工業的に作られたプロピオン酸は、パンや洋菓子などの防かび保存料として認可されている食品添加物で、食品以外では医薬品や化粧品にも多く用いられている。プロピオン酸カルシウムなどアルカリ塩化合物が無臭であるのに比べ、プロピオン酸単体では不快臭と粘膜刺激性がある。
プロピオン酸の毒性について、ラットへ投与した試験では多動などの行動変化が報告されている1)ほか、犬へ給餌した試験では、高用量時に食道粘膜に影響があったとの報告がある2)。
1 )D. F. MacFabe et al. :Neurobiological effects of intraventricular propionic acid in rats: Possible role of short-chain fatty acids on the pathogenesis and characteristics of autism spectrum disorders. Behavioral Brain Research 176 (1): 149?169. 2007
2)一般社団法人 日本化学物質安全・情報センター OECD初期評価プロファイル 「無水プロピオン酸」 http://jetoc.or.jp/safe/doc/J123-62-6.pdf