日本の食肉用鶏の種類は、名古屋コーチンや比内鶏などの、地域に定着した鶏を改良した地鶏(ふ化後80日以上飼育後出荷)と、飼料や環境に工夫をした銘柄鶏(例えば桜姫鶏は、青森県産の銘柄鶏である)、そしてチキンと呼ばれるその他の品種(白色系)におもに分けられる。また出荷までの飼育期間によっても呼び名は異なり、ふ化後3か月以内・約50-60日の飼育で出荷されるチキンはブロイラーまたは若どりとも呼ばれ、銘柄鶏では若どり(飼育期間約60日)と赤系(飼育期間約80日)とに分けられる。これらについては日本農林規格(JAS)または(社)日本食鳥協会によって規定およびガイドラインが決められている。1)
食用鶏の飼育方法は平飼いだが、平飼いのうち室内・戸外を組合わせたものをとくに放し飼いという。ブロイラーは多くの場合平飼い、地鶏は放し飼いで育てられることが多い。放し飼いは戸外で鶏が自由に土を掘ったり砂浴びをしたりと、鶏本来の自然行動が現しやすくなっている。また地鶏と銘柄鶏、チキンでは1平方メートルあたりの飼育羽数も異なり、チキン(若どり)>銘柄鶏>地鶏の順の密度で飼育される。
なお、卵から孵化して50-55日ほどまでの食肉鶏は「ひな」と呼ばれて出荷される。2)
また食肉用鶏に限らず、採卵用鶏の廃鶏(長期間の採卵後、採卵能力が落ち屠畜される鶏)もまた食用の「がら」として出荷される。がらと呼ばれるものにはこのほかに、丸鶏から正肉を取った残りの首から尻尾までの背骨周りの部分もある。
食肉として食べられるのは正肉と呼ばれる胸肉(ササミは胸肉の中でも一番内側にある軟らかい筋肉部位を指す)とモモ肉、骨の付いた手羽だが、レバーや砂肝(胃袋、別名:筋胃)、心臓などの内臓(別名:モツ)やその他の臓器(とさか、首、軟骨、足先、尾など)も日本では食用にされる。
鶏肉はまず牛肉や豚肉に比べ脂肪分が少なく、中でもとくに胸肉(皮なし、ササミを含む)は脂肪分が少ないだけに、タンパク質含有量が約22%と高い。モモ肉や皮は、ササミを含む胸肉に比べ脂肪分が多く含まれ(その差10%以上)、しかしその約7割以上が犬の体に必須のリノール酸などの不飽和脂肪酸であることから、中性脂肪を多く含んでいる牛脂やラード(豚の脂)に比べ同じ脂肪分でも良質といえ、鶏脂はカロリー以上に有用な意味を持つ。
また、犬の食餌の中心となるササミを含む胸肉やモモ肉などの正肉は、レバーや心臓などの内臓とともにリンを多く含むため、その量に伴い骨やミネラル剤などを加えてカルシウムとのバランスを取ることに気を配らなければならない。
1)(社)日本食鳥協会 「国産銘柄鳥の定義及び表示」http://www.j-chicken.jp/anshin/pdf/hyouji_teigi.pdf
2)(社)日本食鳥協会 「国産チキンの生産性について」 http://www.j-chicken.jp/museum/arekore/05.html