アメリカを除く英語圏・ドイツ語圏などでラム(英Lamb、独Lamm)と呼ばれるのは性成熟前の羊(学名Ovis orientalis aries、ウシヤギ亜科)のことで、ラム肉として流通しているのは生後12か月までの羊の肉である。その中でも生後6か月(離乳期)までの仔羊を特にミルクラムと呼び、生後13か月以上で永久門歯を2本以上持つメスまたは去勢オス羊をマトン(Mutton)と呼ぶ。アメリカでは年齢に関わらずすべての羊に対し「ラム:Lamb」という名称を用いるので1)、フードの原産国により「ラム」が仔羊であるか成羊であるかが異なる。
仔羊肉は、柔らかく食感が良いことから成羊肉(マトン)よりも好まれる傾向にあり、羊肉の中では最も価格が高い。肉の色は、仔羊が明るいエンジ色で薄い脂肪層が付いているのに対し、成羊肉の色は濃いエンジ色で硬いスジがある(写真は肩肉)。ドライフードの加工には生の肉をそのまま用いるほか、肉を乾燥粉砕した肉粉や冷凍乾燥(フリーズドライ)品なども用いられる。
生の仔羊肉には20%を超えるタンパク質が含まれ、仔羊の月齢や肉の部位によって脂肪分には3.4-35%までの差がある(成長するに従い脂肪分が多くなる)。このほかビタミン類(A、B群、C)とミネラル類(鉄、ナトリウム、カリウム、カルシウム)にも富む。
成羊肉ではいずれも脂肪分が30%を超えることから、脂肪分の付いた肉の塊ではタンパク質含量が少なくなり、12-15%(部位によって異なる)程度を含む。
1)Code of Federal Regulations 7:XI:1280.111
http://www.gpo.gov/fdsys/pkg/CFR-2005-title7-vol10/pdf/CFR-2005-title7-vol10-sec1280-114.pdf