表面に光沢のある、長さ5mmくらいの小さくて茶色い亜麻仁(フラックスシード、リンシード)には、30-44%(品種や生育環境、成熟度により異なる)の脂肪分が含まれ、その脂肪分のうち50−70%は犬にとって必須脂肪酸のリノレン酸(オメガ3系脂肪酸)であり、植物性油脂の中で最もオメガ3系脂肪酸含有量が高い。リノレン酸に続きリノール酸10−20%、オイル酸12−24%、ステアリン酸とパルミチン酸をそれぞれ10%以下程度含む。
粗タンパク質量は19-29%で、犬への必須アミノ酸であるリジン、メチオニンとトリプトファンも多く含むほか、レシチン、ビタミンB1、B2、B6、Eとニコチン酸、葉酸、パントテン酸が主要成分である。また、副成分に毒性のあるシアン化グリコシドを含む1)ため、生での大量の摂取は避けたほうがよいが、シアン化グリコシドは加熱すると毒性を失うので、加工されたものであれば問題はない。
種子の表皮は、水を含むとゲルを構成してぬめりがでる。種子を砕かず、丸ごと水に浸して膨張させ摂取すると、ゲルが消化器粘膜を滑らかに洗浄し、便通促進と便秘解消に効果がある。ただしその際は、表皮が壊されていない丸のままの種子に含まれる成分が消化吸収されることは期待できない。
1990年代後半から2000年にかけて、カナダで遺伝子操作されたフラックス品種が認可されたため2)、カナダとアメリカからのフラックス原料を使用している場合、遺伝子操作されたものが混入している可能性がある。
1) Michael Carus u. a.: Studie zur Markt- und Konkurrenzsituation bei Naturfasern und Naturfaser-Werkstoffen (Deutschland und EU). Gülzower Fachgespräche 26, hrsg. von der Fachagentur Nachwachsende Rohstoffe e. V., Gülzow 2008, S. 234f.
2) canadian Food Inspection Agency
http://www.inspection.gc.ca/english/plaveg/bio/dd/dd9824e.shtml