これが今回設置された「バルーンシェルター」。確かにテントの形状ではあるが、この大きさたるや(ピースウィンズ・ジャパンのサイトより) |
朝日新聞デジタルによると、益城町にペット連れの人専用の簡易シェルターである「バルーンシェルター」が設置されたとのこと。場所は益城町総合体育館の芝生広場。簡易とはいっても70名ほどが収容できるもので、実態はハイテク素材で出来た“巨大なテント”。アフガニスタン難民支援、インド震災支援、そして国内でも、新潟県中越地震や広島土砂災害など、世界で活躍する認定NPO「ピースウィンズ・ジャパン」(PWJ)が設置した(PWJ公式サイトの記事は→こちら)。
ちなみにこのシェルター、繊維メーカーの帝人とPWJが共同開発したもので、なんとPWJオリジナルとなる緊急支援活動用大型テント。国内で最初に使われたのは、新潟県中越地震のときだ。そのときの写真(→こちら)を見れば分かるが、“大型テント”という言葉から想像するものよりははるかに巨大で、さながらそれは、陸に置かれた飛行船のよう。
【熊本地震】益城町にバルーンシェルター設置、避難所として運用開始(ピースウィンズ・ジャパン)
ペット連れ専用の避難テント設置 NPO、益城町に(朝日新聞デジタル)
ピースウィンズ・ジャパン公式サイト
ピースウィンズ・ジャパンの活動内容・地域一覧
帝人公式サイト
新潟で使われたときの写真。その大きさがよく分かるのではないだろうか(ピースウィンズ・ジャパンのサイトより) |
今回設置されたバルーンシェルターは2基。1基は女性専用で、もう1基はペット連れの人専用となっている。
ご存じの人も多いかもしれないが、ピースウィンズ・ジャパンはNPO法人「ピースワンコ・ジャパン」を運営している。ピースワンコ・ジャパンは「広島の犬殺処分ゼロ」を掲げているのを筆頭に、犬に関するあらゆる活動をしているので、その名前を目にしたことがある人も多いだろう。最近では、4月1日から「広島県で殺処分対象となった犬を全頭引き取る」という、ほかではちょっと真似のできない大技を繰り出し、原稿執筆時点では19日間に渡って殺処分ゼロが継続中だ。
ピースワンコ・ジャパンについては、dogplus.meでもプロジェクト・リーダーの大西純子氏に2度インタビューしたことがあるので、興味のある方はぜひお読みいただきたい。
犬を救うということ。犬を譲渡するということーーーピースワンコ・ジャパンが語る、犬の保護譲渡活動
さまざまな手段で保護犬を救う「ピースワンコ・ジャパン」が、GREEN DOGの店舗を通じて目指すもの
ピースワンコ・ジャパン公式サイト
このバルーンシェルター、たたむと1m四方の大きさになり、クルマや小型飛行機などでも容易に運搬できるという優れもの。設置はわずか30分で出来るらしい。ぜひ各地の災害時に役立ててほしい |
そもそもペットとの同行避難は国も推奨しているが、現実問題として、誰もが円満な形で同行避難できているわけではないのは、今回の熊本の震災の状況を見れば明らかだ。もちろん、すべてのペットが飼い主と共に円滑に避難できるのが一番ではあるが、まずは自分で出来ることをやりつつ、将来の状況が前向きに変わっていってくれることを期待したい。
ペットが“コンパニオン・アニマル”と呼ばれ始めてその存在の重要度が増して以降、日本はすでに大きな災害を何度となく経験している。そろそろ事態が前向きに動き始めてもよいのではないだろうか。