250頭の保護犬をトレーニングして映画に出演させ、その250頭全頭の飼い主が決まったという報が流れた、映画「ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲」(以下,ホワイト・ゴッド)。追って映画もキチンと紹介したいと思っているが、まずはその前に、映画が保護犬譲渡活動の支援金を集めている話題をお届けしよう。
ホワイト・ゴッド公式サイト
ホワイト・ゴッドの支援プロジェクトのページ
本作は、雑種犬に重税が課せられる法律の影響で飼い主の少女と離ればなれになった犬“ハーゲン”と、人間から虐げられ保護施設に入れられた犬たちの反乱を描いた物語。2014年の第64回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品。そのオリジナリティあふれる衝撃的なストーリーや類まれな着想が、目の肥えた審査員やマスコミに驚きと賞賛を持って受け入れられ、「ある視点」部門でグランプリを受賞しました。
また、実際に施設に保護されていた250匹以上の犬への演出と犬たちの演技が評価され、ハーゲンを演じたルークとボディ(兄弟/二匹一役)にパルムドッグ賞が授与されました。撮影後、監督たちが犬たちの里親を募ったところ「映画に出たスター犬を飼える」とニュースが一気に広まり、保護施設から集められたすべての犬たちは、施設に戻ることなく無事に飼い主が決まり引き取られていきました。
……という背景を持つこの作品は、保護犬譲渡活動の支援金集めとしてまさに適役。2014年の日本は、犬猫合わせて約13万頭(12万8241頭)もの命が「処分」されてしまっているのだ(環境省の公開情報より)。また、実際に施設に保護されていた250匹以上の犬への演出と犬たちの演技が評価され、ハーゲンを演じたルークとボディ(兄弟/二匹一役)にパルムドッグ賞が授与されました。撮影後、監督たちが犬たちの里親を募ったところ「映画に出たスター犬を飼える」とニュースが一気に広まり、保護施設から集められたすべての犬たちは、施設に戻ることなく無事に飼い主が決まり引き取られていきました。
しかし数字で見ると、失われてしまった命だけに目が向きがちだが、その裏では全国のNPO団体やボランティアの皆さんの努力によって、約3万3000頭もの命が新しい安住の地を見つけてもらえている。彼らNPOやボランティアの皆さんの努力がなければ、16万頭もの犬猫が殺処分されてしまっていたわけだ。
映画として、そんな現状に少しでも役に立てないかという真摯な思いから始まったこのプロジェクトは、なんと通常1800円の映画鑑賞券を1500円で販売し、そのうえその売上の15%を、公益社団法人アニマル・ドネーションに寄付するというダイレクトなもの。最初にプロジェクトについて聞いたときは「映画館に募金ボックス置いたり物販したりするのかな」と軽く(すみません)考えていたのだが、非常に直接的な手段で来たことを嬉しく思う。購入者から見たときは、寄付金込みで事実上の30%OFFだ。
ところでこのアニマル・ドネーションだが、例えば「ピースワンコ・ジャパン」「アニマルレフュージ関西(アーク)」「ちばわん」などを筆頭とした大手保護団体のような華々しい活躍をしていないので、あまり知られていないかもしれないが、それらNPOを束ねる一種の審査機関として機能している。
寄付者は、アニマル・ドネーションが寄付先として認定している団体のいずれか、または複数を選んで寄付できるようになっているのだが、この「寄付先」として認定されるには非常に厳格な審査が入る。団体の活動が審査されるばかりか、実際に取材を受け、各種の書類を山のように取り揃え……適当にやってるような団体では、ここの寄付先としては認定されない。
悲しいかな世の中の“NPO”にはロクでもない輩も一定数おり、一般人としてはいま一つ危険な感じがぬぐえない名称になってしまっている側面もあるが、少なくともこのアニマル・ドネーションに寄付先として認定されている団体であれば、変なところはないはずだ。実際に認定団体一覧を見ても、そうそうたる顔ぶれになっている。
アニマル・ドネーション公式サイト
さて「ホワイト・ゴッド」の協力はそれだけではない。支援プロジェクトは、クラウドファンディングサイトkibidangoにページが立ち上がっているのだが、そこにはもう一つ書いてある。
ファッションアイテムの宅配買取サイト「Brandear」(ブランディア)と、ご存じ「ONEBRAND」が立ち上げた「りぼんBOX」。着なくなったものや、使わなくなった洋服・バッグなどを“りぼんBOX”で送ると、500円+査定金額の一部or全額が、アニマル・ドネーション支援先の動物愛護団体へ寄付されるというものだ。
梱包用の資材一式などはブランディアから送られてくるので、こちらとしては不要品を準備して詰めるだけ。不要品って売るのもちょっと面倒だし、捨てるのも忍びないし、こういうタイミングで“前向きな処分”をするのにはとてもいいチャンスだ。
映画は、犬にとってツラい描写が多く描かれている。捨てられ、収容され、殺され……そんな犬の現状が、遠くヨーロッパが舞台とはいえ観た人に重くのしかかってくるのだが、その現状を知らせるだけでなく、何か“カタチあるものを残したい”という思いから、このプロジェクトが始まったとのことだ。
観る気満々の人は、ぜひプロジェクトページからチケットを購入して、犬が新しい家族を見つけるための一助になれるよう、協力してみよう。
ホワイト・ゴッド公式サイト
ホワイト・ゴッドの支援プロジェクトのページ
ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲
監督:コーネル・ムンドルッツォ
出演:ジョーフィア・プショッタ、シャーンドル・ジョーテール/ルークとボディ
配給:シンカ/提供:シンカ、ミッドシップ/2014 年/ハンガリー、ドイツ、スウェーデン合作/119 分/シネスコ
レイティング:PG12(12歳未満の年少者の観覧には、親又は保護者の助言・指導が必要)
後援:ハンガリー大使館
2015年11月21日(土)より、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー
配給:シンカ
2014 (C)Proton Cinema, Pola Pandora, Chimney
監督:コーネル・ムンドルッツォ
出演:ジョーフィア・プショッタ、シャーンドル・ジョーテール/ルークとボディ
配給:シンカ/提供:シンカ、ミッドシップ/2014 年/ハンガリー、ドイツ、スウェーデン合作/119 分/シネスコ
レイティング:PG12(12歳未満の年少者の観覧には、親又は保護者の助言・指導が必要)
後援:ハンガリー大使館
2015年11月21日(土)より、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー
配給:シンカ
2014 (C)Proton Cinema, Pola Pandora, Chimney