メンハーデン魚オイル(Menhaden oil)とは、北米大西洋沿岸に生息するニシン科の魚メンハーデン(Menhaden、学名Brevoortia tyrannus)から取れる油のこと。メンハーデンは世界的に漁獲量が多く、油分を多く含む魚であり、食卓に上がるよりも魚油や肥料・魚粉の原料として用いられる。北米漁業経済において、重要な意味を持つ魚である。
ほかの魚油同様、原料であるメンハーデンを粉砕・加熱した後に、圧搾、遠心分離、蒸留乾燥などの工程を経て作られ、油を搾った後の副産物はメンハーデンミールとなる。メンハーデンオイルは豚や鶏など家畜の飼料に添加されるほか、ヒトの健康食品やサプリメントとしても消費される。
メンハーデンから取れる脂肪の約35%は不飽和脂肪酸で、そのうちさらに80%以上をオメガ3系の不飽和脂肪酸が占める。不飽和脂肪酸は酸化しやすい性質を持つことから、魚油中の不飽和脂肪酸の濃度に関わらず、品質を保つために抗酸化物質(BHT、エトキシキン、ビタミンEなど使用目的と品質によって異なる)の添加が不可欠である。
メンハーデンオイルに含まれる不飽和脂肪酸の効果は、ほかの魚油に含まれる不飽和脂肪酸と同じで、高齢の柴犬(とその雑種)の痴呆改善やアレルギーを含む皮膚疾患、関節炎、心疾患、腎疾患の治療の補助に役立つ。しかし、疾患の治療の補助とするには通常ある程度の量を摂取する必要があるため、フードに加えられている量でそれが賄われるかは疑問である。