ドイツの黒パンで有名なライ麦(学名Secale cereale)は、収穫期に穂が灰緑色なことでほかの麦と区別できるイネ科の植物。ライ麦の種子を挽いて作られる粉はやや灰色であるため、その粉を使って作られるパンは灰色〜焦げ茶の色調となる。
食用となるライ麦の種子はその約60%ほどが炭水化物のほか、約13%の食物繊維と10%前後のタンパク質、2%の脂肪そして約1%をミネラル類が占める。ライ麦の種子はさらにビタミンB群とE、必須アミノ酸を豊富に含み、その中でもとくにアミノ酸のリジンが多いことから(3大穀物である米、小麦、とうもろこしよりも含有量が多い)、バランスの取れた食事には欠かせない存在であるといわれる。しかし、食欲減退を引き起こすフェノール系物質のレゾルシノールを含み、敏感な人では皮膚に炎症を起こす場合もあるほか、グルテンを含むので、グルテンアレルギーまたは不耐性症状の原因にもなる。