なお卵から孵化して50-55日ほどまでの食用鶏は、「ひな」と呼ばれて出荷される。2)
食用鶏の飼育方法は平飼いだが、平飼いのうち室内・戸外を組合わせたものをとくに放し飼いという。チキン(ブロイラー)は多くの場合平飼い、地鶏は戸外で鶏が自由に土を掘ったり砂浴びをしたりと、鶏本来の自然行動が現しやすい放し飼いで育てられることが多く、1平方メートルあたりの飼育羽数が10羽と、チキンよりも密度が低い。
食肉用鶏の品種に限らず飼育方法に有機飼育があり、有機飼育では地鶏と同じ最低飼育面積1平方メートルあたり10羽(非有機飼育・非地鶏は制限なし)とされるほかに、飼料も有機飼料に限られているなど、日本農林規格(JAS)で定められている。3)
鶏のレバーは、正肉と呼ばれる胸肉(ササミは胸肉の中でも一番内側にある軟らかい筋肉部位を指す)とモモ肉、骨の付いた手羽に並び、砂肝(胃袋、別名:筋胃)、心臓などの内臓(別名:モツ)として食用にされる部位である。ペットフードへは生のレバーを加工するほか、加工しやすいように乾燥粉砕あるいは水等を加えてレバーを粉砕した液を噴霧乾燥(スプレードライ)したものなどがある。
栄養価的には鶏の肝臓(レバー)は、モモ肉とほぼ同じくらい多くのタンパク質(約18.5%)を含むが、ほかの正肉や内臓肉よりも多くのリンを含む。リンのほか、鉄分や亜鉛、銅等の微量ミネラルを含み、またビタミン類も豊富に含むが、中でもとくにビタミンAは牛レバーの10倍以上、豚レバーよりも10%程度多く含まれている。
レバーは心臓などの内臓、そして犬の食餌の中心となるササミを含む胸肉やモモ肉などの正肉と同じくリンを多く含むため、その量に伴い骨やミネラル剤などを加えてカルシウムとのバランスを取ることに気を配らなければならない。
なによりもレバーは鶏の臓器の中でも解毒を行う器官であり、飼育期間中に鶏に投与された薬物や鶏が摂り込んだ物質の代謝が行われる場所である。飼育環境がレバーの質として反映されやすいだけでなく酵素が豊富なことから、できるだけ良質で新鮮なものを選びたい。
1)(社)日本食鳥協会 「国産銘柄鳥の定義及び表示」 http://www.j-chicken.jp/anshin/pdf/hyouji_teigi.pdf
2)(社)日本食鳥協会 「国産チキンの生産性について」 http://www.j-chicken.jp/museum/arekore/05.html
3)農林水産庁 有機畜産物の日本農林規格 http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/yuki_chiku_120328.pdf