リノール酸は紅花油やコーン油、大豆油など植物油に多く含まれるほか、動物性油脂では鶏脂(約20%)や豚脂(約10%)にも含まれる。リノール酸は体内で酵素の作用を受けてγ-リノレン酸に変換され、その後さらに酵素の作用を受け作られるジホモγ-リノレン酸やアラキドン酸からプロスタグランジンなど、血圧や生殖機能に作用する生理活性物質が作り出される。
なお共役リノール酸(英名:conjugated linoleic acids、CLA)とは、リノール酸と同じ分子数で同じ数の二重結合を持ちながら、二重結合の位置が異なることでその立体構造が異なるリノール酸のことをいい、化学的には異性体と呼ばれるもののことである。最も多い異性体のシス-9-,トランス11-CLAはトランス脂肪酸の1つに数えられる。共役リノール酸は反芻動物の第一胃の中で微生物によるリノール酸からステアリン酸への変換中間物質として作られることから、とくに牛肉や羊肉、鹿肉、乳製品に多く含まれる。
トランス脂肪酸に数えられる共役リノール酸だが、トランス脂肪酸が犬の体にどの程度影響があるのかは単純には推測できないだけでなく、ほかのトランス脂肪酸のような心疾患のリスクを共役リノール酸は示さず、むしろ膵臓のインスリン分泌を抑制することから痩身効果があると話題になった。しかしこれも実証されていない1)だけでなく、犬にどのような効果があるかも不明である。
1)EFSA Panel on Dietetic Products, Nutrition and Allergies (NDA): Scientific Opinion on the substantiation of health claims related to conjugated linoleic acid (CLA) isomers and contribution to the maintenance or achievement of a normal body weight (ID 686, 726, 1516, 1518, 2892, 3165), increase in lean body mass (ID 498, 731), increase in insulin sensitivity (ID 1517), protection of DNA, proteins and lipids from oxidative damage (ID 564, 1937), and contribution to immune defences by stimulation of production of protective antibodies in response to vaccination (ID 687, 1519) pursuant to Article 13(1) of Regulation (EC) No 1924/2006
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/doc/1794.pdf