ウサギ肉は、日本ではあまり食用として馴染みがないが、世界的に見るとヨーロッパやアメリカをはじめ各国で食べられている食肉の1つである。かわいらしい姿が印象的なペットとして昨今ブームになっているウサギとは若干種が異なり、食肉と毛皮目的に大型飼育場で飼育されるウサギは、大型の種が主流となっている。
しかしペットのウサギも肉用のウサギも、同じアナウサギ(学名:Oryctolagus cuniculus)を家畜改良したものでイエウサギ(またはカイウサギ)と呼ばれる。見た目が似ていることから同じウサギにひとくくりにされる「ノウサギ(学名:Lepus europaeus)」とは厳密にいうと別の属になる。ちなみにイエウサギは英語でrabbit(ラビット)、フランス語でlapin(ラパン)、ドイツ語でKaninchen(カニーンヒェン。カニンヘンダックスフントの“カニンヘン”はここからきている)といい、ノウサギは英語でhere(ヘア)、フランス語でlièvre(リビエル)、ドイツ語でHase(ハーゼ)という。
見た目に鶏肉のような、明るいピンク色をしたウサギ肉には約21%のタンパク質が含まれ、脂肪は約2ー6%とほかの肉に比べて少ない。ビタミンB12とナイアシンに富むが、鉄分は牛肉などに比べ少ない。
日本でウサギ肉を食べる習慣があまりないせいか、ウサギ肉を使ったドッグフードは日本国内産のものではあまり見かけないが、ドイツ原産やアメリカ原産のドッグフードではウサギ肉ミール(ラビットミール)を使ったものがいくつかある。
アメリカ飼料検査官協会(AAFCO)では、ウサギミールは「毛、頭、足、内臓を除いた骨付きまたは骨なしの清潔な肉と皮の搾脂品(レンダリング=されたもの)」と定義される脂肪分の少ないタンパク質である。
ウサギはそもそもオオカミの獲物になっていることや、多くの猟犬種は昔だけでなく現在もなおウサギ猟に使用され、少なからず猟の褒美として内臓などをもらっていることを考えると、特に猟犬にとっては自然な食材であると考えられる。