鱈(たら)肝油とは、文字通り魚の鱈の肝臓に含まれる脂肪分のこと。タラ類やサメ類などの魚の肝臓に含まれる脂肪分は、魚肝油と呼ぶ。
肝油の歴史は北欧のバイキングにまで遡り、肝油がくる病防止によいことが発見されたのは1820年代のこと。当時より肝油は、子供のくる病防止に効く滋養強壮・栄養補助剤としてヨーロッパから世界に普及し、日本でも明治時代に発売された。その後1930年代になって肝油に含まれるくる病防止成分が特定され「ビタミンD3」と名付けられた。
肝油の製法には圧搾法と加熱法があり、製法によって油の匂いや味、色などが異なる。
肝油は、DHAやEPAを代表とするオメガ3系の不飽和脂肪酸のほか、ステアリン酸、パルミチン酸などの飽和脂肪酸、ヨウ素、リン、脂溶性ビタミン(A、D、E)を含む。また不飽和脂肪酸の酸化防止のために、抗酸化剤としてビタミンE(αートコフェロール)が加えられる。
「スプレードライ鱈肝油」のスプレードライとは、工業技術の一つで噴霧乾燥のこと。肝油を粉状にするためには、肝油にデキストリンなどの加工デンプンと水を加えて混濁させた液を高温乾燥機内で噴霧するという加工工程を経る。粉とはいえ厳密には小さな油滴の周辺を加工デンプンが取り巻いた状態にあり、いわゆる「マイクロカプセル」が作られている。さらに、粉にさらさらとした性状を与えるためにシリコンなどが加えられて取り扱いやすくされる。