ドッグフードには山ほど種類があって、値段も、原材料も、対象も、それぞれに違う……ことは、わざわざここで言うまでもないだろう。ホームセンターに売っているような10kg1000円のフードから(一体何で出来てるんだろう?)、kg単価が3000円を超えるような超高級志向まで、いろいろな製品が、いろいろなところで売っているが、その中に「ネットでしか販売していないフード」というものもいくつかある。
ちなみに、ペットフード安全法では原材料名表示は義務付けられているし(リンク先はPDF)、ペットフード公正競争規約においては成分表示が定められている(リンク先はPDF)。そういう基本ルールから鑑みると、割と無法地帯気味だ。
そんな中で「お?」と思わせるのが、プレミアムフード専門店レティシアンが販売する,この「カナガン」。ネットでしか販売していないフードしては割と有名な部類に入ると思うが、今回インターペット2016に初出展していたので紹介しよう。
公式サイトを見にいくと「当サイトでしかお求めいただけません」「イギリス最高級のグレインフリードッグフード」などのキャッチコピーが目に付くが、このフードの最大の特徴は、製品が1つしかないこと。1種類(チキン)、かつ1製品(2kg)しかない。文字どおり製品が1つだけなのだ。この1製品で、パピーからシニアまで、あらゆる犬種で使えるというのが特徴だ。
カナガン公式サイト
ロイヤルカナン公式サイトより。どれを選べばいいのかもよく分からない……(クリックで大きくなります) |
試しにロイヤルカナンの公式サイト(こちら)や、日本ヒルズ・コルゲートの公式サイト(こちら)に行けば分かるが、もはや初見では把握困難なレベル。入荷するお店の人も、管理するメーカーの人も大変そうだ。
どちらのほうが犬にとって良いのか、という科学的知見は筆者にはないが、よくよく冷静になって考えてみれば、例えば野生のオオカミが離乳したあとではきっと親と同じものを食べるのだろうし、こんなに細かく分かれている必要はあるんだろうか、という疑問はある。
カナガンがそういう思想なのかどうかは分からないが、無闇に分ける必要はまったくない、というその潔い思想に納得できる部分があることも確かだ。
そして“完全なグレインフリー”というのも、カナガンの大きな特徴。犬と穀物の関係についてはいまだ諸説あるし、犬は肉食なのか雑食なのかという議論は尽きないが、少なくともカナガンは「犬は肉食である」「穀物は不要」という信念に基づいて作っており、事実まったく使われていない。肉食か雑食かはさておき、小麦やトウモロコシにアレルギーがある犬にとっても、完全に安全なフードであるわけだ。
dogplus.meのカナガンのページを見てもらえれば分かるが、原材料一覧を見る限り突飛なものは使われておらず、ごく当たり前のものだけを使ったシンプルな配合だ。それがゆえに逆に安心できるし、ビタミン/ミネラル類が添加されているくらいで(エクストルーダーで作る以上、これは避けられない)、化学合成の保存料や酸化防止剤は何一つ使われていない。BHAにせよなんにせよ、一定量までは安全であると言われても、やはり使われていないほうがいいと思うのは、飼い主として当然の思いだろう。
むろん、その原材料それぞれについてもこだわりがあって使われているのだが、そこは公式サイトの説明を読んでみてほしい(こちら)。ちなみにチキンが平飼いチキンなのがすごい。
dogplus.meのカナガン紹介ページ(原材料の説明が読めます)
逆に言うと、良質なタンパク質がこれだけ多く含まれているということで、成長期のパピーにはオススメできる。パピーのときは、とにかく食べるだけあげるくらいの心持ちで育てるべきだし、そのときにカナガンは大いに助けになってくれるだろう。
ドッグフードは、それこそペットショップに山ほど種類があるし、比較的低価格なものであればホームセンターにも山積みだ。動物病院に行けばヒルズかロイヤルカナンを勧められ、自分の行動範囲にないフードはなかなか目につかないことが多い。
そういう既存の流通ラインでないところにも良いフードは多くあるが、カナガンはその中でもかなりこだわりの強いフードだといえる。kg単価が2000円程度と決して安いものではないが(超高級なフードが多くある昨今では、すごく高いわけでもないが)、内容についてはなんら問題はないので、フードを変えてみようと思っている人はぜひ候補に加えてみよう。