ先:株式会社タカラトミーお客様相談室 TEL:0570ー04ー1031(ナビダイヤル)