油脂とは、化学的にはトリグリセリドと呼ばれるグリセリンに脂肪酸が3個エステル結合した物質のことを指し、よく知られるように水に溶けない性質を持つ。
食用となる油脂には、動物性油脂と植物性油脂の二つがある。動物性油脂は牛脂や豚脂(ラード)、鶏脂など家畜・家禽の脂を混合して作られる油脂のことで、植物性油脂は菜種油や大豆油、ひまわり油など複数の植物油を混合して作られる油脂のこと。いずれも、どの動物あるいは植物の油脂が使われているかメーカーに問い合わせなければ、商品から特定することは難しい。
フードに油脂が加えられる目的には、カロリー調節を始めとして、嗜好性向上のため、あるいは脂溶性ビタミンのキャリアとしてなどいろいろな理由がある。油脂の中でもリノール酸やα-リノレン酸などの多価不飽和脂肪酸は、犬の体の中でホルモンなどに変換される必要不可欠な脂肪酸でありながら体内では合成されない脂肪酸であり、体外から食餌などと一緒に摂取する必要があるため、必須脂肪酸と呼ばれる。
脂肪がもたらすカロリー(エネルギー量)は、同量の炭水化物やタンパク質に比べ約3倍なので、少量を与えたつもりでもそこに含まれるカロリーは意外と多いことを忘れてはいけない。