プロピオン酸は自然界において、牛などの反芻動物の第一胃(ルーメン)で微生物が植物を消化分解する過程で生じる短鎖脂肪酸である。反芻動物はプロピオン酸を胃壁から吸収し、代謝してエネルギー利用していることから、牛肉や羊肉、乳製品に含まれる脂肪酸だが、プロピオン酸をラットへ投与した試験では、多動などの行動変化とが報告されている1)ほか、犬へ給餌した試験では高用量時に食道粘膜に影響があったとの報告がある2)。
アンモニアは、通常の健康な体内でも、フード中のタンパク質が腸内細菌や酵素作用によって消化分解される際に生じる物質で、プロピオン酸アンモニウムから遊離したアンモニアも、ほかの消化産物同様に腸管から吸収され肝臓で処理される。しかし肝疾患などで肝臓機能が低下しているときにはアンモニアの処理能力も低下し、負担になるので摂取を避けたい物質である。
1 )D. F. MacFabe et al. :Neurobiological effects of intraventricular propionic acid in rats: Possible role of short-chain fatty acids on the pathogenesis and characteristics of autism spectrum disorders. Behavioral Brain Research 176 (1): 149?169. 2007
2)一般社団法人 日本化学物質安全・情報センター OECD初期評価プロファイル 「無水プロピオン酸」
http://jetoc.or.jp/safe/doc/J123-62-6.pdf