
脱穀した後の原麦を粉砕し、麬(ふすま:果皮と胚芽)を取り除いた粗挽き顆粒状のものはミドリング粉(またはセモリナ)と呼ばれ、さらに細かく粉砕し粉末化したものが通常の白い小麦粉である。原麦そのままを粉砕したものは全粒粉と呼ばれ、胚乳の他に茶色い果皮と胚芽を含むため粉の色は茶色い粒が混じったように見える。全粒粉には果皮と胚芽由来の食物繊維やビタミンなどが多く含まれ、そのおかげで白い小麦粉に比べ栄養価が高い。
小麦粉を主体にして作られる調理用素材パン粉は、日本ではコロッケやとんかつなどの衣に使われることが多い。小麦粉にパン酵母や塩、油脂、水などを加えて発酵させたパン生地を薄くのばし、焼き上げたものを粉砕して作られるのだが、パン粉は小麦粉の中でもグルテンを多く含む強力粉が使われることから、乾燥パン粉で約15%ほどのたんぱく質を含む。このほか約63%の炭水化物、約7%の脂質など、強力粉そのものよりも若干栄養価が高い。
小麦粉には50ー60%の炭水化物(アミロペクチンとアミロース)が含まれるほか、10%前後(品種によって異なる)のタンパク質、そして食物繊維や脂質などが含まれる。小麦に含まれるタンパク質はグルテンと呼ばれ、すべての必須アミノ酸を含むが、単独で摂るよりもほかのタンパク質源である肉類や乳製品と一緒に摂ることにより生物価(Biological Value、体内でのタンパク質利用効率)が格段に良くなる。
なお小麦の品種の中でも、デュラム小麦(学名Triticum durum)やスペルト小麦(学名Triticum aestivum subsp. spelta)は、グルテン量の多い品種として有名である。