日本の食卓で馴染みの深い食用魚のイワシは、ニシン目(学名:Clupeoidei)に属する小型の魚の総称で、日本では主にマイワシ、カタクチイワシ(英名Anchovy、アンチョビ)ウルメイワシの3種のことをイワシと呼ぶ。ヨーロッパなどでは、ニシン目ニシン科に属する小型の魚数種をまとめてサーディン(Sardine)と呼ぶことが多い。カタクチイワシは世界で最も漁獲量の多い魚で、食用のほか、動物飼料や魚油の精製、肥料などにも用いられ、日本料理のだしに使われる「煮干」あるいは「いりこ」は、カタクチイワシを中心としたイワシでも体長4-6cm程度のものを乾燥させたものである。しらすもまた同じくカタクチイワシを中心としたイワシだが、身がまだ半透明である稚魚・幼魚を乾燥させたものである。
イワシはニシン科の魚であることから、やはり脂ののった魚で、季節によっても異なるが通年10%以上の脂肪分を含む。タンパク質はいずれも20%程度が含まれるほか、イワシにはサバ同様に生理活性物質のヒスタミンも含まれる。ヒスタミンは過剰に摂取するとアレルギー反応の原因にもなる物質だが、ヒスタミンは漁獲後に微生物の活動により生産されるため、新鮮なものや冷凍のイワシであれば含まれるヒスタミンは少ない。
イワシは小型の魚なので、粉末に加工する場合は、骨と内臓が付いたまま丸ごと加工される。加工行程中に油分を搾取し、絞り粕を乾燥粉砕したものはイワシ粉(鰯魚粉)、古くは干鰯(ほしか)と呼ばれて、農地への肥料として用いられてきた。骨と内臓はビタミンやミネラルを多く含むため、魚粉の栄養価は高い。