カゼインは、カルシウムと結合して存在して乳中に浮遊している。牛乳に、レモン汁などの酸やキモシンやペプシンなどの酵素を加えると、それまで乳中に溶けていたカゼインを含む乳タンパクは変性して固まり、白い不溶性のものとなる。それを布で漉すなどして集めたものは主にチーズの原料として使われる。なお、牛乳からほとんどの乳タンパクを取り除いた残りは乳清(別名:乳漿、ホエイ)と呼ばれ、チーズ製造の副産物として多く生産される。
2000年の報告では、牛乳由来のペプチド(少数のアミノ酸が結合したもの、タンパク質よりもアミノ酸の結合数が少ない)には脳に対して鎮静作用があり、安眠に効果をもたらすことが分かった。1)カゼインは、犬の体に必須のアミノ酸類がすべて含まれているが、牛乳アレルギーの代表的なアレルゲンに数えられるため、牛肉などにアレルギーを示す場合は避けた方がよい。またミルクペプチドは、アレルゲンとなりやすいタンパク質よりも分子が小さく低アレルゲンではあるが、アレルゲンとなる可能性は全くのゼロではない。
1)Clare, Swaisgood: Bioactive milk peptides: a prospectus. J Dairy Sci. 2000 Jun;83(6):1187-95.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10877382