日本でも耳にする品種として、ヨークシャー種やハンプシャー種、ランドレース種、バークシャー種、サドルバック種、イベリコ豚などのほか、日本には飼育方法や飼料・飼育環境にこだわった銘柄豚と呼ばれるカテゴリーもあり、その数は250を超える。
フードに使われている銘柄豚としては、「アンデスポーク」「トキワの豚」「ヤシオポーク」などが挙げられる。
「アンデスポーク」は、南米チリのアグロスーパー社によって作られる豚肉のブランドで、日本国内では日本ハム社が流通を行っている。1)ヒレ肉は豚の背骨両側に長く伸びる筋肉で、豚肉の中では最も柔らかい上級肉とされ、脂肪分が少ない。
「トキワの豚」は、岩手県の薬師酪農生産組合(岩手県八幡平市)が生産している銘柄豚2)。銘柄豚に限らず産業動物としての母豚は、出産頭数の減少や受胎率が悪くなったりなど繁殖能力が低くなると屠畜される。大型飼育では母豚を狭い檻に入れ動きを制限した飼育方法のため肉には脂肪分が多いが、トキワの豚は広い畜舎を用いた飼育を行っていることから豚肉の脂肪分は少ない。
「ヤシオポーク」は、栃木県那須野ヶ原にある全国畜産農業協同組合連合会研修牧場産の銘柄豚だ。3)
なお豚肉は、例えばモモ肉(赤身)ではタンパク質約22%、脂質4-5%を含むが、バラ肉(腹部、脂身付き)ではタンパク質約14%、脂肪35-40%と、部位や飼育方法によって脂肪の付き具合が異なる。また、豚肉には牛肉やその他の肉類に比べて多くのビタミンB1(チアミン)が含まれるのが特徴である。
軟骨付きで使われることもあるが、豚の体に存在する軟骨は、主に肋骨部分(肋骨と胸骨を繋ぐ軟骨)と耳部分。とくに肋骨部分は周辺の肉(バラ肉)とともに煮込みなどの食用にされ、軟骨ではない硬い肋骨部分とバラ肉の組み合わせはスペアリブと呼ばれる。生の軟骨はコリコリとした歯ごたえがある。
軟骨(茹で)100gには100mgのカルシウムが含まれているが、同時にリンも120mg含まれているので、理想的なカルシウム:リン比率(2:1)には少し遠く、軟骨以外にもミネラル成分を加えてバランスを取る必要がある。
日本ではまだオーエスキー病(別名:仮性狂犬病、感染し発症すると狂犬病に似た神経症状を示す届出義務指定の伝染病)が清浄されていないため4)、感染の危険から豚肉を生で犬に与えるべきでないが、加熱をすればウイルスは死滅するので問題はない。
1)アグロスーパー社
http://www.agrosuper.jp/company/
2)(財)日本食肉消費総合センター 銘柄豚肉ハンドブック2005(24ページ)
http://www.jmi.or.jp/common/download.php/%96%C1%95%BF%93%D8%93%F7%83n%83%93%83h%83u%83b%83N2005.pdf?id=MTI4
3)山久
http://www.yamakyu.biz/about/yasiopork.html
4)農林水産省 オーエスキー病の浸潤地域
http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/eisei/e_ad/pdf/ad_maptable_121009.pdf