オート麦糠(むぎぬか)とは、オート麦の脱穀した種子を精白研磨する際に出る果皮の粉で、別名オーツ麦ふすま、英名オートブランとも呼ばれ、精白の際には種子全体重量の約30%が削られて糠となる。削られた果皮は、種子を損傷から保護するための繊維質を含み、また種子が発芽して成長する初期の間に必要とされるビタミン類とミネラル類を多く含んでいる。その中でも、とくにビタミンB1とリン、鉄、亜鉛に富む。
またオート麦の糠には、水に不溶な繊維と水溶性の繊維が半々程度含まれ、後者には血中コレステロール値を下げる作用を持つβ-グルカンが、小麦の糠(小麦ブラン)よりも断然多く、約3ー5%含まれる。オート麦の糠は水分を吸うと体積が増える性質を持つが、水分で膨れ上がった糠は大腸壁を刺激し、腸の蠕動運動(腸管内の食物を押し進める腸壁の筋肉運動)を促す食物繊維として整腸・便秘予防に働くだけでなく、胃内でも膨れて満腹感を与える。しかし、満腹感は与えられるがエネルギー量は少ないため、ウェイトコントロール用の人気食材でもある。
しかしほかの麦類同様に、オート麦の果皮にはミネラル類の吸収を阻害するフィチン酸が含まれることから、ミネラル類の摂取は糠に頼らず、別途補給を行うことが必要である。