米油と聞くと白い米からの油を想像しがちだが、実は玄米を研磨して精白するときに副産物として作られる糠(ぬか)と胚芽が原料である。米の糠と胚芽から得られた油は米油のほか、米ぬか油や米胚芽油、精製度のあまり高くないものは米白絞油(こめしらしめゆ)とも呼ばれ食用になっている。日本での米油の歴史は、江戸時代・将軍綱吉の頃にさかのぼるのだが、国内で原料供給の大部分が賄われる唯一の植物油といってもいいだろう。
米油の約45%は一価不飽和脂肪酸のオレイン酸からなり、次いで多価不飽和脂肪酸のリノール酸が約35%、飽和脂肪酸のパルミチン酸が約16%含まれる。
また米油には、米油特有のγ(ガンマ)-オリザノールという生理活性物質が含まれ、抗ストレスや抗酸化、抗炎症、抗アレルギーなど多くの作用があることが報告されていることから、食品だけでなく化粧品原料としても近年注目を浴びている。このほか、トコフェロールやトコトリエノールといった活性ビタミンEも、天然の抗酸化物質として多く含まれる。