シリアル(cereal)とは英語でイネ科の穀類のこと、そしてブラン(bran)はそれら穀類の果皮のことである。つまりシリアルブランとは、小麦や大麦、トウモロコシ、米などの穀類の脱穀(籾殻を取り除く作業)後に表面の皮を削って(小麦の場合は全粒を粉砕して)精白する際に生じる副産物のことで、別名の「糠」(ぬか)という名前の方が、日本では馴染みがあるだろう。
その糠(ぬか)とは、小麦や大麦、トウモロコシ、米などの穀類の脱穀(籾殻を取り除く作業)後に表面の皮を削って精白する際に生じる副産物のこと。脱脂糠は、糠の中でも特に米糠に含まれる油分をヘキサンなどの溶剤を使って抽出(溶剤抽出法)したり、圧力をかけて絞り出したり(圧搾法)した後の残留成分のことである。
糠の種類はいくつかあるが、フードに使われるものとしては「はと麦糠」「大麦糠」あたりが目につく。それぞれ、ハトムギ(学名:Coix lacryma-jobi、英名:Job's Tears)または大麦(学名Hordeum vulgare、英名:Barley、バーリー)の脱穀(籾殻を取り除く作業)後に、表面の皮を削って精白する際に生じる副産物のことだ。
糠は副産物ではあるが、穀類の持つ栄養素は、穀物粒の大部分を占める白い胚乳(米ならば精白米、小麦なら粉砕後に精白小麦粉になる部分)よりも糠の方に断然多く含まれる。ゆえに糠は決して価値の低いものではなく、小麦粉や白米など精白された穀類製品ばかりが多用される現代社会の食餌において、むしろ、より重要視されるべき食材といえる。
含まれる成分の中でも特に多いのが食物繊維で、小麦では糠の45%をセルロースやヘミセルロース、リグニン(木質素)などの食物繊維が占め、タンパク質は約15%程度となっている。ビタミン類やミネラル類を多く含むほか、水分を吸収して粘りを出すβ-D-グルカンも含まれることから、整腸やデンプンの消化吸収遅延(血糖値の急激な上昇を防ぐ)に働くが、一方で、腸内でミネラル成分と結合しミネラルの吸収を妨げるフィチンも含む。
それだけでなくそもそも果皮である糠は、育成時に使用される農薬や周辺環境からの重金属などを溜めやすいことから、その質が問われる。
そしてほかの糠と異なり脱脂糠の場合、溶剤を使って糠から油分を抽出する方法は、残留成分である脱脂糠に溶剤が残るので食品に使用することはできない。圧搾法であれば、脱脂糠に溶剤由来の有害物質が含まれないので食品への使用が可能だが、通常の圧搾法は、圧力により糠が高温にさらされるため、タンパク質やデンプンなどの成分が熱によって変性するとされている。