植物性油脂は、動物性油脂(牛や豚など動物から採れる油)に比べ不飽和脂肪酸の含有量が高く、またそれぞれの原料ごとに油脂に含まれる脂肪酸の種類と比率が異なることから、性質もそれぞれ大きく異なる。
植物性油脂の不飽和脂肪酸には、体の維持に必要なリノール酸やαーリノレン酸などの必須脂肪酸が多く含まれ、そして油脂は脂溶性ビタミンのキャリア(溶媒)にもなっている。
植物性油脂に含まれる不飽和脂肪酸は酸化しやすい性質を持つことから、加工・保存時の品質を保つために、通常は抗酸化剤(ビタミンE、BHTなど)が添加されたり、あるいは酸化防止と加工性向上のために水素が添加されて硬化油に加工されたりする。硬化油に加工された不飽和脂肪酸は構造の一部が変化したトランス型脂肪酸を含み、血中のLDLコレステロール濃度を上げて心疾患のリスクを高めることから、ヒトではWHOを始め世界各国で、食品中のトランス脂肪酸含有量の低減あるいは摂取の制限が必要とされている。1)
硬化油は加工食品のほかドッグフードにも多く用いられるが、トランス脂肪酸は牛脂や牛乳にも自然に含まれていることや、犬とヒトとでは食習慣が異なることから、トランス脂肪酸が犬の体にどの程度影響があるのか単純には推測できない。
1)農林水産省「トランス脂肪酸の摂取と健康への影響」
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_eikyou/trans_eikyou.html