チーズ生産工程の際、牛乳あるいはほかの動物乳(ヤギ乳や羊乳など)にレモン汁などの酸や、キモシンやペプシンなどの酵素を加えて、カゼインを含む乳タンパクを取り去った残りの黄色い液体あるいはペーストを、乳清(別名:乳漿、ホエイ)と呼ぶ。
牛乳を例に取ると、乳清の約94%は水分で、約5%が乳糖、脂肪分は極めて少ない。そのほか乳酸やビタミンB群、カルシウムなどのミネラル成分が約1%を占める。乳清には少量の乳タンパク(ラクトアルブミン)も含まれるが、元の牛乳に比べると著しく少なく、乳清中の乳タンパクにはカゼインは含まれない。
乳清から水分と乳糖を取り除くことで、乳清にはタンパク質が残り、乳清タンパク(あるいは乳清タンパク濃縮物、ホエイタンパク)と呼ばれるものができる。この乳清タンパクには母牛からの抗体が含まれることから、それを食べることで腸管内での免疫力の向上に作用するという報告などがあり、近年注目されている。しかし抗体は加熱加工により失活してしまうので、乳清タンパクの効果を期待するなら、乳清タンパク質が変性しない温度約65度以下でのフード加工であることを確認したい。
乳清の水分を飛ばして乾燥させたものは、乾燥乳清(乾燥ホエー)やホエイパウダーと呼ばれ、それぞれの成分が濃縮されている状態のものである。
乳清にはカゼインは含まれないが、それ以外のタンパク質が含まれているため、牛肉などにアレルギーがある場合、乳清もアレルゲンとなる可能性がある。