パッケージを直接撮影したものなのでちょっと分かりづらいが、マットなブラックで統一されたパッケージには高級感がある。”プレミアムな感じ”というか |
その中でもひときわ名が知られているのが、レティシアンのシリーズだ。「レティシアンって何屋さん?」と思う人も多いと思うが(実は筆者もそうだった)、元々は貿易会社だ。貿易のために世界を飛び回っているときに、日本に知られていない良いフードがたくさんあることに気付き、その知見を生かしてフード産業に参入した……とのこと。
レティシアンが販売しているフードには「アランズ ナチュラルドッグフード」「カナガン」などがあり、dogplus.meでもすでに紹介しているが、このたび(といっても昨年の秋だが)新しく登場したのが「モグワン」だ。
「モグワン」紹介ページ
モグワン公式サイト
アランズ ナチュラルドッグフード紹介記事
カナガン紹介記事
今回のモグワンが、アランズやカナガンと違う大きな特徴が1つ。それは、モグワンが「自社開発」だということだ。公式サイトによれば「犬にとっていらないものをできる限り省き、犬にとって必要なものをできる限り取り入れた」とのことで、まさに“ちゃんとしたドッグフード”を目指して作られた製品。
ドッグフードというものは、一般の人が気軽に手に取れる価格に押さえようと思ったら、そもそも差別化がとても計りづらい商品ジャンルだ。設定価格から逆算すると、使える原材料やその質は必然的にある程度決まってきてしまうので、フードメーカーがどこで差別化を計るのかというと、「本筋とはあまり関係ない部分」で飼い主に媚びた製品を作るようになりがち。
着色料で色を付けて「可愛らしい見た目」(?)にしたり、およそほかの会社が使わない突拍子もない原材料を使って「レアモノ感」(?)を出したり、そういう方向に走るようになる。言うまでもないが、それらは犬にとってはまったく関係ない要素であり(むしろ必要ない)、本当に犬の健康を考えて作っているフードなのか……? と疑問を感じざるを得ない。
モグワンは、そういうフードとは一線を画するものに仕上がっている。動物性タンパク質50%以上の配合を誇り(アカナと同レベルだ)、イギリスの生産工場から直輸入して自分達で直接販売することで、流通コストや日数を極力削って、鮮度についても管理が容易になるようにしている。“こだわりのフード”ではあたりまえのことだが、保存料は自然由来のビタミンE(ミックストコフェロール)だけを使っていて、着色料、香料、調味料などの類(たぐい)は一切使っていない。
キブル(粒)だけ見るとちょっとおいしそう。牛乳とかかけて食べられそうな……。ちなみにメインターゲットは(日本だし)小型犬なのでキブルは小粒サイズだ |
原材料一覧は、ドッグフードの“顔”ともいえる重要なものだ。ここを見れば、完全じゃないにせよそのフードのレベルや方向性がすぐ分かる。それなりのレベルのフードはそれなりの原材料だし、高級路線のフードは高価な原材料を、低価格が売りのフードはやはり原材料も安いものが使われている。
じゃあモグワンの原材料はどうだろうと見てみると、頭に書いてある(=配合量が多い)ものがチキンとサーモンだ。チキン生肉20%、生サーモン11%、乾燥チキン11%、乾燥サーモン7%で、”肉”と呼べるものだけで49%を占めている。ショップなどでフードの裏書きやキャッチコピーを見ると分かるが、動物性タンパク質だけで50%近くを占めるフードは、そんなに多くない。おそらく、普通に近所のショップで買える製品としては皆無に近いだろう。
それだけで製品の優位性は示されるようなものだが、補強用のミネラルなどが入っている以外は化学的な物質は一切入っておらず、ビタミンにしても出来るだけ天然のものから補強しようとしているのが見てとれる(そしてグレインフリーだ)。ミネラルやビタミンの詳細な内訳が書いていないのがやや不満点ではあるが、旧原材料表を見る限りほとんど追加されていなかったので、あまり問題ではなさそうだ。
公式サイトによれば「試食会の結果、97.8%の犬が食べて、93.3%の飼い主が継続したいと回答。そして獣医師の84%がモグワンを食べさせたいと回答しました」とのことだが、まぁ自社サイトでの数字なので少しだけ差っ引いて考えるとしても、この原材料を見る限りは、確かに良さそうなものに思える。
小型犬は、食い意地が張っておらず好き嫌いの激しい個体もいるので、「97.8%の犬が食べました」というキャッチコピーに心を動かされる飼い主も多いのでは |
結局のところ、フードの善し悪しを決める重要な要素は、まず何を差し置いても「原材料の誠実さ」だ。メーカーが大きいかどうかではないし、パッケージデザインでもないし、値段でもないし、ましてやキブル(粒)の色でもない。それこそピンからキリまであるドッグフードの中から、内容と価格、手に入れやすさ、愛犬との相性など、いろいろな要素を考えたうえで決定するわけだが、その候補リストに加えるのに十分なクオリティを持っているように見える。
もしちょうど「次何にしようかな?」と考えている人がいたら、ぜひ候補に加えて「97.8%の犬が食べた」というその品質を体験してみよう。