甘辛炒めや煮物の彩りとして食卓にのぼるさやいんげん(英名Green Beans)は、マメ科インゲンマメ属のインゲン豆(学名Phaseolus vulgaris L.)の若い果実のこと。サヤインゲンと言えば丸みのある長い莢(さや)が一般的だが、莢が平たく短めなタイプの品種(さやまめ)もある。熟した種子(豆)はうずら豆やキドニービーンズ(Kidney Beans)のように腎臓に似た形で、甘煮や肉類と一緒に煮込むなどして食べる。
さやいんげんは、β-カロチンや葉酸を多く含み、またいんげんの莢(さや)にはファゼオリ・ペリカルピウム(Phaseoli pericarpium:インゲンの皮という意味)という利尿効果のある物質が含まれる。しかし、ほかの豆類同様に生のインゲンにも有害糖タンパク質のファシン(Phasin)が含まれるため、食べるためには必ず加熱し、ファシンを無毒化する必要がある。ちなみに、インゲンを茹でるときに出てくる泡状の灰汁はサポニンによるもので、インゲンにはこのほかタンニンとレクチンといった天然の防虫抗菌成分も含まれるが、それぞれ水につけることで流出するので食べる前に茹でるのが良い。