肉牛だけでなく搾乳量が落ちた乳牛もまた屠畜後食肉加工され、牛肉として流通されるのが普通なので、国産の乳牛では乳量だけでなく屠畜後の食肉の質も考慮し、乳牛種と肉牛種を掛け合わせていることも多くある。
牛の肉に含まれる成分は、牛の品種や肉の部位によって大きく異なり、例えば赤身ではタンパク質約16%、脂肪約7%が含まれる。赤身肉は消化性がよく、また犬もよく好むが、例えば乳牛の搾乳量を上げるための成長ホルモンは、合成型(rBGH)はアメリカで投与が許され(乳牛の17%に投与)残留基準値を設けている一方で、日本では目的を限定して使用が許可され残留基準値を設けているほか、EUでは非認可/投与の使用を禁止1)しているといった具合で、流通されている肉の質はまさにピンキリである。
また一般的には、乳牛の肉は味がなく肉牛の肉よりも安価なうえ、とくにアメリカでは乳牛の肉が食用に用いられることが少ないため、乳牛の肉はもっぱらドッグフードの原材料として使われやすい。ドッグフードに加工される牛肉であっても、素材の吟味が必要である。
なお、フリーズドライビーフの「フリーズドライ」とは冷凍乾燥技術のこと。冷凍により肉に含まれる水分を飛ばし、長期保存できる乾燥物を作るときに用いられる食品加工技術の一つである。冷凍乾燥法は、加熱乾燥法に比べ素材を変性させたりすることなく乾燥でき、旨味や風味・栄養素を損なわないことから食品分野で広く好まれている加工方法であるが、噴霧乾燥(スプレードライ)や加熱乾燥法などほかの乾燥方法よりも生産効率が低いのでコスト高であり、フードへ使用する場合は高級素材といってよいだろう。
1)内閣府 食品安全委員会「牛の成長促進を目的として使用されているホルモン剤(肥育ホルモン剤)」
http://www.fsc.go.jp/sonota/factsheet-cowhormone.pdf