初乳とは、出産後最初に分泌されるお乳のこと。牛乳は、雌牛が出産をすることで作られるようになり、本来は子牛を育てるためのものである。初乳とは子牛分娩後の雌牛から出る最初の乳であり、出産するごとに採れる。
雌牛は、子牛が成長して性成熟を経て妊娠し、280日の妊娠期間の末に出産をしてようやく牛乳が分泌されるので、牛乳を作るのは早くても2歳齢の雌牛である。初乳には、母親の生活環境に存在する様々な細菌やウイルスに対する抗体がたくさん含まれているため、新生児(不十分な抵抗力を持って生まれてくる)は、生まれてすぐに初乳を飲むことで母親から抵抗力が与えられ、無事に生き延びることができる(生活環境や動物種によって、どのような抗体がどのくらい初乳に含まれているかは異なってくる)。タンパク質濃度の高さから初乳は普通の牛乳に比べ粘質で、若干黄味が強い。乳分泌が始まって1ー2日も経つと、乳中の抗体は徐々に減り、通常の牛乳成分となる。
栄養価的にみると、タンパク質含有量が高い一方で乳脂肪分は低く、普通の牛乳よりも少ない。初乳に含まれる栄養価を失わないために、加工の際には低温(42度以下)で行われるのが通常とされる。
初乳に含まれるインスリン様成長因子(IGF-1)という物質が成長ホルモンの分泌に影響を及ぼすことから、オーストラリアでは、スポーツ選手がIGF-1を含む初乳を摂取することはドーピングとみなされる。IGF-1はまたアンチエイジング(抗加齢)作用もあるとされ、近年注目を集めている。