ホワイトフィッシュと言った場合は2つの異なる魚種に対し用いられる名称で、一種は英名European WhitefishあるいはCommon Whitefish(学名Coregonus)と呼ばれるサケ科コクチマス属の魚1)、もう一種はタラなどの白身魚の総称を指す漁業的名称である。
前者は北欧で養殖されているとはいえ漁獲量が少ないことから、現在ドッグフードに使われているホワイトフィッシュは漁獲量の多い後者のタラを中心とした白身魚を指すことがほとんどである。前者はコクチマス魚肉の項を参照。
また、一般に漁業で白身魚と呼ばれるのはタラを中心とした身の白い魚たちのこと。身が白くても沿岸に住むタイなどは白身魚には含まれず、海底近くに生息するタラのほか、メルルーサやコダラなど引き網漁で大量に漁獲しやすい魚が白身魚に含まれる。
白身魚には約18%のタンパク質が含まれ、脂質は1%前後。全体的な脂肪含有量の少なさから、白身魚をミール(粉末)にする際には、ニシンミールやメンハーデンミールのようにエトキシキンやブチルヒドロキシトルエン(BHT)といった抗酸化物質は加えられない。2)
白身魚に限らず、魚肉の消化性は一般的にほ乳類・鳥類の肉に比べ劣るが、日本犬や北方のソリ犬など何世紀もの間魚を食べ続けてきた歴史から、犬種によってはほ乳類の肉よりも魚の方が体に合ったタンパク質源であることがある。
ニシンほどではないが、タラ類の生の身にもチアミナーゼというビタミンB1を分解する酵素が含まれることから、長期にわたり生の身を与えるとビタミンB1欠乏を引き起こす恐れがある。与えるときは必ず加熱したものにしたい。
1)FishBase "Coregonus lavaretus"
http://www.fishbase.org/summary/Coregonus-lavaretus.html
2)FAO "Fish Meal”
http://www.fao.org/wairdocs/tan/x5926e/x5926e01.htm