雌牛(乳牛と呼ばれる)が牛乳を作るようになるには、子牛が成長して性成熟を経て妊娠し、280日の妊娠期間の末に出産をしてようやく牛乳が分泌されるので、牛乳を作るのは早くても2歳齢の雌牛である。近代的な酪農産業では牛の牛乳生産効率が重視されることから、泌乳量が最大となる3-4歳をピークに、その後妊娠率が落ち牛乳生産量も低下してきた雌牛は寿命(約12-13年)を待たずに5-6歳で処分されることが通常である。
加工されていない牛乳(生乳)の成分の約88%は水分で、次いで脂質約4%(ホルスタイン種で約3.7%、ジャージー種では約5%など品種によって異なり、ほとんどが飽和脂肪酸)、タンパク質約3.5%のほか、ビタミン(A、B群)、ミネラル(カルシウム、リン、カリウム)など固形分として合計約12%を含む。なお、生乳から水分や脂肪など乳成分の一部を除去し低脂肪あるいは濃厚になるように加工されたものは調整乳(調整牛乳)と呼ばれる。
牛乳の水分を飛ばして乾燥粉末化させたものは、ドライミルクあるいは乾燥全乳、粉乳、ミルクパウダーと呼ばれるが、タンパク質約25%、脂質約26%まで濃縮され、同じくビタミンやミネラル類も濃縮されて含有量が高くなっている。乳幼児の飲む粉ミルクのように、粉末化の際に栄養価や性状を調整したものもある。
2000年の報告では、牛乳由来のペプチド(少数のアミノ酸が結合したもので、タンパク質よりもアミノ酸の結合数が少ない)には脳に対して鎮静作用があり、安眠に効果をもたらすことが分かった。1)
1)Clare, Swaisgood: Bioactive milk peptides: a prospectus. J Dairy Sci. 2000 Jun;83(6):1187-95.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10877382